20話
紅桜と魔法の炎を組み合わせ鬼王を倒したかに見えたが、鬼王の傷は癒えている。
それを見て俺は全身の力が抜けていくのを感じる。
全力の攻撃だった。
もはや俺に打つ手は残っていない。
「クックック、良いぞ!人間よ、その顔だよ、その顔!歓喜から絶望に落とされた顔!しかし、この俺様にあれほどの傷をつけるとは…面白い!俺は気分が良い。気分が良いから特別に教えてしんぜよう。我が王と言う所以をな。確かにこの体だは人間と比べ絶対的な堅さがある。」
あぁそうだ。貴様の体は紅桜でも斬るのが難しいよ。まぁ俺が完璧に使いこなして無いだけだがな。
「しかしな、それだけでは無いんだよ!鬼族の特徴はその回復力にあるのだ!その回復力が絶対的に高いのが我が王たる所以よ!故に我は死なぬ!我は無敵よ!」
クソッ!あれほどやっても回復すると言うのか。倒すのは無理だ。
力が欲しい!コイツを一撃で倒す力が!!
(クックック。フフッフハハハ!クック…)
どうした紅桜!?さっき炎を纏わせたから狂ったか?
(違うのじゃ、主。違うのじゃ。こやつが井の中の蛙だと思ってのぉ)
何がいいたいのだ紅桜さん?
俺は訳も分からず聞くしかない
(気が付かないのかのぉ?主よ。既に主は先ほど攻撃で鬼王の能力を吸収しヤツを超えておるわ。
)
何だったて!
だがヤツの回復力は異常だぞ!ほとんど原形を留めて無い所から回復したんだ!
(主よ。優しい我からの、ヒントじゃ。ヤツの弱点は心臓じゃ!心臓を強力な一撃で仕留めれば、ヤツは死ぬ。)
そうか…心臓か。
(だがのぉ。ただの強力な一撃ではダメじゃ!神速の速さで心臓だけを的確にやるのじゃ!)
「刀の突きで行けるか?」
(残念ながら今の主の状態で力不足じゃ)
弱点がわかっても打つ手無しか…
「槍があれば…」
そう…槍だ。槍術を習っていた俺からすれば槍の突きが一番速いはずだ。
だが肝心の槍がないのではどうしようもない。
奴の防御力は生半可なものではない。魔物が使っている粗悪品では傷も付けられない。
しかし、神は舞い降りのだった。
(クックック!こんなこともあろうかと!)
どこのメカニックですか?紅桜さん。
(主よ!今の主になら出来る。思うのじゃ。主が今使いたい得物を。)
わかった。どうなるか知らんが、やってやろじゃないの!
思うは一振りの槍だ。長すぎもせず、かと言って短くも無い、鋭く突きに特化した槍を思う。
するとどうだろうか。
紅桜が花びらになり俺の手から離れる。
そしてまた新たに形を紡ぐ。
そして俺の手には美しい紅色をした槍が握られていた。
紅桜…最高だぜ!これならこの槍なら行ける!
そう思い槍を握りしめる。
「ほう…武器を変えるか。だがそれで我に勝てるのか?人間よ!」
槍を構え、精神を集中させる。
奴の言葉が周りの音が消える位に集中する。
「これだから人間は諦めてが悪い。王に殺されるのを誇りと思い死ねば良い物を。まぁ良い殺戮の前のいい余興だったわ。もう良い死ね。」
敵も、もうこの戦いに飽きたらしいな。
だがなお前さん…人間を馬鹿にし過ぎだ。おもちゃじゃ無いんだよ!人間は!
槍を持つ手に力が入る。一撃で決める。
狙うはただ一つヤツの心臓。
こういう時、俺の尊敬する兄貴?は決め言葉があるな。
「…その心臓、貰い受ける!!」
「死ねぇぇぃ!人間が!!」
ヤツが俺より先に剣を振るう。
遅い!
そう思い地面を蹴る。
槍の穂先が紅く煌めく。
フェイントなどいらない。今の俺は奴のスピードを凌駕している。ただ、ただ目標に向かい進むのみ。
そして全能力を使った俺の渾身の突きが奴の鬼王の胸を穿った
「ば…バカな…!この俺が…人間如きに…ウォォォ!」
突かれた胸から口から目からおびただしい血を撒き散らし最後の断末魔を上げる鬼王
「王様よ…人間を舐めるなよ!」
「グウォォォォォォォォォォ!!!!」
鬼王は最後に断末魔を上げていきなり消失した。
周りにいた鬼族は王を失ってか逃げ始めている。
終わった。まさか俺が勝つとは。
さぁ街に帰ろうか。
そう思い槍を握る。
(主よ。やはり主は凄いのぉ。新しいスキルをヤツから奪いとったばがりかさらに昇華したのじゃ。
)
紅桜に言われスキルを確認してみようとすると体に違和感を覚える。
「…何だ…体が熱い!!」
しかも熱いばがりでは無い。激痛を伴ってきたのだ。
(主!大丈夫か?急に力をつけすぎたようじゃ!)
そんな紅桜の言葉が耳に入ってくるがそれどころでは無い。
地に膝をついてしまう。
「カハッ!…息……も……出来な……い」
最後に格好つけて煙草の一服位したかったぜ
そして俺は意識を失った。
(新しいスキルを手に入れたのは良かったのじゃが)
(何でも一つだけ願いを叶えるものなのだが…言うのが遅れたのぉ…鬼王もそれを使い最強の防御を手に入れてた見たいだしの。)
(しかし煙草は永遠に減ることないぞ!クックック…フフフハハハ!)