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【プロローグ】
この時代、ユーラシア大陸東部の情勢は複雑である。
かつて中国と呼ばれた統一国家は既に無く、現在は幾つかの国に分裂している。
その内、北部を支配する国の正式名称は、黄河民主主義人民共和国である。
だが国外の人間で、この国を正式名称で呼ぶ者はほとんどいない。
この国は外国から「黄河帝国」あるいは単に「帝国」と呼ばれていた。
一党独裁国家である帝国はひたすら軍備を増強し、彼らの悲願である中国統一のために着々と準備を進めている。
一方、南部を領土とする揚子江連合は民主主義国家であり、アメリカと安全保障条約を結ぶ事で、野心をたぎらせる帝国に対抗している。
帝国と連合の国境では小競り合いが頻発しており、いつ大規模衝突が起きても不思議ではない。
そのため、帝国とアメリカもまた緊張状態にあり、両国はお互いを仮想敵国と認識していた。
そして再び事件が始まろうとしている。




