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「ここの主はこういう趣向が好みなんやろか。」
順は新聞に目を通しながら呟いた。
「どういう意味や?」
すると、新聞の日付を指差して、
「ほら、ここ。昭和32年の新聞や。テレビもかなりレトロなブラウン管やし、あそこにあるレコードも年代物やで。」
言われてみると、たしかに見渡す限りレトロな調度品ばっかりや。さっきの姉ちゃん達も今風なべっぴんちゅうより、古風な感じのべっぴんさんやったな。
「まさかとは思うけど、この建物の中だけその日付にタイムスリップしてるなんてことないよな?」
心がまたとんでもない事を言い出した。単に順の言うように、その田代言う人が古いもん集めるんが好きなだけやろ。メイドさんかて、今はメイクや髪型で古風な感じにする事も簡単やろしな。
なんちゅうても、かなりの大金持ちなんはたしかや。金でなんとでもなるやろ。まあ、拘りなんか、流れてるテレビ番組まで古いから、全然見てもわからんけどな。
「ひとつ注意点があるんや。みんな覚えといてくれ!」
今度はなんや。心が耳を寄せるような仕草をして、小声で話始めた。
「何度も言うけど、ここは多分普通の世界とちゃうねん。理由はイマイチわからんけどあの三人も、普通の人間ちゃう可能性が高い。せやから、絶対にあの三人に、霊園の事とか、外はボロボロやのになんで中は綺麗なんかとか、道が突然無くなったとか、その辺の事は聞かん方がええと思うねん。このまま何事もなく朝を迎える為には、相手が答えに困って豹変するような質問は避けよと思う。皆も頼むわ!」
なんとかなく言いたい事はわかった。それは、麻紀と順も察したらしく、黙って頷いた。
「食べ物はどないするんや?」
俺はそれも気になって心に尋ねた。
「そこは微妙や。展開的にはサスペンスやミステリーよりホラーやろ。ホラーでは、食べ物でどうにかなるケースは記憶にない。サスペンスやミステリーやったら毒殺される事はようあるけど、多分流れ的に大丈夫や!」
その自信と根拠にはイマイチ説得力無いけどな・・・。
「それがしが、まず毒味して、皆に合図を送るでござる!それがしは臭いに敏感やから、任せるでやんす!」
臭い?それは腐ってるか判断するだけやろ?俺でも出来ると思うで・・・。




