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「おかしいなぁ・・・田代霊園、田代霊園・・・何度見ても地図には載ってないし、検索しても見つからへん。」
どうやら順も後部座席で必死に地図やウェブと睨み合いをしてるみたいや。その忙しない物音に麻紀と心も起きたみたいで、
「ここどこ?もう着いたん?」
目を擦りながら、助手席から麻紀が眠そうな声で聞いてきた。
「それが、道に迷ったみたいで、さっき標識に田代霊園2kmって書いてあったんやけど、そんなもん順が調べても無いって・・・一体どこ走ってるんやろ。」
「引き返したらええやん!ってゆうかさっさと引き返しぃよ!」
「それが後ろに車おるし、逃げ場がないからしゃあないねん・・・」
「車?車なんかおらへんよ。」
「え?」
俺は慌ててルームミラーやバックミラーに目をやる・・・あれ?さっきまでぴったりと俺の後ろについてたやん!速度落としたんか?そう思って俺も速度を緩める。いや、むしろほとんど停車状態や。
そやけど、一向に後続車はやってけえへん。っていうか見間違いでもなければ、途中で曲がれるような道も無かった。それにまだ明るいし・・・
そうこうしているうちに、目の前には田代霊園入り口と書かれた看板があり、門扉が左右に開いてて、その先には駐車場や、売店とトイレ、待合室が繋がった施設があった。
「あちゃあ・・・入ってもうた。これは思うツボやで!」
また後ろで心が訳の分からんことを言う。続いて順も興奮した様子で、
「大丈夫!ノープロブレム!こんな時のためにそれがしを呼んだんでしょ?出番があるとしたら、今でしょ!?こういう状況やと、ほとんどのケースでまず、電話が繋がらなん・・・しかし大丈夫!携帯にスマホ、ポケットWi-FiにPHS、そして、叔父さんに借りてきた特殊な衛星無線。」
「え、衛星無線?叔父さん?」
一瞬俺には何の事かわからんかった。すると心が、
「こいつのおとんは、警察庁の長官で、その弟、つまりこいつの叔父さんは自衛隊の結構偉いサンやねん。ここに来る前に叔父さんに頼み込んで、いざという時連絡が取れるように無線も借りてきたっちゅうわけや。こういう場合、連絡がつかず孤立してやられるパターンやろ?そこは抜かりあらへんで!」
だから、どうゆうパターンや!とりあえず、さっさと帰りたかった俺は駐車場のスペースを使ってUターンした。せっかく色々準備して持ってきてくれたんは有難いけど、引き返すんが一番ええ方法やろ・・・ところがそれを見透かしたかのように心のヤツが・・・
「引き返すんか?多分無理や!門が閉じてて出られへん。これは鉄板パターンや!諦めて車を降りるのがベストや!」
あほか!そんなもん映画とかドラマの世界でここは現実世界や!たしかに変なメール来たり奇妙な出来事が重なったけど、そんなことあり・・・え・・・へん・・・
うわっ!ほんまに門閉じてる!?嘘やろ?なんか俺を騙そうとサプライズ企んでる?そや!絶対そうや!心やったら通信会社に勤めてるし、それに順はかなりのコンピューターマニアそうやし、二人が組めばあの程度のメールは送れるはずや。
ほな、ファミレスでの出来事は?あれはきっと偶然や。そうに決まってる。・・・で、そんなことして目的は?それがわからん・・・こんな面倒な事してるほど順はわからんけど心は暇ちゃうやろ・・・
「なぁ!太一!ウチ怖いねんけど・・・さっさと順の叔父さんに連絡して迎えに来てもらおうや!」
そや!それがええ!ナイス麻紀!
「そういうこっちゃ!順。悪いねんけど、その無線で連絡して、助けてもらおうや。いくら偶然とは言え、こんな所に閉じ込められたら気持ち悪いやん。」
「まあ、そう言うなら早速・・・あっ、叔父さん?順です。今、大阪の田代霊園って所で突然門が閉まって閉じ込められまして・・・はい、そうなんです。ほんますんませんけど、救援要請してもらえますか?はい、はい・・・わかりました。場所はGPSで?あっ、はい、はい・・・では、よろしくお願いします。失礼します。・・・これで大丈夫や。こっちの位置はGPSで拾って近くの隊員を向かわせるって。早ければ30分ほどで着くやろってことや。」
こいつ、役に立つがな!それに、ちゃんと連絡もついたみたいやし、やっぱりここは現実世界や、かなり迷惑かけてしもたけど、普通に終わりそうや。
「なぁなぁ!なんか喉乾いたわ。なんか買うてきてや!太一!」
麻紀の一言・・・でも、なんか車出るの嫌や。普通にこのまま迎えに来るの待ってるのが一番や・・・とは言いつつも、なんか俺も異常に喉が渇く・・・
「よっしゃ!このパターンは、車に残った者、もしくは車を降りた者がやられるパターンがほとんどや。では、どうするか・・・まずやな、あそこの売店の前の自販機が一番近そうやから、とりあえず近寄れる限り車を近くに寄せるんや!」
「ほうほう・・・ほんで?」
「次に、財布からなかなか小銭が出ぇへんでもたついてる間にやられるパターン。せやから、予め、小銭は人数分車内で準備して手に持ってダッシュで投入するんや!ちょうど自販機は4台あるみたいやから、全員で同時に行くんや!」
そこまでする必要あるんか?大体、何にやられるねんなぁ・・・
「それはいい考えや!それで行こ!」
勝手に順もその意見に同調してさっさと小銭を準備してるし・・・
「なんかわからんけど、ここ不気味やし、心ちゃんの言う通りにした方がええんちゃう?ウチの分の小銭よろしく!」
マジか・・・まあええわ。俺は財布から240円取り出して、麻紀に120円渡した。そして、出来る限り車を自販機に寄せた。




