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そやけど、ここで俺も直進選んだら、また時間取られてまうし、そもそも、山道進んでも、途中で引き返せばええやろ。多分県道と思われるこの道やったら暗くなっても、車に轢かれんようにさえ注意すれば下山可能やし。
大体、ここでナンボ考えても、結果はわからんし、まあ、肝試し程度に考える事にすればええやろ。
「俺も山道の方がええような気がするわ!」
その瞬間、心は、
「よっしゃ決まり!ちょっと登り坂キツいけど急ぐで!」
と、先頭切って歩き出した。ここでも、順が最後尾を歩くと言うてくれた。なんでも、空手四級、剣道三級、柔道四級と、なんか中途半端やし、そもそも、四級とかあるんかさえ疑問やったけど、たしかにメカオタクの割には、ええガタイしてるから、いざという時は多少の戦力にはなるやろ。
俺は二番目、麻紀が三番目を歩く事になった。道幅は狭く、もし上から人が来たらすれ違うのも大変やと思う。
地面の両端は草が生い茂り、何の木かわからんけど、かなりの高さがある木が処狭しと、乱立してる。道を外れたら霊とか関係なく生きて帰れる気がせんかった。
「やっぱり登り坂はキツいなぁ。すでに息が上がってきたわ。」
最初は張り切って先々進んでた心の速度が落ちた。飛ばし過ぎやねん!ペース配分考えんかいな・・・。
気付けば、急に辺りが暗くなってきた。まさか、もう日没?早くないか?と、思ったけど、実際は木々の葉が陽を遮ってただけや。そのせいで、一気にひんやりしてきた。まあ、歩いて暑いくらいやったからちょうどええけど、気温も下がってくる時間やし、薄着の麻紀はキツいはずや。
「風邪ひくから、これ!」
俺は羽織ってたフード付きパーカーを麻紀に被せた。
「おっ!気ぃ利くやん!サンキュ!」
カッコつけたんはええけど、やっぱりちょっと肌寒いわ。と、突然・・・
「きゃああああぁ!!!!!」
その悲鳴に驚いた心は10センチくらい飛び上がった。俺も多分一緒くらい飛び上がったはずや。
そのまま、急いで後ろを振り返ると麻紀が倒れてる。
「どないしてん!?大丈夫か!」
慌てて麻紀に近寄り、手で引っ張り起こす。
「悲鳴に驚いただけや。」
「え?」
悲鳴を発したのは、麻紀ちゃうらしい。ほな誰や?よく見ると、順が地面を指差して怯えてた・・・。お、おまえかいっ!
「どないした!順!」
「た、たもり!」
「タモリ??」
順の指差す方を見ると、黒いボディに青いライン、多分トカゲと思われる生物が枯れ葉の中へと消えて行くのが見えた。
タモリ・・・。多分イモリの間違いやろけど、それも間違いや。それにトカゲくらいでビビり過ぎや!心臓止まるか思たわ!
「そ、それがし、爬虫類だけは勘弁でござる。」
「ちょっと、脅かさんといてよ!それに何がタモリや!どう見てもイグアナやろ!」
いや、それは全然ちゃうと思うで・・・
「もう、おらんから大丈夫や!出来る限り前で発見して、目に入らんようにするから、悲鳴だけは勘弁してくれ。」
「か、か、かたじけない。」
これは先が思いやられる。そう思いながらも気を取り直して俺たちは再び歩き始めた。




