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魔法潜水艦オシリス  作者: 天空ヒカル
第2部 盗まれたチャーリー
37/87

第12話 【完勝】

「つかまえた」


シオリは敵艦を魔力航行の支配下に置いてしまう。

一度そうなってしまえば、魔力航行のパワーは、スクリューの推進力など遥かに凌駕(りょうが)する。


「まず、敵艦の足を止める。」


「分かった」


ユウキの命令に従い、シオリは敵艦を停止させる。

全速潜航していた敵艦は、まるで車の急ブレーキがかかったように停止してしまう。

発令所内で立っていた敵艦の艦長は、つんのめるようにバランスを崩す。


ここに至り、ようやく敵艦のクルーも異常に気付いたものの、魔力航行の支配下に置かれてしまった時点で、もはや全てが手遅れである。


「何だ?一体何が起こったんだ?報告しろ!」


艦長の問いに対して、航海長が艦の現状を報告する。


「艦長、現在の速度は0ノット、本艦は停止しています!」


「何だと!原子炉はどうなっている?機関長!」


「艦長、原子炉は正常です。出力は全速を維持」


「ではどうして停止している!?何を言っているんだ?もう一度確認しろ!」


突然の事態に、敵艦は混乱状態に陥っていた。


「敵艦の停止を確認」


レイナの報告を聞いたユウキは、シオリに命令する。


「シオリ、敵艦を海面まで引き上げてくれ。引き上げたら通信アンテナを無効化する。」


「了解、敵艦を引き上げたら、アンテナを破壊する。」


引き上げる瞬間、敵艦内にもガクンというショックが伝わり、混乱に拍車がかかる。


「今度は何だ!?動き出したんじゃないのか?航海長!」


「艦長、本艦は急速浮上しています!このままでは30秒以内に海面に到達します!」


「直ぐに浮上を止めろ!」


「駄目です!舵が効きません!」


「馬鹿な!そんな馬鹿な・・・」


===============================================


オシリスの発令所では、レイナが敵艦の状況を刻々と報告している。


「敵艦は海面に到達」


「シオリ、アンテナは?」


「破壊した」


全ての準備が整った事を理解したユウキは、最後の攻撃命令を下す。


「シオリ、ひっくり返せ!」


「ひっくり返す」


次の瞬間、海面に引き上げられた敵艦はくるりとひっくり返り、艦橋が海中に没すると共に、艦底部分とスクリューが海面上に露出する。


それで全ての決着がついた。


異常を感知した敵艦の原子炉は、自動安全装置が働き、緊急停止する。

こうして反撃能力と逃走能力、更に通信手段までも失った敵艦は、完全に無力化されてしまった。


一方、攻撃側のオシリスはかすり傷一つ負っていない。

文字通りの完勝である。


「拿捕成功。レイナ、グレートヘイブンに報告してくれ。」

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