表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法潜水艦オシリス  作者: 天空ヒカル
第1部 北太平洋の覇者
24/87

番外編 Part2 オシリスで一番偉い人(実食編)

オシリスの食堂では、キッチンからの悲鳴を聞いたシオリがビクッとして体を硬くする。

ユウキの顔も明らかに青白い。

『本当に大丈夫だろうか?・・・いや、信じるしかない!』

ユウキは自分にそう言い聞かせる。


キッチンでは、ボコボコと音を立てて煮え始めたカレー鍋を前に、二人が顔を見合わせていた。


レイナが恐る恐る口を開く。

「あ、味見してみる?・・・一応」


「・・・あなた一人でどうぞ」


鍋の中身がもはや再起不能である事を悟ったミキは決断を下す。

「この鍋は放棄します。」


「じゃあ晩ご飯無しって事!?」


「大丈夫、食材はまだあります。

手順は一回経験済みですし、隠し味の一件さえ無ければ、成功は間違いありません。」


「そうか、分かった。アタシも手伝うよ!」


「センジュ少尉、ありがとう。」

2人はがっちりと手を取り合う。

絶対的な空腹を前に、ある意味最強のコンビがここに誕生した。


悲鳴から1時間後、戦いを終えた2人がキッチンから姿を現す。


カレー皿を持ったミキが、誇らしげに報告する。

「艦長、カレーが完成しました。ご覧下さい。」


笑顔を見せたミキの髪は粉まみれで真っ白だ。

軍服のあちこちにも、カレーらしきシミが飛んでいる。


レイナの外見も同じようにボロボロだ。


だが、その時ユウキはメニューの完成に欠かせない、あるものが足りない事に気が付く。


「ヨロイ少尉、一つ確認したい」

「はい、艦長」

「今日のメニューは『カレーライス』だな?」

「・・・その通りですが、何か?」


ユウキは言いにくそうに言葉を続ける。

「少尉、ライスが見当たらないようだが・・・」


一瞬の沈黙の後、ミキとレイナは同時に叫び声を上げる。

「忘れてたー!!!」


===============================================


さらに1時間後、ヘロヘロになった2人が再びキッチンから姿を現す。

ミキはゼイゼイ息を荒げながら、やっと口を開く。

「で、出来ました・・・艦長」


「2人ともご苦労だった。少し休んでくれ、後は私とシオリが引き継ぐ」


その5分後、食堂には全員分のカレーライスが綺麗に並べられた。

皿からはカレーの匂いが立ち昇り、食欲を刺激する。

コップに入った冷水も配られ、後は食べるだけだ。


「いただきまーす」

「・・・・」

「ウッ」

一口食べたクルー全員が固まる。


ユウキはカレーが不自然にドロドロしている事に気付いてはいたが、口に入れて初めて、その理由を理解する。

とにかく、とてつもなく味が濃くて辛いのだ。

固形ルーの入れ過ぎが原因なのは間違いない。

おまけに鶏肉が半生なのが致命傷だ。

ジャガイモやニンジンも鶏肉と同じで、中まで火が通っていない。

極め付きはライスで、外側がベチャベチャなのに中は芯が残っているという、ものすごい炊き上がりになっている。


何とか一口目を飲み込み、冷水で一息ついたユウキだが、どうしても二口目に進めない。


クルー全員が相当空腹のはずだが、他のクルーも完全に手が止まっている。


やがてミキがユウキの前に立ち、深々と頭を下げる。

「艦長、申し訳ありません、作戦は失敗です。

料理を甘く見ていました。まさかこれほど難しいとは思いませんでした。」


作戦の失敗を受け、ついにユウキはクルーに非常事態を宣言する。


「諸君、現状はオシリスにとってかつてない危機だ。

まずは当面の食料の確保が最重要課題になる。

各自、手持ちの食料を申告してくれ。」


「アタシ、ポテチなら持ってる。」


「私もチョコレートの備蓄が多少あります。」


「よし、全員の食料を集めて、今後の作戦を検討しよう。」


10分後、オシリスの食堂では、クルー全員が持ち寄った食料を前に、作戦会議が再開された。

ユウキは艦長として決意を伝える。


「みんな、ありがとう。何とかこれで生き延びるしか無さそうだな。」


ユウキの言葉に、集まったクルーも悲壮な覚悟でうなずくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ