19話
王様がギルガメッシュに…
「下等種族が楽しませてくれる!」
「ハッ!お前こそなかなかの硬さで!」
俺と鬼王は前にも増して剣戟を刻む。
「遅い!」
ザン!っと左肩を斬られる。
だが!まだだ!!
花びらを発生させ周りのオーク、ゴブリンを切り裂く!
それにより肩の傷が塞がっていく。
先ほどわかったのだが、何も紅桜は能力だけ吸収してる訳では無い。倒した者、傷つけた物の体力、魔力も吸収するのだと。
(主よ!どうした?先ほどとは気迫がまるで違う!)
急に瀕死から蘇ってこの獅子奮迅だ、驚くのにも無理はない。
「ただの…フッ!気まぐれだ!」
しかし、我ながら女神、いや女に気合いを入れられてと言うのも恥ずかしい。
ただ、ただ時間が過ぎて行く。
ギィン!
金属がぶつかる音がし、紅と黒がぶつかる。
「王の力、その身で受けてみよ!」
鬼王が魔法を繰り出す。
幾つもの氷の槍を作り出す。
「食らえぇい!」
鬼王の号令の元に一斉に向かって来る氷の槍。
避けれない。ならば!
こちらも負けずに魔法で応える。
左手から炎をだし、氷を相殺させる。
しかし相殺しきれない氷が俺を襲う。
(主よ。まだ甘いのぉ~)
紅桜が花びらを圧縮し壁にした。
壁に阻まれる氷。
「ほぉ。今のを防ぐか。中々…どうしてやるわ。」
その言葉を聞き流し、紅桜を構える。
確かに今は互角だ。しかし、ジリ貧なのは変わらない。
傷や魔力はモンスターを倒せば一定の確率で回復する。
だが精神までは回復しない。さらに、モンスターは無限ではない有限だろう。数に限りがある。
俺の剣はいや紅桜はまだヤツにまともに傷をつけれない。
考えても仕方ない。と思っていると一つ疑問が浮かぶ。
まさか…いやしかし、王道では外は堅くても中身は弱いってヤツ。
やってみる価値はある。だけど方法が無い。
「我を倒す算段はついたか?無駄なことだ。」
「フム…貴様は確かに強い。しかしのぉ、気に食わぬ。俺が見たいのは絶対的な力に絶望し恐怖する顔だ。
どうだ?貴様の最強の技を受けて見せよう!これは王の寛大なる心に感謝し……絶望しろ!!!」
王様は俺の攻撃を受けてくれるだと。
ならやってやるよ!
「紅桜行くぞ!」
そう言い紅桜に炎を纏わせる。
「まだだ!」
その赤い炎が花びらにも移って行く。
さら限界まで花びら出す。
「行くぞ!」
紅桜を振り上げ相手を両断する気持ちで振り下ろす。
鬼王は左腕を上げて受け止める。
ガンッ!
紅桜が左腕の堅い皮膚に阻まれる。
まだだ!更に力と魔力を込める!
炎が大きくなる。
そして、その時がきた。
莫大な量の炎を受けて腕が少し溶け出したようだ!切り落とされる左腕。
「ウォォォ!」
鬼王が呻く。だがまだだよ!
鬼王の周りを炎と桜の花びらが舞う!
「桜吹雪・炎ってか!」
鬼王の体に見る見るうちに傷だらけになる。「まだだよ!」
まだ俺は攻撃の手をゆるめ無い。
更に紅桜で何度も何度も斬りつける。体力の続く限り。
後に残ったのは鬼王だった物だった。
「勝った……もうダメだよ。」
傷がついても回復するといっても斬りつけられたら痛いし精神がすり減る。何度も続けられる訳じゃない。紅桜と炎を合わせて勝てて良かった。
さて長いは無用、紅桜を鞘に収め直ぐにこの場所を離れなければ。
しかし俺に絶望的な声がかけられる。
「人間、どこに行く。この程度で俺を倒したとでも?片腹痛いわ!!我は王!鬼族の王!!鬼王ぞ!」
鬼王が悠然と立ち上がる。俺の攻撃の傷を回復させながら。
長くなり過ぎ…