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怖恐 ~ 田代館の恐怖 ~  作者: くきくん
第七章 ブロマ
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7-4

「心!麻紀!起きてくれ!順が一人で無茶しよる!」


麻紀は無反応や。一方で心は、目を擦りながらも体を起こした。俺は麻紀に近寄ると、体を揺すって起こした。


「どないしたんや?もう交代の時間か?順の姿が見えへんけど・・・」


周囲を見回しながら、まだ寝ぼけた様子でぼそぼそと呟く心。麻紀はなんとか起きたみたいやけど、まだ半分以上寝てるようや。


「順が、なんや大切にしてたAKYのブロマイドが盗まれたみたいで、その犯人探しや言うて、部屋を飛び出して行きよった!一人はあかんて、止めたんやけど、聞く耳持たず行ってしもたんや。俺が追いかけたら、おまえら寝てる二人を置いていく事になるから、とりあえず起こしたんや。」


「あほは放っといたらええねん。そんなことでウチの眠りを妨げるとかありえへん!」


麻紀は起こされた事に怒り心頭や。っていうか、放っといたら麻紀は朝まで寝るんちゃうか・・・。


「で、イマイチそれだけが状況が理解出来へんけど、要するに順を追っかけた方がええっちゅうことか?」


「さすがに一人はマズいやろ。ブロマイドはどうでもええねんけど、かなりショックやったようやから、何をしでかすかわからへん。執事のじいちゃんが犯人やと思い込んでるみたいやしな・・・。」


「ほな、とりあえず一階に下りたんやろな。行ってみよか!」


「やっぱりウチも行かなあかんの?」


麻紀がだるそうに俺を見る。


「一人でこの部屋でおるんやったらかまへんで。」


「それは嫌や!」


「ほな、行くしかないやろ。洗濯物も取りに行かなあかんねんし、ちょうどええやん!」


「まあそうやけど・・・」


麻紀も渋々ベッドから立ち上がると、俺たち三人は部屋を出た。二階では物音も聞こえへんし、やっぱり一階に下りたんやろ。俺が先頭になって階段を下りた。と、奥の方で話し声が聞こえてきた。


「あれは、順の声や!応接室の方ちゃうか?」


心が叫ぶ。


「よし、とりあえず応接室や!」


麻紀に気遣いながらも、俺たちは走って応接室へ向かった。まあ、走るほどの距離でも無いんやけど、ついつい急いでしまう・・・。応接室のドアは少し開いてたから、そのままなだれ込んだ。


「そうように申されましても、私には何の事だかさっぱりわかりません。何度も申しますようにあなた方が入浴中は私はこの奥の調理場の方で作業をしておりましたので・・・。また、奥田、沼井の両名は女性の方と露天風呂にいたはずですが・・・」


「ほな、なんでブロマが無くなってるんや!それにおっちゃんここで作業言うて、外で剣道の練習もしてたやろ?」


「いえ、私、剣道は学生の時に授業で経験しただけでございます。ご主人様は剣道有段者でございまして、こちらにおいでの時はしばしば庭の方で練習に励んでおられることもございますが、今は最初に申しあげましたように旅行に出かけられております故に、この屋敷内で剣道をする者はおりません。」


「それやったら、そこにおる沼井ちゃんしかおらへん!」


と、じいちゃんの後ろで困り果てた様子のメイドに詰め寄りそうになるのを、俺と心が止めに入った。


「まあ、とりあえず落ち着け!冷静に話し合った方が話は早い。俺は寝てたから詳しい事情はようわからんけど、とりあえず皆、一旦座ろ!」


心が順をなだめてソファーに無理やり座らせると、向かい側に執事のじいちゃんとメイド二人を座らせた。俺たちは順を挟むように両側に、反対の隣には麻紀を座らせて、順から改めて話を聞いた。


「AKYのブロマとかどうでもええし・・・。そもそも48000人全員テレビに映らへんやん!メンバー多すぎるねん!」


何故かAKY自体のダメだしをする麻紀を余所目に心が話し始めた。


「ウチの会社でもAKYはCMに出てもらったりしてるし、今大人気のグループや。そやから順の言う窃盗グループの噂も知ってるし、社員同士でも話題になることもあるんやけど、あくまでも噂や。まさかほんまに存在するとは思ってへんかった。たしか、データのやりとりもネット上では不可能らしいから販売ルートもネットを介さへん、闇のオークションがあるとか・・・。これも噂やけど、順が盗まれたとなると、もしかするかもしれへん・・・。」


「そやねん。闇のオークションの存在も掲示板の12chでスレが乱立してるんや。毎日のように炎上してるんやけど、その炎上も話を誤魔化すために窃盗グループがわざと炎上さしてるんちゃうかとまで言われてるんや。」


順が興奮して語る。麻紀はすでにどうでもよさそうで、隣でずっとアクビを繰り返してる。


「そこでや、こういうことは警察に任せるんが一番やねんけど、俺らの携帯は圏外や。おっちゃん、この屋敷の電話は繋がるんか?」


「もちろんでございます。そちらにございますので、必要とあらばご自由にお使いください。」


と、行って、俺らの後ろの棚の方を指さした。そこにはダイヤル式の黒い電話機があった。てっきり、ここの主の趣味で単なる置物やと思ってたんやけど、たしかによく見ると、電話線が繋がってた。

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