神隠し編2
分析業務はずっとデスクワークが続く。次の仕事が決まるかもしれないと言うことを、ふみは少しだけ聞いていた。分析業務内では何の変化もなく、ふみの仕事量が減ったため、格闘技のトレーニング入れるようになっていた。
マイとのやり取りから、およそ二週間が経っていた。以前とは違い、ふみは昼休みに休憩所には行かなくなっていた。
ふみとマイの仲が悪くなっているのだろうと、佐々野は何となく感じていた。ふみが以前、佐々野にに相談した内容から、どのようなことが起きているのかも予想もできていた。
ふみは普段から自分の機嫌を表に出すことはほとんど無い。しかし佐々野から見ると、ほんの少しだけ元気がないようにも見えた。
マイの事を話題に振る理由がないため、いつもどおり接していた。だが佐々野は、内心かなりふみのことを気にしていた。
「時間が来たから、今日の仕事はこれでおわり」
「分かりました。じゃあ、先に着替えてきますね」
「なあ、ふみ」
「はい?」
仕事終了の一時間前。ふみは未だに佐々野と一緒にランニングをしていた。
「言ってなかったと思うんだけど、トレーニングは一応完了したから、走るのはもうやめても大丈夫だよ」
「迷惑だったですか?」
「いや、それはないから」
ふみが未だに走っているのは、ふみが走りたいと言っているから。佐々野は十分理解していた。
「走りたいのは私が佐々野さんと走りたいからです。でも、佐々野さんの一時間を私のわがままで潰してしまっているのは事実ですよね。だからもうやめてしまいましょうか?」
「ふみが走りたいなら付き合うよ。一時間走るのは全く問題ない。どうせ、ふみが走らなくなっても、俺は一人ででも走ると思うから」
「そうなんですか?」
「トレーニングはしてないと命に関わるからね」
「じゃあ続けます! 先に着替えてきますね!」
嬉しそうにふみが更衣室に走っていった。
ふみは仕事を早くこなすし、わがままも全く言わない。トレーニングはふみも必要なことであるからこそ、一緒に走ることを拒絶する理由は全く無かった。走っている時間は話をする時間がそれなりにあるため、マイの事を聞くいい機会ではあった。
しかしふみも佐々野も、マイのことは一切話題に出さなかった。佐々野には何があったのかはわからないが、ふみが問題にしていないならそれでいいだろう、そう言う気持ちであった。
分析業務では、普段はマイと接する機会は全然なかった。ふみのような下っ端では、治安維持館の事務員に用事が出来るようなこともない。だが佐々野は違う。佐々野は分析業務室長に任命されており、任命した人物は常人層ではなく悪魔層の人間である。だからこそ、色々な事務手続きを事務員に提示する必要があった。
本日、用事があり、佐々野は治安維持館・事務員室に来ていた。事務員室は事務員の仕事をしている人たちの部署であり、かなり業務が広いため人が沢山いる。
「書類の提出に来ました、分析業務の佐々野暁斗です」
「はいごくろうさん。受け取りましたので、何か不具合があったら社内便で指摘しますので」
「わかりました。よろしくお願いします」
佐々野の用事はこれだけ。だが部屋の奥にいるハルトとマイに声をかけておこうとは思っていた。同じ事務員ではあるが、やっている内容は全然違うため、二人の席は少し離れていた。
「よう、ハルト」
「おう、暁斗。どうした?」
「書類を提出しに来たついでに、ハルトにあいさつしただけだよ」
ハルトは数人の部下を管理する立場であり、むずかしいと言われている分析業務以外は、部下にやらせている。いつもは部下の助言やらでそれなりに忙しく仕事をしているのだが、本日は余裕がありそうだった。
「次の仕事の資料が色々と届いたんだ。時間があったら説明したいんだがどうかな」
「暁斗は今の時期、だいたい部屋にいるんだよな。暇ができたらそっちに行くよ。それでどうだ?」
「ああ、待ってるよ。次は少しだけlayer3が絡んでるんだって」
「layer3だって? ずっとやりたがってたやつじゃん。もしかして天使とやり取りする必要が出てくるとか?」
「layer3を管轄してるのは天使層じゃなくて大天井ね。でもさすがに大天井との対応は、俺もハルトもやりたくないだろうから、悪魔層に対応してもらうよ」
「地獄地蔵のジイさんか。興味出てきたから、暇が出来たらすぐにでも行くよ」
手を振ってハルトとの会話を切り上げる。
そして、すぐにマイの方に近づいていった。机に向かって仕事をしているマイを見ても機嫌が良いかどうかわからなかった。
「よう、マイ」
すこし驚いてマイが顔を上げる。
「あ、暁斗。こんにちは。どうしました?」
マイはふみよりわかりやすいなと思った。まるで誰かに叱られた後のように、マイには元気がなかった。
「書類を室長に提示しに来ただけだよ。マイがいたから声をかけたんだが、何か顔色良くないぞ。ちゃんと寝てるか?」
笑顔でマイに問いかける。ふみの事を話題にするつもりは全く無かった。
「はい。私は大丈夫です」
ふみも力なく笑ってみせた。
「そうか。じゃあまたな」
「あの」
「ん?」
佐々野はすぐに話を切り上げて出て行くつもりであった。だが、マイに呼び止められたとき、すこし嬉しくなってしまっていた。
「どうした?」
「少し暁斗に相談したいことがあるんですが」
消えそうな声でマイが話す。
「いいよ。俺とマイ二人?」
「はいそうです」
「どこか会議室を取ろうか。今からでもいい? マイの都合のよいときに合わせるよ」
「私はいつでも大丈夫なので、暁斗の都合に合わせます」
「じゃあ今だ」
会議室を取り、すぐにマイと佐々野が向き合って座る。このような行動力は、現場にて即時に判断を求められる治安維持の人と、慎重に時間をかける必要がある事務員の人たちとでは、まるで正反対なのでマイには慣れない所があった。
「ふみの事で相談があるんですけど」
「うん、どうした?」
マイはまだ相談の段取りを考えていなかったのだろう、少し悩んでいるようだったが、佐々野は気にせずゆっくりと待つことを決めた。
「実はふみと喧嘩してしまいまして」
「そうか、今日のマイは元気なさそうだったからな」
「いや間違いました。それじゃダメだよね」
マイが独り言を言う。そして何かの覚悟を決めたように、佐々野に話しかけた。
「何日か前に、ふみと二人っきりで話をしました。ふみの過去の話、つまりlayer1に来る前のふみのことはご存知ですよね」
「ああ、知ってるよ」
「犯罪のことについても」
「知ってる。俺はふみを強制昇進試験に選定したとき、ふみの個人情報を洗いざらい調べている。そして俺が色々知っていることを、ふみもまた知っている」
「なら、何も隠さずにいいます」
マイが小出しで確認していたのは、佐々野が万が一ふみのことを知っていなかった時のためであった。だが佐々野は全て知っていると言っている。以前、ふみも佐々野は全て知っていると言っていた。だから隠す必要はないだろうと判断した。
「ふみから、過去に大量の人を殺している事を告白されました。そして、私もその対象に入っていると。これは本当のことなんですか?」
「俺には守秘義務があるんでね。本当かどうかを直接答えることは出来ないんだが」
冷たく突き放すつもりはないという態度をマイに取るために、興味があるような素振りをして、マイに言い直した。
「俺に何を相談したいんだ? その真偽を確認したいだけかい? マイが何をしたいのかによってはぜひ協力してあげたい」
「暁斗の立場は理解しました。まずは私とふみの間に何があったのかお話したいです。こんな恥ずかしいこと、本当はふみと二人っきりの秘密にしておきたいんですけど。私はいまふみと喧嘩してるんでね!」
少し怒ったようにマイが声を張り上げた。だがマイが少し元気そうになったのをみて、佐々野の顔に笑顔が浮かんだ。
マイはかなり正確に佐々野にあのときの状況を教えた。ふみをよく知っている佐々野にとっては、起きたことがすぐに理解できた。
「なるほど。よく分かったよ」
「ふみの言っていることは本当なのでしょうか」
「その前に、マイが何をしたいのかを聞いてない。マイはふみとどうしたい? 本当かどうかを聞いてそれで終わるのか?」
「私はふみと仲を戻したい」
予想はできていたものの、それを聞いて佐々野が驚いた。
「二人きりになったときに、あんなことをされてもマイは仲直りしたいと?」
「はい」
「本当に死ぬぞ。ふみの言っていることに嘘は何一つ無い」
マイが小さくため息をついた。
「何一つっていうのは、言い過ぎじゃないですか?」
「ふみの事を悪く言うつもりはないが。だが、ふみはとても危険な人だ」
「暁斗はそんな危険な人と私が仲良くしていて、何とも思わなかったんですか?」
「それは」
マイは責めているわけではなく、少し顔に笑顔を浮かばせていた。
「過去にふみから似たような事を言われたことがある。佐々野さんはlayer1の人たちを犠牲にしてまで、ふみを信じてたんですかって」
「暁斗ともなんかあったんでしょ!」
マイが少し楽しそうに問い合わせる。
「色々あったと言えばそうかもね。それでも、俺はふみと一緒に仕事がしたいから、こうして一緒にいるんだ」
「そんな色々あった暁斗の視線から、私がふみと仲直りをするのは危険だって言いたいんですね?」
「それもあるけど。ふみはマイの心配をして、自分から距離を置いたってのはまず間違いない。あのふみですら、マイの身を守ることが出来ないと言っている。ふみができないことは俺にも絶対にできないほど困難なことだ。それだけふみはマイの事を想っており、そして殺したいと思っているってことだ。簡単には了解できないよ」
「ずいぶんふみのことを高く見てるんですね」
「ふみは優秀だよ。あらゆる面で俺より上だと思う。そして怖い」
「え」
マイが驚いたのはふみの実力のことではない。自分より実力が高いとあっさり認めた佐々野に対してだった。
「答えたくないなら答えなくてもいいんだが」
少し気まずそうに、佐々野がふみに質問した。
「はい、何でしょう」
「マイはふみのことを、その、恋人としてみてるのか?」
質問に驚いたものの、話の流れからすれば当然のものだと思った。
「いいえ、お友だちとして見てます」
すぐ気まずそうに、マイからも質問が出た。
「あの、私の方からも聞きたかったんですが、その」
「なに?」
「layer2では、女の人同士でエッチしたりするのって、普通だったりするんですか?」
「たぶん普通じゃないと思うけど、どうなんだろう」
「そうですか。ごめんなさい、脱線しました」
「いや、いいんだ」
佐々野が話を戻した。
「マイは、ふみを友達と見ているだけなら、命まで掛ける必要は無いんじゃないかとは思うんだがどうだろう」
「いいえ、私はそう思いません」
マイが即答する。
佐々野は少し悩んだものの、頷いてから話しだした。
「さすが、生粋の常人層なのに治安維持館で働くだけはあるな」
「なんですかそれ?」
マイのよくわからない考えを、いちいち理解しようとするのはやめようと思った。
「じゃあ仲直りに行こうか。立ち会うよ。俺がいたら、ふみは人殺しなんてしないと思うし、まあ勝算のない殺人なんて、絶対にやろうとは思わないだろうな。どうだろう?」
「え、今ですか!?」
「いつだって同じだろ?」
「早すぎませんか」
「治安維持の連中はみんな思い立ったら行動するもんだよ」
少し考えたが、マイは十分納得したようだった。
「行きます」
その返答は実に力強かった。
「最後に一つだけ言わせて欲しい。気を折るようで申し訳ないんだが」
「何でしょう」
「ふみは手強いよ。目標を見失わないように」
マイにはピンとこないアドバイスであった。佐々野はマイの返答を確認せずに、会議室の出口へと向かった。
佐々野とマイが分析業務室へ向かう。近づくに連れて、マイは自分の心臓が大きく鳴り響いているのが分かった。そんな様子を気にしても仕方がないということで、佐々野は何も戸惑わずに分析業務の扉をあけて中に入った。
部屋には一人ふみがいて、佐々野とマイが一緒に入ってくるところを見ていた。ふみは何の反応も示さずにあいさつをした。
「マイ、こんにちは」
ふみの顔は笑顔。だがマイは明らかに動揺している。このようなふみの対応は本当にすばらしいなと佐々野は感じていた。だが無関係でいられても困るということで、はじめの一口目だけは佐々野が手伝ってあげることにした。
「ふみ、こっちに来て欲しい。マイが話をしたいそうだ」
「はい」
ふみが笑顔から無表情に変わる。
(さて、どうなる。)
佐々野にはふたりの関係がこれからどうなるのか全く予想できなかったため、非常に強い興味をいだいていた。
現時点ではすでにマイがふみの迫力に押されているように見えた。
ふみが歩み寄る。佐々野は少し離れてその様子を見ていた。
「なんでしょう」
無表情だった。だがマイもすでに覚悟を決めている。ふみの顔を見ながら、自分の気持ちを伝えることにした。
「ふみ。あの時は逃げてごめんなさい。そして、ふみの言っていることも十分理解しています。でも私はふみと仲良くしたい」
「それが出来ないことはちゃんと伝えたでしょう?」
「分かってる。でも、あっ……」
顔を上げてふみの表情を見たときに、思わず声を上げてしまった。だが、佐々野はマイ以上に驚いていた。
(これは初めて見るぞ。)
離れた所から、佐々野がじっとふみの横顔を見た。
(ふみが怒ってる。演技じゃないな。)
ふみの冷たい表情を見て、マイは完全に気押されてしまった。
「私はマイを殺したい。その欲求が抑えられないからマイから距離を置きたい。それはちゃんと説明しましたよね。それでもなお私と仲良くしたいというのは、私に殺されたいってことなの?」
ふみの声がマイに突き刺さる。何も言い返すことが出来なかった。
「最後に私がマイに言った言葉は覚えてますか? ねえマイ」
「・・・」
「答えて。マイ」
「お、覚えてる」
マイの声が震えている。すでに目からは涙が流れていた。
「次にマイにあったら、私はあなたを殺す」
「は、はい」
「まさか冗談で言ったとは思ってないですよね?」
「・・・」
「どうなの! マイ!」
ふみが大声を上げる。ヒステリーに近い形でふみがマイに怒鳴りつけている。佐々野はこんな状況になるとは、全く予想出来ていなかった。
マイは今までふみが笑っている姿しか見たことがなかった。しかし目の前にいるマイは、言動がきつくはっきりと攻撃的であり、表情も険しい。子供のような態度のふみしか見たことがないマイにとっては、同一人物とはとても信じられない変化だった。だがふみも必死であるため、妥協はしなかった。
ふみは、マイが下を見て、ずっとなにも言わない事に苛立っているようであった。このままではマイの分が全く悪い。
「ふみ。少し落ち着けよ」
佐々野が間に割って入る。
「佐々野さんはなんで!」
佐々野の声に反応して、ふみがマイから佐々野へ視線を移す。だがふみが佐々野の顔を見たとき、ふみもまた一瞬だけ泣きそうな顔になってしまい、すぐ二人から顔を背けた。そんな様子を、マイは見逃さなかった。
「それでも、私はふみと仲直りしたい」
気力に負けないよう、泣き声になりながらマイはふみに怒鳴りつけた。
「どうしてそうなるの、マイ?」
「ふみは自分が危険だから友達を作らないって言うけど、じゃあふみは一生そのままでいるの? ふみは一生友達を作らないでいるの?」
「それは」
「私と一緒に過ごした日々は何だったのよ! ふみはいっつも私の前で笑ってくれた。あれは演技だったっていうの? そんなはずはないでしょう?」
マイの言葉に、ふみが少し押されているのが分かった。マイにとってはそれだけで十分だった。あとは自分の思いを伝えるだけだ。
「私と過ごした日々が演技だったとは思えない。私はふみと一緒に過ごした日々が好きだった。ふみだって私と一緒にいて楽しそうだった。ふみは友達の作り方がわからないと言っていた。それでも私とは友達になれたでしょう? でも私の心配をしてるから友達を辞めましょうですって? そんなの冗談じゃない、絶対にお断りよ、どうして一人で勝手に全部決めてしまうの?」
ふみの怒りがマイに乗り移ったかのように言葉が出てくる。立場が逆転し、ふみが萎縮しているようにさえ見えた。
「ふみは私に嘘をついて、自分にも嘘をついて、私の気持ちまで無視して、そこまでして何を守ろうと言うの? 誰に何の親切をしているつもりなの? ねえ答えてよふみ! 私はそんな残酷な親切は要らない、私はふみと一緒にいたい!」
マイの言いたいことは全て吐き出したようであった。その迫力はふみに十分伝わっているようで、二人はしばらくの間、何もしゃべることができなかった。マイはずっと下を向いて泣いていた。
しばらく沈黙が続いたものの、やがてふみが口を開いた。
「でもどうしたらいいか、わからないよ」
と、ふみもその場に座り込んで泣いてしまう。
「私が好きになった人は、みんな私が殺してしまう」
涙を流しながら、放心したようにつぶやいた。
「一緒に探そうよ。ふみと私が友達でいられる道を」
マイがふみの手を握って、涙でぐちゃぐちゃになった顔に無理やり笑顔を作って話しかける。
「マイと一緒にいたいよ。ずっと友達でいたいよ」
「私もだよ。ふみ」
「ごめんなさい、マイ。怒鳴ったりしてごめんなさい。変なことしてごめんなさい」
「いいんだよふみ。私こそごめんなさい」
「私、本当はつらかったんだ」
二人は泣きながら抱きしめあった。
そんな様子を見て、佐々野はかなり安心していた。
二人が感情的になって仲直りしているのとは対象的に、むずかしい仕事を穏便に終わらせた疲れが出ていた。問題はいくつか残されている。そもそもふみの懸念は、全く解決されていない。友達でいられる道を探す、これは大きな課題となって残っていることを考えていた。
少し間違えれば、業務に大きな支障が出た、佐々野はそんなことを考えていた。危機感は直接冷や汗として、額に現れ出ていた。
そのとき、分析業務室の扉が開き、ハルトが入ってきた。
「ちぃーっす、仕事の話をしにきたんだけど。ってなにこれ」
ドアを静かに閉めて、恐る恐る暁斗の近くに寄っていく。
「なにしてんのこいつら」
「ごめんねマイ。また友達になれて、本当に嬉しいよー、うぅぅ……」
ふみとマイは全く気がつかず。
ふたりは抱き合っていたものの、ふみが体を離して、両手でマイの顔をそっと包みこむ。そして見つめ合ったまま、口と口を合わせて長いキスをした。
暁斗とハルトが固まる。当事者のマイも当然固まる。口を離してふみが「ずっと友達だよ」とつぶやくものの、すぐに暁斗がふみにツッコミを入れた。
「おいふみ。お前、酔っ払ってるのか?」
ふと我に返ったふみが、周りを確認する。そこには、何してんだこいつ、みたいな顔で見てる暁斗とハルト、口を抑えて真っ赤になってるマイがふみを見ていた。
「えーと、ごめんなさい、なんか間違えました」
と嬉しそうにふみがつぶやく。
「わわわ、私も! 友達だよ!」
と気が動転しながらマイが言った。
「なあ暁斗、お前ん所の部署は本当に面白くなったんだな」
「ハルトはなんでここにいるんだっけ」
「コレを見に来たに決まってんじゃねーか」
「ああそう」
全然気にしないふみがマイに抱きついて嬉しそうにつぶやいた。
「ずっと友達だよ」




