第7話 【陰謀の影】
事件の3日後の早朝、アメリカ合衆国サンディエゴ沖20kmの海上に、一隻のクルーザーが停泊していた。
船内には、一人の男が待機している。
クルーザーが停泊してから1時間後、付近の海面がにわかに盛り上がると、そこに現れたのは潜水艦である。
浮上した潜水艦のハッチが開くと、艦長と思われる軍服姿の男が姿を現す。
アメリカの領海内であるにもかかわらず、彼が着ているのは、明らかにアメリカ海軍の制服ではなかった。
クルーザーに取り付けられた簡易タラップを使って乗船した艦長は、甲板に出てきた男に確認する。
「今、持っているのがチャーリーか?」
「そうだ」
艦長は男からチャーリーを受け取ると、一緒に乗船した副長に手渡す。
副長がチャーリーを潜水艦内に運び入れた事を確認すると、艦長は再び男に話しかける。
「念のための確認だが、船内にいるのはお前だけだな?」
「あんたを勘定に入れなければ、そうなるね。」
「そうか、ご苦労だったな、ホウ」
「なあにアメリカを欺くなんて、実に簡単だったよ。それよりも約束の報酬は早めに頼むぜ。
こっちだって危ない橋を渡っているんだ。」
「ああ、報酬は今すぐ支払う。」
艦長はそう言うと、素早く自動式の拳銃を抜き、目の前の男に躊躇なく2発撃ちこむ。
男は信じられないという表情で、その場に崩れ落ちた。
「お前に生きていられると困るのだ。」
感情の無い声でそうつぶやいた艦長は、無表情のまま艦内へと戻っていく。
チャーリーを確保した潜水艦は、クルーザーを残して再び海中へと姿を消した。




