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「順、なんか鉄の棒みたいなんいるで。小屋の中とかにあるんちゃ・・・・・・お、おいっ!マジか・・・。」
順はマンホールにいくつか開いてる穴の一つに指を挿すと、顔を真っ赤にしながら、凄い雄叫びを上げながら、マンホールの蓋を持ち上げて横にずらした。ありえへん怪力ぶりや・・・。
「キーボードで鍛えたこの人差し指筋と中指筋の力を見たか!」
そんな名前の筋肉があるかどうかは知らんけど、とにかく凄かったんは認めるわ。それにしても、心はあの一瞬でマンホールの蓋を開けて中に入り、更に蓋を閉めたなんて、ありえへんけど、他の情報も無いんやし、とりあえずは中に入ってみるか。
いや、あかん・・・。このまま降りたら麻紀を一人にしてまう。
「どないしてん、太一君。早く行かなあかんで!」
「麻紀を一人にしたらマズいんちゃうか?」
「そうやった。ほんならそれがしはここで待ってるから、急いで連れてきてくれ。」
「わかった!ちょっと待っててくれ!」
俺は急いで小屋に入ると麻紀を叩き起こした。予想通りめちゃくちゃ期限は悪かったけど今はそれどころやない。事情を説明してなんとか順の所へ戻った。
俺と麻紀が来たのを確認すると、何も言わず先に穴の中に下りて行った。
「え~!こんなとこ入んの?ありへんへんし・・・でも心ちゃん助けなあかんねやろ?我慢するわ。」
文句を言いながらも俺より先に麻紀が下り始めた。
「足元気を付けるんやで!」
「大丈夫や!淳ちゃんがライトで照らしてくれてるから・・・って、めっちゃ臭いんですけど・・・」
続いて、俺も穴の中へ入る・・・たしかに臭い。それに水が流れる音が聞こえてくる。不思議や・・・。こんな山の中腹に下水道が通ってるなんておかしいで・・・。それに水は高い所から流れてくるもんやろ?どっから流れてきてるんや。まあ、その疑問は今は置いといて、三人無事に下まで辿り着いた。
順がライトで周囲を照らすと、目の前にそれほどの量ではないけど水が流れてる。そこから臭気が立ち込めてる。道は左右に伸びていて、対面にも通路がある。つまり水が流れている水路を挟む形で通路があるんや。ただ、俺たちがいるのと反対側の通路は途中で途切れてて、左方向には奥へと通路が続いてるように見えた。
一方で俺たちのいる側は人が横に三人くらいは並んで歩けそうな道幅で、ライトだけでは先が見えへんくらい左右とも奥へ真っ直ぐ伸びてた。水路の幅は1メートルちょっとやろか・・・。十分飛び越えて向こう側に行けそうや。
「さて、いきなり三択や!向かい側の奥の通路、右、左と選択肢は三つ。水の流れから、右側が下に向かってるっちゅう事はわかるから、左側は屋敷の方へ続いてるんかもしれへんな。」
順が左側に向かってライトを照らしながら言う。まあ、順の言ってることで間違いないやろ。問題は心を探さなあかんねん。帰りたいだけやったら、下の方向へ歩いていけば多分下山出来ると思うんやけど・・・。
俺と順が考えてると、突然麻紀が、
「向かい側の奥へ続く通路の手前側になんか落ちてるで!」
言われてみればなんかあるようにも見える。順がその方向にライトを当てる。
「ほんまや。キーホルダーかなんかかな?」
「心ちゃんのキーホルダーちゃうの?ドドモのマスコットキャラのキーホルダーやろ、あれって。」
心はドドモショップで働いてるから、持ってても不思議ではない。ただ、いちいち人のキーホルダーを覚えてへんから、なんとも言われへん・・・。ただ、こんな場所にキーホルダーが落ちてる事自体、普通無いやろし多分心の物で間違いないやろ。
「わざと落としたんか、偶然落ちたのかはわからへんけど、状況から見てあっち側に行った可能性が高そうやな。」
「太一君の意見に賛成や。ほな行くで!」
俺と順が先に向こう側に渡り、麻紀がそれに続いた。




