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怖恐 ~ 田代館の恐怖 ~  作者: くきくん
第五章 田代館 順編
34/90

5-1

順の視点で進みます。

それがしの荷物は手放したくない。そやから今日はほんまは風呂は止めときたいんやけど、むふふ・・・。下の名前聞いてへんけど、あのメイドさん。たしか奥田さん・・・。せやから、この先何があるかわからへんし、風呂は入っとかなあかんと思う。


さすがにノートPCとか防水ちゃうから、防水のスマホとガラケーは持っていくか・・・。


そういう訳で、それがしはスマホとガラケーだけを持って部屋を出た。そのまま一階に下りると、さっきと反対側の通路を歩いて突き当りを右に曲がった。残念ながら奥田ちゃんとは会えんかった・・・。


ちょうど、奥の方で太一君が浴場に入って行く所やった。心はもう入ってんのやろか?そんな事考えながら、それがしは自分でもわからへんけどスキップで進んでた。これが噂の呪い?


「なんでスキップやねん!」


「ぬほぉぉぉぉぉぉぉ!!」


突然、背後から聞き覚えのある声・・・油断していたそれがしは、スキップからのサイドステップで壁に激突・・・。しかし、日頃から鍛え上げてるそれがしの足腰を舐めてもらっては困る。激突の衝撃で反対側に飛ばされたそれがしは、素早く、反対の壁をキックして、倒れないように横に飛んだ・・・。


「お、おいっ!大丈夫か?っていうか何してんねん・・・。」


「心・・・いきなりの不意打ちは卑怯でござる。」


「いきなりやから不意打ちって言うんちゃうんか?って、別に不意打ちしてへんし・・・って、おまえ、風呂の用意は?」


し、しまった。それがしとしたことが不覚。スマホとガラケーだけ持って来てもうた・・・


「別に風呂入るのに、用意も何もあらへん。それがっしーはこれで十分でござる。」


「いや、おまえがええんやったらそれでかまへんけど・・・。太一はもう入ってんの?」


「うむ。ちょうど今し方入室するのを確認したで候。」


「その語尾、変やし、使い方多分無茶苦茶やで。治らんか?」


「至って普通に相成りまする。」


「もうええわ。昔からやし、治るはずがないわな・・・ほな、行くで!」


それがしと心は、浴場の扉を開いた。横開きやった。ガラガラっと独特の音を立てて扉が開くと、


「いやん!エッチ!」


と、くだらないボケをかます太一君がおった。それがしは湯船が苦手や。それに荷物も心配や。さっさと服を脱ぐと洗い場へ直行。


「お先!」


「おい!順。浸からへんの?」


「それがしは風呂に浸かるという習慣を持ち合わせておりませぬ。御免!」


それだけ言うとダッシュで体と頭を洗った。


「おい、あいつ、石鹸で全部洗ってるがな・・・」


「二回くらい一緒に旅行に行ったことあるねんけど、その時もそうやったわ。まあ、普段からあんな感じやから気にせんでかまへん。」


太一君と心がなんか喋ってたけど、それがしは気にせず浴場を後にした。浴場を出て、廊下を歩いてると、なんか女の子の叫び声のようなものが微かに聞こえた気がした。


しかし、今はそれどころではないんや。荷物や。マイ荷物が心配や!聞かなかったことにして、それがしは階段を駆け上がった。そして、すばやく自分の部屋の前に立つと鍵を開ける。


念のため、注意深くゆっくりと扉を開ける・・・。常に警戒心は必要や・・・。部屋の電気は引っ張るタイプや。えいっ!と、手を伸ばして天井に据え付けられた電気から伸びる紐を引っ張る・・・。


―――ブチッ!


「オーマイガッ!」


切れた・・・こんなに脆いんか・・・。これはマズいぞ。まだ目が暗さに慣れてへんから、真っ暗や。どうする、それがし・・・考えろ・・・それがし。


そやっ!羊のおっちゃんに謝ってつけてもらおう。ここは他力本願上等や。おっちゃんどこや?たしか一階におるはずや・・・。

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