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怖恐 ~ 田代館の恐怖 ~  作者: くきくん
第八章 山小屋
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8-12

順がライトで照らしながら注意深く壁をチェックしてる。と、壁を叩きはじめた。


「この色のちゃう部分は空洞みたいやな。音が明らかにちゃうし・・・。」


そう言いながら更に調べてみると、ちょうど腰の高さくらいの位置に凹みがあった。


「これ、壁に見えるけど扉ちゃうか?」


俺はとりあえず引き戸の要領で凹みに手をかけて力一杯スライドさせてみた。すると、見た目以上に簡単に、しかも力一杯スライドさせてしもたせいで、勢い良く壁が開いた。


「重いんちゃうかと思ったら、軽かったわ・・・。なんでこんな所に隠し扉みたいなもん作ったんかわからへんけど、とりあえず奥に進むしか無さそうやな。」


天井は低く道幅も狭い。身長の低い麻紀でも天井と頭がすれすれで、俺と順は前屈みの姿勢やないと、歩けへんかった。


「この態勢はキツいな・・・。」


「でも、さっきより匂いはマシやで!ウチもう限界やったもん。」


言われてみたら、たしかに異臭はマシになった気がする。けど、今度はカビ臭い気がするわ。しばらくは屈んだ姿勢で進み続けた。すると、少し道が広くなり立った状態でも十分な高さになった。


よく見ると錆びついたツルハシが何本も地面に落ちてて、ロープなんかも無造作に転がってる。それらを見て順が、


「ここは多分、かの有名な地底に沈んだ伝説の都市マトランティスちゃうか!」


とか、また訳のわからん事を言い出した。すかさず麻紀が突っこむ。


「それって海底都市アトランティスの事言うてんの?あれって海の中やし、大陸ちゅうかった?」


「そうとも言うでござる。」


「いやいや、どう見ても炭鉱かなんかの跡やろ・・・。そこと下水道が繋がってるんや。」


道は広くなったけどまだ一本道でかなり先まで続いてるように見えた。壁をよく見ると今は多分点かへんと思われる古びたランプが大体等間隔で両サイドにぶら下がってるのが見えた。


「金の炭鉱やったらええのに!」


麻紀が呟く。たとえ金の鉱山やったとしても、勝手に採掘したらあかんやろし、すでに掘り尽くされたあとやと思うで・・・。と、声には出さずに心の中で突っこんだ。


でも、まあたしかに金やったら・・・と、考えたら、ちょっとワクワクするのもたしかや。


「で、問題は、心やで。足音や物音は聞こえへんな。そもそも心はなんでこんな所に来たんかもわからへん。」


順の言う事はもっともや。せやけどあの時たしか心が小屋から出ようとドアを開けた途端何者かと遭遇し争ってるようにも見えた。それから行方不明やから、もしかすると、その何者かを追いかけてここまで来た可能性が高いやろ。


とは言うても、これまでの心の慎重な行動からすると、わざわざ追いかけた理由がイマイチようわからへん・・・。


「太一君、ミキちゃん、とりあえず奥まで進むで!」


「誰がミキや!麻紀や!あほ!」


相変わらず賢いんかあほなんか理解に苦しむ順の言動に、苦笑しながらも順の後に続く俺と麻紀。


途中からトロッコのレールが左側に敷かれてるのが見えた。トロッコ自体は見当たらへん。電車には全く興味がないけど、なんかトロッコはソソられる・・・。


気が付けば順はそのレールの上を歩いてた。まあ、普通滅多にレールの上を歩く事なんか出来へんから、こんな状況ちゃうかったら俺も歩きたいとこやけど、さすがに今は疲労と心の事で、そんな気になれんかった。


「出発進行!」


「勝手に出発しとけ!」


順と麻紀の掛け合いが続く・・・。それにしても長い直線や。もしかしてどこまでも続くんちゃうか?と、思い始めた時、ようやく目の前に行き止まり・・・いや、正確には突き当たりに扉があるのが見えた。


トロッコのレールは左に曲がって更に奥へと延びていた。レールの上を進めば更に奥に行けそうや。ただ暗過ぎて先が全く見えへん。順は一旦レールから離れ扉の前で止まった。


「まずは扉を開けてみた方がええかな?」


扉は鉄製で錆びついてて、開くなどうか微妙や。もし鍵がかかってたら、突き破るのは無理っぽい。けど、もし心がこっちに来たんやったら開くはずや。


順がゆっくりと扉に手をかけて押す。ギギギと定番の効果音みたいな音と共に扉が開くと、順が声を上げた。


「心!心!大丈夫か!」


順の体で中の様子が、見えへん。慌てて順の体を押し退けるように、俺も扉の向こうに割って入った。そこは元々は作業員達の休憩室かなんかなんやろ・・・。壁にはヘルメットとかがぶら下がってるのが見えた。


真ん中には横長の机と椅子が並んでた。その椅子の横に心が倒れてるのがぼんやりと見えた。順と慌てて駆け寄ると心の体を揺さぶり声をかけた。息はしてる・・・。生きてる事は間違いないけど、暗くてどっか負傷してるのかまではわからんかった。


しばらく声をかけ続けると、


「う、う・・・ん。あ、あれ?ここどこや?太一に順・・・麻紀ちゃんまで、何してるんや?」


「おい、大丈夫か!心!どっか痛ないか?」


心は体を起こすと、腕を回したり、腰を捻ったりして自分の体が無事か確認すると、


「大丈夫や。腕がちょっと痛いけど問題あらへん。ただ、記憶が無いねん・・・。」


心はどうやら、ここにどうやって来たか覚えてへんらしい・・・。まあ、とにかく心が無事で良かった。

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