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すでに何人もの警官や鑑識が廃校へ向かってる中、俺達三人にも警官が六人付き添ってくれた。長い夜やったけど、実際山小屋までは30分か40分くらいのはずや。足とか腰とか痛かったけど、そこは気合でなんとか歩き続けた。
やがて、小道を抜ける・・・すると、順が、
「ここや!ほら、小屋あるやろ?山小屋・・・あれ?」
俺も絶句した。たしかにそこは開けた空間で山小屋以外は何も変わってへん。トイレと山小屋だけが綺麗に無くなってた・・・。
「こんな事があるんか・・・道は一本道やし、ここで間違いないはずや・・・」
よく見ると、もう一つ変わってる点があった。それは広場の半分くらいの所に金網が張られ、所々錆びや腐食してる部分があり、これまたボロボロの看板には
『この先危険、立ち入り禁止』
と書かれていた。そして、フェンスの一部分が扉になってて、今はそこに警官が立ってた。付き添ってきた警官の一人が、
「ここがさっき言うてた廃坑の入り口ですわ。最近は金がどうとかインターネットの掲示板で噂が流れたさかい、侵入者も多くて困ってたんですわ。ちょっとここで待っててもらえますか?その白骨遺体が発見されたんか確認してきますわ。」
それだけ言うと六人の警官はフェンスの奥へと姿を消した。残された俺たちは顔を見合わせた。狐につままれた気分とはこういう事を言うんやな・・・。
「どういうこっちゃ!?なんで小屋とかトイレが無いんや。それにあのフェンス、昨日今日建てたとは思えんくらい年季が入っとる。夜中は間違いなくあんなもんなかったやろ・・・どっかで気づかへん間に道間違ったんちゃうか?」
俺がそう言うと、心が首を横に振って、
「いや、この場所で間違いないと思うわ。ここに血痕があるんや。これは多分俺が転倒して左手を負傷した時の血や。夜は暗くて気づかんかったけど、俺のキーホルダーが落ちとる・・・」
心は屈みこんでキーホルダーを拾い上げた。
「落とした事さえ気づいてへんかったわ。間違いなく俺のもんや。」
それから三人は黙り込んだ。考えてもわからへん事だらけで、混乱してるんや。しばらくするとさっきの警官が走ってきた。
「皆さんが言うてた通り、白骨化した遺体が発見されました。かなりの年月が経過してるさかい、ここではちゃんとした事はわからへんので近くの大学病院に運びます。それで、遺体の横にこんな写真が落ちてましたんや。指紋とか色々調べんとあきませんのでビニール袋の上からになりますけど、この写真に写ってる人たちに見覚えありますか?多分君たちの年齢的に知らない思いますけど、これも仕事なんで、念のために確認お願いしますわ。」
そう言って、袋に入れられた一枚の写真を手渡された。それを手にした俺たちは一瞬目を疑った。
「お、おいっ!マジか・・・嘘やろ・・・」
そこには屋敷で見たのとは少し違うかったけど七人の男女が映ってた。中央には田代夫妻、その隣には執事のおっちゃん、少し照れくさそうに微笑むメイド二人。そして、反対側には・・・そう、沢口とコガッチが映ってたんや・・・。
「これは間違いなく沢口君とコガッチやろ・・・どういう事や!?」
心も信じられへんっちゅう顔しとる。すると順が、
「他人の空似や。こんなんそれがしは信じ・・・」
そう言って写真の裏を見てそれ以上何も言わなくなった。俺はそれを覗き込んだ。すると田代源蔵、文子・・・フミコ・・・ファビ子・・・噛んでたんかいっ!と、それはええんや。その最後に沢口、小柄と記されてあった。
「俺ら一体何を見たんや・・・もしかしたら全員同じ夢でも見とったんかもしれへんで・・・」
結局、沢口と小柄の事を警察に話しても信じてもらえるはずは無いと考え、俺達は後の事を警察に任せて下山した。すると麻紀はまだ、警官と一緒で、どうやら俺たちが帰ってくるのを待っててくれたみたいや。
「おまえ、帰ってへんかったんかっ!」
「ウチかて心配してたんや。それにお腹も空いたから帰りにどっかファミレスでも寄ってご馳走にならへんと納得いかへんやん!」
よく見たら、俺達の乗ってきた車が目の前に停まってた。
「あっ、俺の・・・正確にはおとんの車や!」
「この先の道路脇に停まってましたんや。彼女に聞いたら、彼氏の車やいうて、合い鍵持ってるからって言うんで本官がここまで運転してきましたんや。聞いた話では駐車場に閉じ込められた言う話でしたけど、この先にはそないなもんありません。」
ここでもなんかおかしい・・・けど、考えても混乱するだけや。麻紀だけやなくて皆も腹減ってるやろし、昨夜の事は忘れて飯でも行こ!
「行くで!心、順、麻紀!早く乗れ!」
俺達は腑に落ちん点も仰山あったけど、それには触れず、日常会話で盛り上がった。やがて、山を下り市街地に抜けると最初に目に入ったファミレスに入ることにした。
「ここでええやろ?」
「どこでもええよ!とにかくお腹空いて死にそうやねん!」
車から降りると、入り口は二階やからちょっとしんどいけど階段を上がり店内に入った。
「いらっしゃいませ!五名様ですね?おタバコはお吸いになられますか?」
え?・・・。
■ 怖恐 田代館の恐怖 完 ■
遂に完結です。ここまでお読み頂いた方、本当に有難うございました。
好評、不評にかかわらず、怖恐シリーズ化します(笑)田代編は一応終了です。この田代編が今後に関係するのかは、現段階では作者の私自身考えておりません(汗)




