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「いや、このまま車で待機してると、確実に誰か三人は寝てしまう。残った一人は他の三人を起こそうと必死に頑張るけど、起きない。そうこうしているうちに周囲は暗くなり、残った一人がまず何者かに車外へと引っ張り出される。当然、そいつはもうアウトや。で、次の生贄が目覚める・・・これの繰り返しで全滅や!」
い、生贄って何?え?生贄?なんか時間を追うごとに心のキャラがおかしな方向へ進んでる・・・そんなことあり得るわけあらへんがな。もし、ほんまやったら相当怖いけどな・・・。それやったら、どないするんや?俺は気になって聞いてみた。
「車内におるのがマズいんやったら、この先どうするんや?せっかく色々持ってきた順のアイテムもここでは使い物にならんようやし・・・」
順はまだ、必死に通信を試みているようやったけど、そこは任せて心を見た。
「まず、外に出たら門を乗り越えるんや!麻紀ちゃんはレディやから協力して先に乗り越えさせて、俺ら三人も一気に乗り越える。」
「で、どうするんや?」
「まだ、日没までは三時間ちょっとあるから、多分徒歩でも下山やったら、舗装された道やし間に合うやろ。下まで行ったら電波も繋がるやろから、そこで改めて自衛隊なり警察なり連絡して、車を取りに行くのを手伝ってもらうんや。」
「そんなことで警察が協力してくれるか?」
すると、順が、
「その為にそれがしがおるんや!そのくらいはパパに頼めばいちころよ!」
なんか、こいつのキャラも崩壊・・・いや、元々崩壊してるか・・・でも、まあ、たしかにこの時間なら、それほどの距離も無かったし、下山出来そうやな。そもそもお墓に用は無いんやし、車の事は心配やけど、今は背に腹変えられへんからな。
「よっしゃ、わかった!それやったら早い方がええやろ。さっさと行こか!」
「おう!ええか、ちょっと急ぐけど麻紀ちゃんも頑張ってや!」
「わかった!頑張るわ!」
「それがし、体力には自信があるでやんす!」
俺たちは、すばやく車を降りると、まず麻紀を持ち上げた。と、言っても門の高さはそれほど高くない。地面から1mちょっとくらいか・・・門を出ると右側は行き止まりで先には進めない。当然、俺たちは来た方向の左側の道を歩き始めた。
気温は暑くも無ければ寒くもない、本当に春の過ごしやすい陽気だった。しかし、歩き続けるときっと朝まみれになるやろ。麻紀は後ろは怖いから嫌や言うから、順を最後尾に、麻紀を挟む感じで、俺と心が先頭を歩いた。
しばらくは、直線が続いた後、左に緩やかなカーブが見えてきた。車が通る気配は無く、もちろん人一人見当たらへん。鳥の鳴き声と、時々吹く風に揺られた木々の音と、ここからは見えへんけど、どっかに川が流れてるんやろか、川のせせらぎも聞こえてきた。
「あとどのくらいや?たしか麓から一本道や言うてたな?」
心が聞いてきた。そう言えば心は寝てたから、途中からどうやって来たか知らんかってんな。
「まだ、そんなに歩いてへんから、まだ距離はあると思うけど、実は一本道かどうかは俺にもよくわからん。順は分かれ道があったって言うてたけど、俺はなんぼ考えても一本道やったと思うねん。まあ、どっちにしろ下山したらわかるこっちゃ。」
「そこが引っ掛かるな。順は分かれ道があったというか、見えた。そやけど、太一にはそれが見えず一本道に見えた・・・」
まあ、100%俺が正しいとは言えんけどな・・・時間が経って冷静に考えると見落としてたんかもしれへん。




