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怖恐 ~ 田代館の恐怖 ~  作者: くきくん
第一章 住所
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1-6

部屋に戻ると、またスマホにメール受信を知らせる着信音が鳴り響いた。さすがに麻紀も飽きれた顔で俺の方を見てる。


「なんなん?ちょっとしつこくない?」


「俺に言われても知らんがな・・・」


そう言いながらも受信ボックスを開いてみる。やはり件名は無い。そこで俺は初めてある異変に気付いた。


「おい麻紀!やっぱりこのメール変やわ!」


「そんなん初めからわかってるやん。」


「ちゃうねん!ほら見てみ!」


そう言って麻紀にスマホの画面を見せる。


「どこが変なん?」


「ここや!ここ!」


俺は送信者の所を指さした。普通メールが届くと、アドレス帳に登録しているメアドはその登録名が送信者に表示され、登録していないメアドはそのままメールアドレスで表記されるんやけど、このメールはよく見ると送信者の欄が空欄のままやった。


「ちょっと意味わからんし・・・なんなん?これ。なんか怖いねんけど・・・」


麻紀の一言に俺までなんか怖くなってきた。


「昔、映画であったやん・・・なんかマンホールからなんとかっていう人が出てくるやつ・・・」


「井戸やけどな・・・そんなことより、送信者が表示されへんとか異常やし・・・」


「スマホ壊れてんのちゃう?」


言われてみれば、激しく落とした事を思い出した。そうか・・・壊れてるんか。まだ、機種変したばっかりやからもしかしたら交換してもらえるかもしれへんし、予定も決めてへん。幸いにも携帯ショップはチャリで三分程やし行ってみるか。


「壊れてる可能性あるし、悪いけどドドモショップついて来てくれへん?」


「かまへんよ。欲しいケースあったし、ちょうどええわ!」


俺たちは、そのままドドモショップに向かった。ドドモショップには高校の同級生の川上カワカミ シンが働いてる。もし、落としたのが原因でもあいつやったら多少は大目に見てうまいことやってくれるかもしれへん。そんな願いも込めつつ、ショップに到着した。平日の昼間でも何組かの客が店内をウロウロしていたり、椅子に腰かけて自分の番を待っている人がおった。


「やっぱり待ち時間あるなぁ・・・」


店内に入ると心が俺たちに気付いたのか、軽く手を挙げた。しかし、忙しいのかそのまま奥の方へ姿を消した。俺は端末を操作し、順番を待つため発券することにした。


「故障やからその他でとりあえずええか・・・」


「なんでもええやろ。」


相変わらず他人事になると麻紀が適当やった。待ち時間の予測では約30分となっていたので、麻紀と一緒にアクセサリーを見たり、タブレットを触ったりして時間を潰した。


「番号札、3番でお待ちのお客様。お待たせしました。」


偶然にも担当は心だった。内心、他の店員だと面倒やなと思ってたから助かった。


「今日はバイト休みなんか?」


心は何かの書類を書きながら聞いてきた。


「そや。今日は二人とも休みやねん。」


「こんにちは~」


「麻紀ちゃん、こんにちは。相変わらずべっぴんさんやね~」


「嫌やわ~心ちゃん、相変わらず社交辞令上手いねんから~」


「事実を言うただけや。」


くっ!こいつはええ奴やけど女癖だけは悪いねん。油断しとったら、麻紀にもちょっかい出しよるで。


「で、今日はどないしたんや?この前新しいのに変えたばっかりやろ。まさかもう新しいのに目移りしたんか?」


「ちゃうねん。どうもこのスマホ不良品ちゃうか?と、思ってなぁ。」


「とか言うて、おまえ落としたんちゃうやろな?」


うわっ!鋭い!こいつ鋭いわ・・・内心はドキドキしとったけど、まあ見た目どこも傷もついてへんし、バレへんやろ・・・っていうかバレてもこいつやったらなんとかしてくれるはずや・・・


「これ見てくれ。このメールや!送信者が表示されてへんねん・・・」


俺はそう言って住所だけのメールを心に見せた。心はスマホを受け取ると、色々操作して首をかしげながらも、今度は何も言わず上司らしき人物に耳打ちしながら話し込んでいる。上司らしき人物も、俺のスマホを手に取り首をかしげている。しばらくやりとりが続いた後、心は奥へと消えて5分ほどで戻ってきた。


「どうも、ほんまに不良品みたいやな。上司と相談したら新品と交換してくれるそうや。今から情報移動させるから、ちょっと待っててや。」


心は箱から新しいスマホを取り出して、電源を入れるとICカードを入れ替えたり、データを転送したりと手際よく作業を進めていた。麻紀はいつのまにか他のスマホとかを見に席を立っていた。


「よし、これでOK。今回は不良品扱いやから、特に費用とかもかからんけど、一応ここにサインだけしてくれるか?OK。ほな、これ控えな。これで大丈夫やと思うけど、またなんかあったら連絡してくれるか、来てくれたらええわ。サービスで保護フィルム入れとくわな。」


「おう、サンキューな!助かったわ。麻紀!行くでぇ~」


麻紀を呼んで、再び部屋に戻った。それほどアプリとか入れて無かったけど、それでも色々初期設定とか面倒やなぁ・・・と思いつつ、スマホをいじってると、再び、メールを受信した。さすがに背筋に冷たいものが走った・・・


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