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怖恐 ~ 田代館の恐怖 ~  作者: くきくん
第八章 山小屋
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8-2

それにしても、もし順のペンライトやスマホが無かったら何も見えへんかったやろ。ただ、スマホはあんまりバッテリーが持たへんから気をつけなあかん。一応、順がモバイルバッテリーを何個か持ってるから多少は余裕あるやろけど。


足元には枯葉や枝が敷き詰められてて、歩きにくい。時々根っこもあって、危うくこけそうになる。暗い上に歩きづらい・・・何よりこの方向であってるんかが不安で、一層疲れる。じっとしてると肌寒いというかむしろ寒いくらいやけど、さすがに歩いてると額に汗も滲んできた。せっかく風呂入ったのに湯冷めして、風邪引いてまいそうや・・・。


と、いつのまにかスマホやペンライトに虫が集まってきた。蚊はまだ時期的に早いんちゃうかな?いや、山やったらおるんかもしれへん。とにかく小さい虫が結構仰山おる。麻紀は気持ち悪そうに手で払いのけながら歩いとる。それでも文句を言わへん所を見ると、多分喋る元気も無いんやろ・・・。


「所で、ふと思ったんやけど、あの窃盗団も同じ山小屋目指してたら鉢合わせになるんちゃうか?」


後ろから心が言う。それに順が、


「まあ、その時はその時で考えたらええやろ。ちなみに俺の記憶と勘が正しければ、あと30分もすれば山小屋に出るはずや。頑張れ!」


そんなに近かったやろか?まあ、順を信じて今は歩くしかあらへん。


「なんでそんなに近いか聞きたいんか?」


いや、誰も聞いてへんけどな・・・。


「それは、ショートカットしてるからや!それがしルートや!お蔭でちょっと歩きにくい道やけどな。」


多分、誇らしげな表情を浮かべてるんやろけど、どう考えても道ではないと思うで・・・。まあ、突っ込む元気もあらへんけどな。


スマホで時間を確認する。そろそろ日付が変わりそうや。23時58分・・・。あと30分ってことは0時30分くらいには到着予定か。とにかく頑張って歩くで!そう自分に言い聞かせてひたすら歩きにくい斜面を歩き続けた。


―――30分後


「ほら!山小屋に着いたで!」


意外とすんなり着いたな。心のどっかでは道に迷う可能性も大きかったんやけど、とにかくこれで一休み出来そうや。


「ウチ、もう歩けへんで・・・。喉も乾いたし、なんか小腹も空いたわ。」


麻紀は地面にへたり込んだ。俺と心も同じくへたり込んだ。順はライトを消して、一人、山小屋の方へ歩いて行った。体力自慢は伊達じゃないなと思いながらも、とても後を追う元気は無く、はぁはぁと肩で息をするので精一杯や。


しばらくして順が戻ってくると、


「今の所、窃盗団がここに来た形跡はないな。もし小屋におったらと確認したけど中は間抜けの殻!」


いや、もぬけの殻やろ・・・。


「所で、ここまで来たらいっそ下山もありかもしれへんと思ってたんやけど、その様子じゃ無理そうやな。」


順がそう言いながら、またどっかへ歩いて行った。


「あ、あいつ元気やな・・・。」


俺が心に言うと、


「まあ、結構使えるヤツや。ちょっとズレとるけどある意味文武両道なんや。まあ、家計がエリートやしな。」


なるほど。そう言えばおやっさんは警察官で叔父さんは自衛隊の偉いさんやったな。そのDNAを受け継いどるっちゅうわけか・・・。

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