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反対側は上から水滴が落ちてきて、それが地面を流れてる為、なんかヌメヌメしてて滑りやすい。
「大丈夫か?麻紀!気をつけんと、滑る・・・うわっ!?・・・あいたたたっ!」
人に注意を促しときながら、自分が転倒するとは情けない話や。しかも、危うく滑って水路にハマるとこを、麻紀に助けられた。
「ちょっと頼むで!ウチがおらへんかったら太一、あの汚い水の中に水没するとこやで。」
「すまんすまん・・・。」
尾てい骨がちょっと痛かったけど、まあ打ち身程度やろ。転倒したついでに、ちょうどキーホルダーがあったから手繰り寄せて、順と麻紀に見せた。
「それがしは心のキーホルダーをマジマジと見た記憶が無いからなんとも言えへん。」
「ウチもハッキリ覚えてへんけど、そのドドモのキーホルダーは最新のヤツやで。この前二人でドドモショップ行った時に、キャンペーンかなんかで貰えるって書いてあったもん。まあ、あんま可愛く無いからウチはいらんけど、とにかくCMでもやってたし、まだキャンペーン始まって一週間経ってへんのは間違いないわ!」
となると、少なくとも一週間以内に誰かがここに来てキーホルダーを落としたんは、間違いないっちゅうこっちゃ。まあ、間違いなく心のや思うけどな。
「まあ、とりあえず奥に進んでみよか。」
そう言って順は奥の通路の方へ歩き出した。俺はとりあえずキーホルダーをポケットに入れると今度は転倒せえへんように、一歩一歩慎重に歩いた。
先に通路の前に着いた順は奥の方にライトを当てて、中の様子を探ってるようや。
「順!なんかあるか?」
「うーん・・・。行き止まりのようにも見えるけど結構奥まで続いてて、このライトじゃ奥まではっきり見えへんわ。とりあえず進んでみんとなんとも言えへんな。」
順を先頭に俺と麻紀が後に続いて通路に入った。ここは狭く、壁に手をつくとヌルっとした感触に思わず声をあげてもうた。
「なんや、これ!気色悪ぅ!」
「ウチも触ってもうたし・・・。もう最悪!臭いし、キモいし、早く出たい!」
気色悪いと言いながらも匂ってしまう俺。蛍光グリーンなその物体はまさにスライムと呼ぶに相応しい。匂いは意外にも無臭やった。とは言え、周りが臭いから鼻がおかしくなってるんかもしれへん。
俺と麻紀がそのスライムを剥がすのに悪戦苦闘してると、先に奥に進んでた順が大きい声でなんか言うてきた。
「あかん!奥は行き止まりみたいや!」
なんやそれ・・・。行き止まりって・・・ほな入り口付近に落ちてたキーホルダーは何を意味するねん。
――― 壁を調べてちょうだい・・・。
え?なんや今の声!
「麻紀、今なんか言うたか?」
「いや、なんも喋ってへんで。」
ほな、今の声は誰や?明らかに女の声・・・!?そう言えば前にもこんな声聞こえたよな。壁を調べるてどういう事や?まあ、とりあえず順に伝えてみるか・・・。
「順!壁になんか無いか?」
「壁?今から調べてみるわ!」
順の返答より先に俺と麻紀は順の傍まで辿り着いてた。結局三人で手分けして壁を調べてみると、麻紀が何かを発見したみたいやった。
「暗くてハッキリとはわからへんけど、ここだけ色違うと思わへん?」
麻紀がその場所を指さして言う。俺と順も近寄り壁を凝視してみる。たしかに麻紀の言う通り微妙に色の違う所がある。




