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奥田ちゃんの部屋はどこや?たしか、こっちと反対側の方やったはずや。ところで、麻紀ちゃんはまだお風呂か?
いや、奥田ちゃんや沼井ちゃんと一緒に入ってるはずやから、もう終わってるはずや。けど、二階は静まりかえっとる。そんなに広い建物ちゃうんやし、物音のひとつくらい聞こえてきてもええはずやねんけど・・・。
まあ、誰もおらん方がそれがしにとっては好都合やねんけどな。うひひ。
おっと、ここや、ここ。あかん、緊張してきたわ。せやけど、今を逃したらもう二度とチャンスは無いかもしれへん。よっしゃ!勇気出して行くで!
「お、お、奥田ちゃん!そ、それがしジャンです。」
し、しもた!自分の名前間違ごうた!ジャンって誰や・・・。って、むしろ名前なんてどうでもええんや!気持ちの問題や。・・・・・・。返事も無ければ扉が開く気配も無い。それに、中に誰かおる気配もあらへん。
困ったでぇ。今しか無いのに。そう言えばこの先奥の部屋が使用人の控え室言うたな。そっちかな?よし、行ってみよ。ただ、沼井ちゃんも一緒かもしれへん。まあ、その時はその時や!
おっ!ここや。それがしは、ちょっと強めにノックしてみた。
「誰かいませんか?ジョンです。」
ああ!また間違えてもうた・・・。って、どうもここにもおらんようや。さすがに扉開けるんはやめとこ。もし着替えでもしてたらえらいこっちゃ。
ほな、皆一階に下りたんか?まあ、このまま二階におってもしゃあないし、とりあえず一階に下りてみよか。それがしは引き返して階段を下った。途中で壁掛け時計が目に付いた。時計は8時50分をちょっと過ぎた所や。
一階に下りると、玄関の方から風の音が聞こえてきた。誰か外に出ようとしてるんかな?それがしは食事をした応接室に向かうつもりやったから、ついでに玄関を覗いてみた・・・。
「あれ?ドア開いてるやん・・・。もしかして、奥田ちゃん照れて飛び出したんやろか?」
とりあえずドアの前まで近づいた。そして、ドアを開けてみた。外は風が強かった。ちょっと雨も降ってるようや。と、人影が動いた気がした。しかし、外は暗い。真っ暗や。辛うじて建物からの光で敷地内はぼんやりと見える程度。
「誰かおるんか?お~い!」
何度か叫んでみたけど、返事が無い・・・。もし、奥田ちゃんやったら大変や。別に屋敷内におる理由もないし、それがしは、奥田ちゃんを探すために外へ飛び出した。抜かりなくペンライトは持って来てるから大丈夫や。
―――バタンッ!!
外に出ると、後ろでドアの閉まる音が聞こえた。風で閉まったんやろか?それがしは気になって、ドアを開けようとした。・・・が、開かない。
まさか!?
心か太一君のイタズラ?いや、沼井ちゃんがさっきの事を根に持って・・・。それとも、あのやりとりを見ていた麻紀ちゃんも実はそれがしに想いを寄せてたとか・・・。
まあ、ドアが開かへんことはどうでもええわ。それより、今は奥田ちゃんや!羊のおっちゃんに何かを命じられたんかもしれへん。そうやとしたらここは男として手伝わなあかんやろ!
「奥田ちゃ~ん!奥田ちゃ~ん!それがしも手伝うから~」
ペンライトの明かりを左右に振りながら敷地内を捜索した。気のせいか、低入れが行き届いてて、最初の雑草だらけで廃れた状態とは全然違う・・・。
きっと、それがしらが訪ねたから急いで手入れしたんやろ。多分奥田ちゃんが急いでそれがしの為に・・・それがしは目から食塩水が出そうになるのを必死で堪えた。




