第17話 【ユウキの決意】
次の日曜日
いつものようにセーフハウスを訪れたユウキは、シオリと一緒に昼食をとった後、カナエの案内でセーフハウスに隣接する中央魔法研究所に向かった。
ユウキは自身がタナカ所長に会う事を、シオリには明かさなかった。
会ってどういう展開になるか、全く予想がつかないため、余計な心配をかけたくなかったのだ。
ユウキにとって中央魔法研究所は見慣れた建物だが、中に入るのは初めてだ。
研究所本館の最上階、長い廊下を突き当たった先が、目的の所長室である。
「実は私もここに来るのは初めてなの」
所長室の前で、ユウキに小声でささやいた後、カナエは背の高い扉をノックする。
「タナカ所長、ミカミユウキさんをお連れしました」
「入りたまえ」
広々とした所長室は趣味の良い調度品がしつらえてあり、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
ユウキは思わず部屋の中をキョロキョロ見回してしまう。
「よく来たね、ミカミユウキ君」
「はい・・・」
「タナカ所長、私はこれで失礼します」
「ああ、ご苦労だった」
カナエが退出すると、広い所長室の中は、タナカ所長とユウキの2人だけになる。
「そこに座るといい」
タナカ所長はユウキに着席を促すと、自分もユウキの向かい側のソファーに腰を下ろす。
「私は中央魔法研究所の所長という肩書きだが、元々は海軍の軍人でね、軍に籍を残したまま、今は魔法省に出向している訳だ。出向って分かるかな?」
「分かります」
「中央魔法研究所の所長って、研究所で一番偉い人って事ですよね?」
「まあ、そうなるな」
「あなたなら、シオリを自由に出来るんですか?」
「そうだな・・・君としては、ハルカワシオリが訳も分からず閉じ込められているように感じるだろうが、理由はちゃんとある。
その上で、我々は彼女が今の立場にストレスを感じている事も分かっているつもりだ。
無論、周りの大人たちはシオリに親切だ。しかし大人だけでは限界がある。
そこで君だ。
シオリにとって君は間違いなく心の支えになっている。
ミカミユウキ君、君であればシオリの秘密を知り、彼女を支える事が出来る。
そして私の考え通りに事が進めば、少なくとも今よりはずっと彼女を自由にする事は可能だ。それは約束しよう。
しかしシオリの秘密を知ってしまえば、もう後戻りは出来ない。
君次第だ。どうする?」
ユウキに迷いは無かった。
「シオリの秘密を教えて下さい。僕はシオリを護りたい」




