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「さて、これからどうするかや。麻紀ちゃんの言う通り、自分で言うのもなんやけど、俺の無事も確認できた事やし、これ以上ここにおる理由はあらへん。人骨の事は下手に触らず警察に知らせるんが一番やし、俺の仮説が正しかったとしても、ここでできる事は無いやろ。」
心の意見に麻紀は激しく同意してるようで、首を上下に振りながら、
「心ちゃん!その通りや!そんなんウチらじゃどうしょうも出来へんねんから、さっさと戻ろうよ!」
それは俺も同じや。時間が経つにつれてなんか不気味に思えてきたわ。つまり三人の意見はここから早くでよっちゅう事なんやけど、問題児が一人・・・。あかん、また見えない何かと喋り始めた。
「なあ、太一。順ちゃん誰と喋ってんの?」
麻紀の質問はもっともや。それに麻紀は、ほとんど寝てたから、小屋での出来事も知らへん。
「独り言の一種や!残念やけどこっから長いねん・・・。」
「もうほっといて、三人で行こ!」
いや、さすがにそれはちょっと可哀想やろ・・・。
「まあ、ちょっと待ったろ。あの独り言は意外に役立つねん!」
実際にはわからへんけど、こうでも言わな麻紀は、一人で戻りかねへん。
「それがしは順や!・・・執事の神崎さんですか?なるほど・・・それで、そっちの二人は、お手伝いさんでっか。・・・ほう!雑賀っちゅう男に殺された・・・。って生きてますやん!」
・・・やっぱり順には、生きてる人間と霊を区別出来てへんようや。その後も傍から見ると独り言を・・・でも多分、順には見える何者かと延々会話し続けた。
麻紀も最初はだるそうにしてたけど、その内容の生々しさに、不思議さと恐怖の入り混じった何とも言えない表情を浮かべたまま、文句も言わず聞いていた。
いつまで続くんやろ?と、思いながらふと、順を見ると顔色がおかしい。明らかに紫色や!
「どないしたんや!順!大丈夫か!」
「・・・。あかん、SSSKや!」
「SSSKってなんや?」
「喋り過ぎて、酸欠や!」
「わかるかいっ!ややこしいわ!」
「と、言う訳や。皆どない思う?」
残念ながら順以外には、順の声しか聞こえてへんから、どない?って言われてもわからへんねん。
「やっぱりそう言う事か。」
心!おまえにも見えとんのかいっ!
「ウチにも聞こえたで。もしかして太一は聞こえてへんの?」
なんですって!?ま、まさか、俺だけ?俺だけが聞こえてへんの?って言うか、なんか見えてんの?
「まあ、もうここには用は無いから、小屋に戻ってから話すわ。」
心がそう言うて、俺たちは来た道を引き返した。戻る途中で思い出して、落ちてたキーホルダーを心に渡した。
「落としてたんか・・・。サンキュ!」
やっぱり心のやったんか。それにそしても、まさか俺だけこんなに霊感弱かったとは、自分でもビックリや。まあ、怖い思いせんでええから、別にええねんけど・・・。
――― そんな事は無いわ。
「うわっ!?」
そうやった。俺にはこの声があったんや。
「どうしたん?ビックリするやろ!」
麻紀が心配そうに俺を見る。順と心も立ち止まって振り返る。相当大声で叫んだみたいや・・・。
「気にせんとってくれ!ちょっと発声練習や!ここやったら大声出しても大丈夫やろ?」
「それやったら、歌とかにしてくれへん?心臓止まるか思ったわ!」
「そら、すんませんな。以後気を付けます!」
どうも、あの声だけは俺にしか聞こえへんみたいや。それにしても一体誰なんや?やっぱりあの声も田代家の関係者なんやろか。そんな事を考えながら歩いていると、いつの間にかマンホールのところまで、戻ってた。
順番に地上へ上がると、男三人でマンホールの蓋を閉じた。




