8-21
小柄の思い出し悲鳴は置いといて、小柄にも霊の姿は見えるようやし、声まで聞こえたっちゅう事は、少なくとも小柄も何かしら霊に求められてる事になる。
そう考えると、沢口はともかく小柄は俺達の敵では無いのかもしれへん。未だに霊の存在には否定的な俺が言うのも変かもしれへんけど、百歩譲って霊が存在したとすれば、生きてる人間より、遥かに人を見極める能力には長けてるやろ。
沢口と小柄が、俺達の屋敷での出来事とか監視してたなら話は別やけど、さすがにそれは無いやろし、そうなると三つ編みの女・・・つまり当時の田代家のメイドの容姿とか知りようも無い事を話すのは不可能や。
さっき小柄はハッキリと三つ編みの女と言うた。今時、あまり三つ編みをしている大人の女性は見かけへん。とっさに作り話で三つ編みの女を出すんは考え難い。
そう言った事を踏まえて考えると小柄は白や。ただ、小柄が白やからと言うて沢口も白にはならへん。そもそも、沢口と小柄の関係さえ知らへん。
偶然今日出会っただけなんかもしれへんし、その辺り探る必要がありそうやな。心はその辺空気読んで話合わせてくれるやろけど、問題は順や・・・。それに、順とはタイプは違うものの、小柄もかなり空気を読めへん。この二人の口撃を交わしつつ、沢口に探りを入れる・・・。とりあえず直球勝負で行こか。
「沢口さんと小柄さんはどう言った知り合いなんですか?」
突然の質問に沢口は狼狽えてるようにも見えた。
「コガッチとは高校の同級生ですねん。最初はけったいな奴っちゃなぁ!って思ってたんですけど、こう見えて根はええ奴なんですわ。それからかれこれ10年来の付き合いです。」
「あら、9年よ!」
「どっちでもええんや!そんな事は。」
一緒動揺してるかと思ったけど、言うてる事は間違いなさそうや。ただ、沢口と小柄の付き合いが長いから言うて、沢口が白って言う判断はまだ早計や。俺が探り入れてることを察知した心が今度は問いかけた。
「実は俺たちも道に迷ってしまったんですけど、この先の方に屋敷があるんは知ってますか?なんか不気味やったし、怖くなって俺らは慌てて引き返したんですけど・・・」
頼む!頼むで順!心の質問の邪魔だけはせんとってくれよ!
「いや、結構有名な肝試しのスポットって言うのは連れから聞いたことあるような気がしますけど、僕らは行った事無いですわ。」
不思議なんは、この山ってそれほど有名やあらへん。それやのに男二人で登山、挙げ句は道に迷ったなんて考えにくい・・・とは言うても、それは俺らも一緒や。男女四人で荷物も順以外持ってへんのに登山に来たとは思われへんやろ・・・
「そちらは今日は登山か何かで来たんですか?」
案の定、聞いてきた。半分ホンマの事言うといた方がええかな・・・。もっともらしい理由が浮かばへんし・・・。
「実は、お墓詣りに来たんですけど、ちょっと山を散策するのもええかなってなりまして、脇道に入った所、道に迷い、不気味な屋敷を見て怖くなって無我夢中で引き返したらここに着いたんです。暗かったし携帯も圏外やったんで、夜が明けるのを待ってから下山しとうと思ったんです。」
「嘘よ!!!」
いきなり小柄が叫んだ。嘘よ?なんでわかるねん!
「あなたたちにもお告げがあったんでしゅ?」
あ、あったんでしゅ?しゅって語尾は噛んだんか?
「お、お告げってなんですか?」
もしかして、メールの事言ってるんか?
「知らないとは言わせないわよ!メールが来たんでしゅ?田代霊園って!」
!?・・・また語尾がしゅや!・・・いや、そこじゃない。小柄にもメールが来たんか?と、沢口が横から、
「そんな事誰も信じてくれへんわ!あほかっ!気にせんとって下さい。なんかの間違いメールをこいつが勘違いしてるだけなんです。」
すると、心が、
「いや、実はこいつにも同じようなメールが届いたんですわ。そんな事誰も信じへんと思って、ちょっと話を作りましたけど、大体はさっき太一が話した流れでここにおるんですけど・・・」
「ほら!やっぱりだわ。あたいだけじゃなかった。サワグチン!あたいの勝ちね。」
沢口でサワグチン・・・長いわ!サワッチとかでええんちゃうか?まあ、この二人はこれでほぼ白やな。それにしても、まさか俺以外にもあのメールを受信して、その通りに行動した奴らがおったとは驚きや。




