8-25
明らかに俺と小柄の様子が変な事を察知した沢口と順が駆け寄る。
「何かあったんですか?」
「まさか、窃盗団か?」
俺と小柄は息を整えるのに必死やった。とにかく落ち着こうと、何度も深呼吸して、なんとか、話せる程度に落ち着いたから、俺は今起こった出来事を話した。
「顔!顔や!人の顔が転がってたんや!」
「顔?地面に?それがしが見た時には無かったはずやけど・・・」
「それは俺も思ったんや。コガッチがなんか踏んだっちゅうから、見てみたら、ホンマに顔があったんや。あまりの恐怖に慌てて逃げてきてもうたけど・・・」
「どんな顔や?男?女?年齢は?生きてたんか?」
・・・わからへん。実際には後頭部の方しか見てへん・・・首から下は無かったはずや。そやから最後の質問だけは答えられる。
「首から下が無かったから、生きてるって事は無いやろ。残念ながら男か女かはわからへんかった。ただ、髪は長かった気がするから女の可能性が高い。」
「あたいも女だと思うわ。まだ、足に感触が・・・いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
その悲鳴に麻紀と心も目を覚ました。順と沢口はまだ信じてへんっちゅう顔や。たしかにこんな話信じられへんやろ・・・。すると、順が、
「それがしが確認してくるわ。」
そう言うと、そのまま一人ペンライトをオンにして小屋を飛び出して行った。その後を追うように沢口も出て行った。と、心が眠そうに、
「騒がしいけど、なんかあったんか?」
麻紀もこっちを見てる。やっぱり麻紀を怖がらせるんは気が引けるし、順達が戻ってくるまでは、言わん方がええかもしれへんな・・・そう考えた俺は、
「いや、ちょっと驚いただけや。」
「何に?」
「それを、今、順と沢口君が確認しに行ってるねん。戻ってきたら詳しく話すわ。」
5分程で順と沢口が戻ってきた。
「二人で見回したけど、なんもあらへんかったで!」
順の言葉に沢口も相槌を打つ。おかしい・・・。たしかに俺と小柄は見た。あんなバレーボールくらいの大きさのもん見間違うはずあらへん。人の顔や無かったにしても、何かはあったはずや・・・。
「順。人の顔はもしかしたら見間違いかもしれへんけど、そのくらいの大きさの何かは落ちてたはずやろ?」
「見間違いなんかじゃないわよ!たしかに見たわよ!たしか太一ちゃんだったわね?そこの彼と・・・思い出すのもおぞましい光景・・・見開かれた目はあたいを舐めるように見ていたわ。きゃああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
いや、残念ながら俺は顔の方は見てへんから、そこまではちょっとわからん。俺と小柄が小屋に駆け込んでから、順と沢口が飛び出すまでの時間は数分程度。あんな短時間で誰かが片付けたんか?いや、冷静に考えてもし首やったとしたら血の跡くらいは残っててもおかしくない・・・。
「いや、それがしと沢口君で地面をくまなくライトで照らしながら見たけど、顔どころか小石さえ見当たらへんかったで。」
再び沢口が相槌を打つ。おかしい・・・。




