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「太一!そこは押すんや!」
「ほんまか・・・そらすまんのぅ。」
気を取り直して、押してみると、ドアが開き、そこには通路がかなり奥の方まで一直線に伸びていた。
「おいおい、めっちゃ奥まで長いやん。っていうか奥が見えへんで・・・。」
ほんまに長い。薄暗いのもあるけど先が見えへん。っていうか、ここは一体何?この先に一体何があるんや・・・。
「とりあえず、奥に進むしかあらへんな。俺とした事が不覚や。二人で控室に入ってしまうとは・・・風呂入ってちょっと頭がボーっとしてもうて、油断してたわ。」
たしかに心はこれまで、色んなことに警戒心強かったのに、控室に入るときは無防備やったな。今日の心やったら『そこは罠や。俺は騙されへんで!』みたいに言うのに・・・。まあ、今さらそれをどうこう言うてもしゃあない・・・。とりあえず、罠かもしれへんけど進む以外に選択肢はあらへん。
それに、さっき二階で大きめの物音が聞こえた。もしかしたら麻紀や順の身に何かあったんかもしれへん。そやからのんびりしている暇もあらへん・・・。
先がどうなってるかわからんへんけど、どうせそんなに長いとは思えへんし、俺と心は小走りに奥へ進んだ。思った以上に長い・・・一体、何の意味があってこんな長い廊下を地下に作ったんかわからん。多分50mくらいあったんちゃうやろか・・・ようやく、突き当りが見えた。そこにはまた扉がある・・・。
「まさか、これを開けたらまた延々と通路が続いてて終わりが無いとかちゃうやろな・・・。」
心が怖い事を言い出す。それだけは勘弁してくれ・・・そう願いつつ扉を開けた。
「あっ!?」
思わず俺と心は声を挙げた。
「た、卓球台?」
そう、そこはどう見ても卓球台が置かれただけの卓球ルームや。
「何のために地下に?それもあの長い廊下は一体・・・」
「ウォーミングアップや!卓球するためにまずウォーミングアップを行う為に廊下なんや!これは相当無駄な道楽や・・・これだけ地下に通路掘るだけでもかなりの費用がかかるやろ・・・」
「で、どうするんや?これから・・・まさか二人で卓球するわけにいかんし、見た所出口らしきもんは・・・いや、ある!」
一見、卓球台が置かれただけの部屋に見えたけど、奥の壁をよく見ると部分的に色が変色している部分があった。俺は近づいて壁を触ってみた。
「どっかにスイッチかなんかあるやずや。ほら、隙間があるし、ここから風が出とる。多分、外への非常口・・・では無いか・・・わざわざ仕掛け付ける非常口っちゅうのもおかしいもんな・・・」
俺は話しながらスイッチを探し続けた。
「これや!多分。」
心が卓球のラケットや玉などが置かれた棚の奥にスイッチを発見して押した。すると、目の前の壁がスライドして上へ続く階段が姿を現した。色々ツッコミたかったけど、今はそれどころやあらへん。急いで階段を駆け上がると、目の前のドアを開けた。
「ここは・・・どこや?真っ暗でわからへん・・・外やっちゅう事はわかるんやけど。」
俺は目が慣れてないせいもあるんやろけど、360度見渡す限り漆黒の闇に翻弄されながらも、手探りで一歩、一歩と前に進んだ。
「慌てるな!太一。もうちょっとしたら目も慣れてくる。多分屋敷の周りの森やな。階段下りて真っ直ぐ50mくらい進んで、そのまま地上に出たんやから、大体の位置はわかるやろ。こんなことやったらせめてスマホくらい持ってくるんやったわ。ライト変わりになったのな・・・」
心はそう言うとその場で目が慣れるまでじっとしているように俺の手を掴んだ。たしかにガサガサと木々が揺れる音が聞こえるし、虫の鳴き声も聞こえる。足元には落ち葉があるんやろか、パリパリという音と感触があった。




