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怖恐 ~ 田代館の恐怖 ~  作者: くきくん
第一章 住所
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1-8

「これがさっきのメールの場所か?これってミオンモールやん。俺も何回か言った事あるで。てっきり肝試しでも出来そうな廃墟とか思っててんけどな。」


こいつ、俺の最初の考え方と全く逆の発想やん。まあ、事情を知ってるからかもしれへんけど、なんか楽しそうやし・・・他人事や思いやがって。


「いや、実は最初に検索した時は墓場が表示されてん。田代霊園とか言う・・・それがもう一回検索したらなんでかミオンモールやってん。それで困惑してた所におまえが来たっちゅうわけや。」


「田代霊園?知らんなぁ。まあ、自分とこの墓以外普通は霊園の名前に詳しい人も滅多におらんやろけどなぁ。」


「心ちゃんは何しに来たん?今日は仕事ちゃうの?」


「あれ?太一から聞いてへんの?」


「心ちゃん来てから話すって言うから待っててん。」


まず俺は、心に昨夜からの出来事と今日のファミレスでの奇妙な出来事を伝え、それから麻紀に心から聞いた話を伝えた。


明らかに麻紀は動揺してたけど、心の方は冷静やった。まあ、実際に被害受けてるわけでもあらへんし、当然っちゃ当然なんやけど・・・。


しばらく沈黙の後、心はとんでもない事を言い出した。


「こういうパターンってホラー映画とかでよくあるやん。で、その場合、ほとんどが万全の態勢で臨まへんで、結局、幽霊に殺されるっちゅうパターンや。たしかに映像とか演出とかドキっとする場面はあるけど、ツッコミどころも満載や。」


こいつ何を言い出すねん・・・そんな気持ちを余所に心は続けた。


「で、それやったら万全の態勢でこっちから行ったったらどないや?」


「はぁ?どうゆう事?ちょっと意味わからんねんけど・・・」


それまで黙ってた麻紀が突っ込む。俺にもさっぱり意味がわからん。大体、乗り込むってなんやねん・・・


「ようするに今から二人でミオンモール行くつもりやったんやろ?そんなもん二人で行ったら相手の思うつぼや!」


あ、相手って誰やねん・・・っていうか、こいつも行く気なんかいっ!


「そこでや!実は俺の専門学校の時の同期に、キャラはちょっとイタいねんけど、こうゆうことには持って来いなヤツがおるねん。とにかくサバイバルオタクっちゅうかなんというか、とにかく色々装備品もとかも持ってるから、こいつも連れて行ったらバッチリやで!」


いやいや、何がバッチリなんかようわからんねんけど・・・


「うわぁ!それめっちゃおもろそうやん!そのコ呼んで呼んで~」


おいおいおい・・・麻紀もやる気満々やし・・・


「ここへ来る途中にすでに連絡しといたんや!もうそろそろ・・・ほら来た!着いたメールや!」


マジか・・・絶対他人事やと思って楽しんどるわ。でも、まあどうせ二人で行くつもりやったから、何も無いとは思うけど、人数は多い方がええよな。って、ただのショッピングモールで何かあるとは思えへんけどな。


「よし!車頼むで~太一!」


「わかったわかった!ガソリンは昨日おとんが満タンにしてたから、早速行こか!」


俺たちはPCの電源だけ落とすと、さっさと外に出て車に乗り込んだ。心の呼んだヤツは車に乗り込むなり自己紹介し始めた。それにしても、迷彩服になんかよくわからんもん、体に巻きつけとる。リュックも何が入ってるんかしらんけど、かなり重そうや・・・。


「初めまして!それがし、田沼タヌマ ジュン言います。順って呼んでくれたらオケ!」


そ、それがし?こいつ・・・ナニモンや・・・


「ウチは麻紀や!麻紀でかまへんでぇ~」


「お、俺は太一や。同じく太一でかまへん。よろしく!」


「ラジャー!話はココロンから聞いてるから、後の事はそれがしに任せて大船に乗った気分でいてくれたらかまへんよ!」


ち、沈没するかもしれへんな・・・って、ココロン?ココロンって心・・・あっ!ココロでココロン・・・あかん、ウケる・・・


俺は笑いを堪えるのに必死になりながらも、車を走らせた。道は何回か行ってるからわかってるし、ナビもついてるけど、特に必要ないやろ。それに、高速乗ったらほとんど一本道やしな。


助手席には麻紀、後ろに心と順が乗ってる。後ろの方では心と順が打ち合わせみたいな話をしてた。麻紀も振り向いてなにやら話に交じって楽しそうや。


そやけど、俺は運転に集中せなあかんから参加出来へん。なんかちょっとむかつくけど、まあしゃあない。


15分ほど走ると高速の入り口が見えてきた。これに乗ったら・・・


「あかん!通行止めになっとる!」


入り口は閉鎖されて、上部の電光掲示板には赤い文字で『通行止め』と書かれてた。


「面白くなってきた!このまま普通にミオンモールに着いたら何事も無く終わりそうやったから、これでますますそのメールがなんかある可能性が高くなってきた!」


後ろで順が勝手な事を言うてる・・・なんもない方がええやないかっ!あほか!何を期待しとんねん、一体。


「まあ、下道でも30分くらいしか変わらへんやろから、まあええか。それに明日は麻紀も俺も遅番やし、ちょっとくらい遅くなってもかまへんからな。」


「俺も明日は休みや!順はなんかあるんか?」


「それがしは・・・これに参加するため、向こう一週間の予定は全て白紙にしてきたわ。」


え?一週間?絶対こいつあほやろ・・・夜には帰って来てるっちゅうねん!と、そんなやりとりしながらミオンモールを目指した。

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