5-3
ほな、今度はベッドの下や。それがしは、屈んでベッドの下を覗き込んだ・・・。
「お、奥田ちゃん!」
そう、そこには顔色の悪い奥田ちゃんがこっちを見つめてた、
「なんで、そんなとこに?か、顔色悪いけど、でぇじょうぶ?」
あ、あかん。緊張してちゃんと喋られへん。で、でも、部屋で待っててくれたなんて、もしかして、そ、それがしに気がある・・・ってことは?むふ、むふふ・・・。
でも、なんて言うたらええんや・・・。まさかいきなり『好きです』も変やし・・・。え?
気配を感じて振り返るとそこには、沼井ちゃんが立ってた。ふ、二人も?そ、それがしモテ期到来!?い、いや、落ち着け!落ち着くんや!いきなり二股はマズい。沼井ちゃんには申し訳無いけど、それがしは奥田ちゃん一途なんや。
「ご、ごめん。沼井ちゃん。き、き、気持ちは悪いけど・・・そ、それがしは、それがしは、お、お、奥田ちゃんが・・・す・・・き・・・」
言うたぁぁぁぁぁ!告ったで!そ、それがし彼女いない歴苦節二十数年。遂に、遂に告った!あっ!ぬ、沼井ちゃん凄い形相や・・・。つ、罪な男や。と、沼井ちゃんが突然両手を前に突き出したかと思ったらそれがしの首を両手で掴んできた。
気持ちはわかる・・・。それがしにも責任はあるんや。けど・・・けどな。沼井ちゃん。こうするしかないんや。それがしは、沼井ちゃんの両手を掴み返すと、引きはがそうと力を入れた。
冷たい・・・。沼井ちゃんの手が冷たい。それに、凄い力や。しかし、それがしはレディーに負けるほど軟やない。乳酸を両腕から出しまくり、一気に力を入れた。あかん。首掴まれてるから、力が入らん・・・。ここはもう一段階気合を注入や!
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぅ!むぅぅぅぅぅ!っほっほっっ!ちぇあぁぁぁあぁぁ!」
なんとか、沼井ちゃんの両腕を引きはがすと、それがしは奥田ちゃんの方を見た。あれ?奥田ちゃん?
さっきまでベッドの下から顔覗かせてたのに、隠れたんか?と、振り返ると今度は沼井ちゃんの姿が見当たらへん。すまぬ・・・沼井ちゃん。きっと、失恋して辛かったんやろ・・・。今は奥田ちゃんを・・・
そう思って、ベッドを覗き込む。が、奥田ちゃんの姿はそこには無かった。その代りに探してたリュックがそこにあった。
嫌われたんやろか・・・。タイミング悪いわ。まさか二人に好意を寄せられるなんて。きっと、沼井ちゃんとやりあってる内に行ってしもたんやろ。後で、部屋に行ってみよか。とりあえず、リュックも見つかったし、楽しみは後にして、無くなってる物が無いかチェックや。
大丈夫や!全部揃ってるわ。これで一安心や。もう、おまえを離せへんで!ほんまはデータもチェックしたいとこやけど、今は奥田ちゃんが先や!それがしは、部屋の鍵を閉めると奥田ちゃんの部屋に向かった。当然、リュックはガッチリ背負ったまま・・・。




