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その後はしばらく会話も無く黙々と歩いた。車道は片側一車線で道幅はあまり広いとは言えん。左右車道の両端に白線が引かれてて、気休め程度の幅の歩道が設けられていた。
そして、歩道の両脇には溝があり、後は木々の生い茂る斜面がかなり続いてて、先の方は見えんかった。
俺たちは車の進行方向と同じ左側を歩いてたんやけど、俺と心は、ほぼ同時に足を止めた。
後ろを歩く麻紀が驚いて声をあげた。
「ちょっと、びっくりするやん!いきなり立ち止まるんやめてくれる!」
何故立ち止まったかと言うと、車で走ってる時は気付かんかったけど、左手に獣道・・・いや、これは明らかに人工的に作られた道の入り口が姿を現したからや。
麻紀と順もそれに気付いて、四人はその道の先を目で追った。
しかし、木々に覆われた斜面を伸びるその道は奥の方までは見えんかった。
「まあ、ベタ過ぎて、もう気付いてると思うけど、この道はあかんで。」
心はため息混じりにそう漏らした。これはさすがの俺でも危険な香り全開や言う事はわかった。
「俺らも舐められたもんや。まあ、これが映画とかなら、間違いなくこの道を進むんやろけど、俺らは違う!たしかに、この先にどないなもんが待ってるのか気にならん言うたら嘘になるけど、あかん、あかんでぇ!そういう訳で、無視して直進や!」
心・・・気にはなってたんや。俺も怖いもの見たさはあるんやけど、霊感の無い俺でもビンビン来よるからな・・・それでも行くっちゅうのは自殺行為や。
と、突然誰かの携帯が鳴った。
「誰や?なんか今着信音聞こえたぞ?」
皆、ポケットをガサゴソやり始めた。そやけど、たしか電波は圏外やったはず。ちょっと下ったから通じたんか?心は自分のスマホを見て首を横に振ってる。続いて麻紀も自分じゃないと手を振る。
残るは俺か順。まあ、普通に考えたら仰山持ってきた順やろ・・・そう思いつつ、自分のスマホを取り出すと、LEDが点滅してる・・・俺のスマホが鳴ったようや。
俺は急いでロック解除する。着信ではなくメールなのは上部のタブで確認できた。メールをタップすると、件名は無い・・・まさか、またあのメール?そう思ってメールを開くと、
『助かりたければ、山道を進め。このまま直進すれば・・・』
それ以外は何も書かれていない。麻紀達もいつのまにか集まってスマホ画面を覗き込んでた。
「おいおい、俺たちが直進するのを、まさかのメールで阻止しようという作戦か!」
心が声を上げて笑い出した。しかし、麻紀は、
「なんかこのメールの内容、信じた方がええ気がするんやけど・・・」
女の直感ってやつか?すると今度は順が、
「直進するとどうなるんやろ。先が書かれてへんけど、やっぱり死ぬって事なんやろか・・・」
たしかに先が書かれてへん。そやけど、このメールを信じるのは正直抵抗がある。そもそも、ここへ来る羽目になったんは、あの住所のメールがきっかけや。で、このメールが同一人物やとすると、何がしたいんかわからへん。
俺たちを助けたいなら、初めから訳の分からんメールを寄越さんかったらええ話や。でも、麻紀の言うように信じた方がええ気もしてきた。
「意見が分かれたけど、これも作戦の内やで。ここでどっちにするかで言い争って、まず時間を稼ぐこと、あわよくば、二手に分かれさせること。そやから、ここは早い決断が必要や。ここは民主主義に従って、多数決でどや?多い方の意見を聞き入れて、それに文句は言わんっちゅうことで・・・」
「まあ、たしかにここで悩んでたら時間の無駄やな。ただ、この山道を進んでも下山できるとは思われへんのもたしかや。そもそも、当分上りが続いてるんだけはわかってるからな。その先は見えへんし、一度進んだら早い段階で引き返さへんかったら、日没までに間に合わんようになるからな。」
「そういうこっちゃ。ほな、多数決や!山道を進んだ方がええと思う人?」
麻紀は迷わず手を挙げた。心は挙げる気は無さそうや。おっ!?以外にも順も手を挙げよった。残るは俺・・・俺?そや、俺の票で決まる・・・
もし挙げんかったら、2対2でその場合どうするんか知らんけど、俺が挙げたら山道確定や。どうする・・・どうするんや!俺!?なんか、ここへ来てどっちがええかわからんようになってもうた・・・




