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順の勝手に自己紹介を聞き終えた沢口と名乗る男が馴れ馴れしく麻紀に近寄り、話し掛ける。
「これは紅一点ですやん。お綺麗な方で。よろしく!」
気安く近寄るな!麻紀、無視したらええで!
「紅一点?その中華料理屋美味しいのん?」
なんでやねん!男の中に女が一人の事や!そのくらいわかるやろ!
「なんや麻紀ちゃん、紅一点は有名やで!海老チリがオススメや!」
もう一人アホがおったわ・・・。そんな中華料理屋どこにあるねん!
「今度グランなんちゃら言う大阪の北に出来たでっかい建物にも二号店出すらしいな!」
え?心まで・・・って、もしかしてホンマに紅一点って言う中華料理屋が存在するんか?知らんのもしかして俺だけ?・・・良かった。口に出して罵ってたら、こっちが恥かくとこやったわ・・・。
「なあ、太一。今度食べに連れてってや!ウチ中華大好きやねん!約束やで!」
「お、おう!紅一点やな!わかった。」
「はあ?紅一点?アホちゃうの?」
え?え?えええええ?今、紅一点って言うて皆で盛り上がってたやん!
「おいおい、太一!しっかりしてくれよ・・・。香味一店やで!テレビでもよう出てるやろ?」
コウミイチテン・・・紛らわしい。紛らわし過ぎるで、おまえら。
「まあまあ、多分、なんかと聞き間違えたんですやろ。それよりなんか飲み物あったら頂きたいんですけど・・・。」
沢口とか言うたのう。なんかムカツクで!その上から目線的な態度はなんや・・・。それに飲み物?そんなもんあるかいっ!
「この小屋の裏手に湧き水の小川あるから、飲んで来たら?」
麻紀!そんな奴らにいちいち教えんでええんや・・・って、あかんあかん。なんかだんだん俺、ちっちゃい男になって行ってるやん。ここはもっと広い心でドンと構えてなあかん!
「ほんまですか!ほな、ちょっと行ってきますわ。おい、コガッチ!ボサっとせんと、さっさと行くで!」
小柄でコガッチ・・・。いやいや、どう見ても190センチはあるで。 って、それはどうでもええんや。それより、あいつ等がおらへんうちに、緊急会議や!心もこのタイミングを待ってましたとばかりに俺の方に詰め寄る。
「まず、順!ペラペラ喋り過ぎや!それに、ちょっと疑えよ・・・」
心が順に説教する。心がしてへんかったら俺がしてるとこや。しかし、順は懲りてないというより、悪気は無いようで、
「大丈夫や。さっきも言うたけど目を見たらわかる!タイタニックに乗ったつもりでそれがしに任しといたらええねん!」
いや、沈んだがな・・・。それより時間が無い。すぐ戻ってくるやろから、今後の打ち合わせしとかんと、いざという時えらいこっちゃ。
「とりあえず、あいつらが本当に遭難したっちゅうのは信じられへん。かと言って金を狙う奴らかもはっきりとはわからへん。一つ言える事は、あいつらも俺らがどんな奴か様子を窺ってるっちゅう事やろ。金の話題出した時のあいつらの反応も微妙やったし、こっちは男三人・・・とは言うても、あの小柄って奴は只者やないから、三人がかりでも太刀打ちできるかは微妙やけどな・・・」
心が一気に喋る。俺の考えと大体同じや。麻紀はあまり危険やと言う状況を理解してへん・・・。
「麻紀、頼むから今度は逃げろ言うたら逃げるんやで!最悪殺されるかもしれへんねんから、頼むで!」
「わかったわかった!次はちゃんと逃げるようにするわ。」
ほんまにわかってるんやろか・・・。
「まあ、麻紀ちゃんは太一が守ってやってくれ。いざという時は俺と順で食い止めるから、その隙に逃げたらええんや。」
「すまん。まあ、そんな状況にならんことを祈るわ。」
結局、油断せんようにあいつらを三人で注意深く監視するっちゅう事で合意した。と、同時にあいつらが戻ってきた。




