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怖恐 ~ 田代館の恐怖 ~  作者: くきくん
第一章 住所
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1-7

「また来た・・・しかも、送信者の欄、また空白や・・・」


さすがの麻紀も故障やいたずらとは思えなくなったようで、その表情は引き攣ってた。正直、霊的なもんは信じてへん。テレビとか観てたら怖いと思うことはあるし、夜中、墓の前や廃病院なんかには近寄りたいとは思わへん。でも、霊の存在はありえへんと思ってる。


そやから、この状況になっても、やっぱり心のどっかでは単なる誤送信とか、もしくは悪質ないたずらでPCとかやったら送信者の欄とか空欄に出来るんちゃうかな?って思ってる。


やっぱり日付とか時間は一緒で今日の13時・・・住所も覚えてしまいそうや。麻紀はかかわりたくないんか、スマホでなんかしてるし、どうしたもんか・・・


とりあえず、PCの電源を入れてもう一回住所の場所を見てみる事にした。それにしても、昼間の明るい時間に一人でも無いのに、怖いっちゅうのも不思というかなんというか・・・


PCが起動し終えると、履歴から地図サイトを起ち上げて、スマホの画面を見ながらもう一度あの住所を入力した。


「あれ?おかしいで?」


俺が声を漏らすと、麻紀が画面を覗き込んできた。


「ほんまや。打ち間違えたんちゃうの?」


もう一度スマホの画面を確認する。一字一字慎重に・・・しかし、何度見ても間違ってない。


「なんでや。麻紀も見たやろ?」


「うん。たしか田代霊園やった?」


「そや。そんな名前やった。それやのに、今確認したら、この住所、なんか大型ショッピングモールやん。ミオンやし、よく考えたら麻紀と二回くらい行ってるやん。」


「ほんまや。ってうか先月も行ったし・・・どうゆうこと?あの田代霊園ってなんやったん?」


「よおわからん・・・」


そう言いながらも、地図のサイトはそのままに別窓を開いて、『田代霊園』と検索してみた・・・


すると、他の住所の田代霊園は見つかったが、スマホの住所は大阪の北の方だった。全てを調べる元気はさすがに無かったが100件くらいはざっと目を通してみたが大阪で田代霊園というのは発見できんかった。


「やっぱりいたずらなんやろ。結果的には心まで巻き込んで悪いことしたなぁ・・・もう、このメールの事は忘れて、どっか出かけよか!」


所が麻紀からは意外な返事が返ってきた。


「行ってみる?ミオンモール。ちょうど暇やったし、高速乗ったら1時間程で着くやろ?」


まさか麻紀がこんな事言うとは思わへんかったから一瞬聞き返してしもた。


「行くの?今から?本気で言うてんの?」


「だってこのままやったら気になるやん。」


そこへ、いきなりスマホが鳴った。二人ともびっくりして、麻紀はベッドから落ちそうになってるし、俺はまたスマホを放り投げてしもた・・・


しかし、その着信音からメールではなく電話やと言う事に気付いて慌てて、スマホを手繰り寄せた。そして、相手も確認せずに電話に出ると、


「おう!太一か?」


「も、もひもひ・・・どちらさん?」


「おいおい、もひもひってなんや!流行か?俺や!川上や!」


「心かっ!脅かすなや!」


「いや、普通に電話しただけやし・・・っていうか、その驚き方からするとやっぱりあのメールが関係してるみたいやな?」


おいおい、なんでこいつそんな事知ってんねん。さっきそんな事一言も話してへんし、こいつは霊能力者かっ!


「実はさっき上司にそのメール見せたんやけど、うちの会社で同じようなメールが来て故障かもしれへんってスマホ持ち込んだお客さんがおってな・・・そのお客さんその後料金未納で連絡もつけへんようになって、調べてみたら、理由はわからへんけど亡くなりはってなぁ・・・それが一件だけやなくて三件も同じような事例があったんで、心配になってなぁ・・・上司もその件知ってるから、今日は仕事上がらせてもうてなぁ。今は家か?」


「そやけど・・・」


「今から行くわ。ほな!」


それだけ言うと電話は切れた。こいつ、なんちゅう怖いこと言いよるねん・・・


「どないしたん?顔蒼いで・・・誰から?」


「え?あ、ああ、心や。今から来るって・・・」


「なんで?なんかあったん?」


「いや、まあ来てから話すわ・・・」


「ちょっと・・・めっちゃ気になるやん!なんなん?」


「いや、すぐ来るから心から聞いてくれ。俺もイマイチ意味がわからんねん。」


麻紀はかなり気になってるみたいやったけど、すぐ来るっちゅうことで、渋々引き下がった。数分後、チャイムが鳴っておかんが心を招き入れた。階段を上ってくる音が聞こえて心が顔を覗かせた。急いできたのかスーツ姿のままやった。


「おう!お疲れ~」


心は入って来るなりその場に座って、一呼吸置くと、PCの画面を覗き込んだ。

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