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魔法潜水艦オシリス  作者: 天空ヒカル
第1部 北太平洋の覇者
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第16話 【タナカ所長】

「私だって何とかしたいよ。私だって、出来るなら・・・」


「ハルカワシオリが外に出る方法ならあるぞ」


突然、後ろから声をかけられた2人は、反射的に後ろを振り返る。


そこには中年の男性が笑顔で立っていた。


いきなり話に割り込んできた初対面の男に対して、ユウキは警戒心をあらわにする。

「あなたは誰ですか!?」


「ん!私かね、私は・・・」


「タナカ所長!お帰りだったのですか?」


「さっき魔法省から帰ってきたところだよ、コザクラカナエ君」


コザクラカナエはユウキに対して、目の前に立つ人物を紹介する。

「ユウキ君、この人は中央魔法研究所のタナカリュウイチ所長、セーフハウスの責任者も兼ねているわ」


ユウキは黙って頭を下げたものの、表情は硬いままだ。


それに対してタナカ所長は笑顔のまま、ユウキに声をかける。


「今日はもう遅いから帰りたまえ、ミカミユウキ君」


「どうして僕の名前を・・・」


「ここでは君は有名人だからね、みんな知っているさ」


「そんな事より君は来週もここに来るんだろう?その時に話をしよう」


「・・・・・・・」


「ハルカワシオリをここから開放する話なら、君も興味があるんじゃないのか?」


「・・・分かりました」


「よし、決まりだ。細かいスケジュールはカナエ君に伝えておくから、後でカナエ君から聞くといい」


そう言うと、タナカ所長はさっさと立ち去ってしまった。


後に残された2人は思わず顔を見合わせる。


タナカ所長の姿が見えなくなってから、ユウキは素朴な疑問を口にする。

「タナカ所長って、一体何者なんですか?」


「何者って言われても、私もそんなに詳しくないけど・・・

とにかくいつも外に出かけてる人だから、研究所にはほとんど帰って来ないのよ。

詳しい事は後で連絡するから、ユウキ君は心配しないで」


今日はこれ以上の進展が無い事を理解したユウキは、カナエに別れを告げて、送迎の車に乗り込む。


『ハルカワシオリが外に出る方法ならあるぞ』


ユウキの心の中でタナカ所長の言葉が、繰り返し蘇る。


『タナカ所長・・・信じて良い人なんだろうか?』


結論が出ないまま、ユウキを乗せた車は魔法省を目指してひた走る。

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