16話
あの世紀末覇者との奇跡の出会いから一週間が過ぎた。
俺は怖くて怖くて一歩も外に出れんだな…
出れば間違い無くヤラレル。
一歩でてイン〇に…
笑えないな。
そんなニートな生活を送っている。
まぁ魔法を教えて貰ってヒマを潰してるがね。
さて、この一週間の成果だが魔法を覚えた。凄く上手くなった。
終了。
あぁ間違いない、以上だ。
!?!!!!?平和だ…
しかしこれは嵐の前の静けさだったのだと思う。
街に避難命令が発動された。
魔物の襲来によるものだ。
街の騎士団が魔物の掃討作戦にでるが…失敗、いや壊滅的打撃を受け撤退した。
なぜか?だだの魔物なら年に数十回はそれなりの数で襲来するが、数が異常だった。
また魔物を率いてる者がいた。
ゴブリン、オーガ、鬼族と呼ばれる魔物を代表する王
鬼王が率いていた。
この世界では神話や英雄伝にしか出てこない人類の敵が。街の重鎮達はすぐに王都に連絡し街を一時的に放棄し、市民を守る決定する。
しかし、そこには圧倒的に時間が足りなかった。
王都からの援軍、壊滅した騎士団の再編、市民の避難。
何もかもが時間を要した。
「避難命令ね…ハァ…」
今、この街は人々が避難の為に慌ただしく動いていた。
しかし、その動きは遅い、いや大混乱だ。混乱を収め避難の指示を執らなければならない騎士団は壊滅、恐らく避難する前に敵が来る。
そんな様子を二階の窓から眺めていると…
1人の女の子が泣いていた。
フム…親とはぐれたか。
しかし、女子供の涙は応える。
そう思い紅桜を手に家を出た。
「ハァ」
何度目の溜め息だろうか。
あの後、街をみんなに知らせずに出て行き魔物の軍団が来る方に歩みを進めた。
我ながら馬鹿だと思う。
俺1人の命で何万の命を助けようだと。
阿呆らしい。無理だ。しかし、足がここに向いた。
もし、完全に避難出来なかったら街の人々はどうなるか、冒険者になってまだ日は浅いが、魔物に蹂躙されるとはどういう事かは聞いている。
過去の文献も少しは読んだ。
鬼族は種族を構わず蹂躙すると…
そこにあるのは地獄だけだ。生きている人々は喰われ、女は年齢を問わず犯される。
まさにこの世の終わりだと。
俺が、全てを忘れ背を向けて逃げるのは簡単なことだ。
だが!だが!!!残された人々はどうなる!?
罪の無い人が死ぬ。幼い子供が死ぬ。
愛する人が死ぬ。
俺だって先日助かったばかりの命だ。
命が惜しくもある。
しかし、こんな時に簡単に俺の信念を曲げてしまうなら…。
死んだ方がましだ!!
俺は罪無き人々の盾となろう。
多分それがこの異世界に召還された俺の生きる役割なのだろう。
「損な役割だよ……ったく!」
俺の呟きは綺麗な青空に消えなかった。
「素晴らしいわ!!!あなたはぁ~!」
図太い野郎の声が響く!
「自らの危険を省みず、人々の為に命を賭ける!まさにあなたは漢!そうよ漢よ!!」
あ…あの姿は…
「しかしニャ!あなたはこのままでは死んでしまうニー!」
「愛する人を守る為!」
間違いない…あのマチッョども…
「王都の蒼い薔薇が舞い降りる!」
中肉のマチッョが続ける。
「ヒトミ!」
長身が応える。
「ハイ!ルイ姉さん!」
ルイと呼ばれた男?女?が続ける。
「アイ!」
ネコミミマチッョが応える。
「ハイニャ~!」
「「「王都が可憐な乙女達!あるときは姉妹!!またあるときは恋する乙女!!!またある時はやっぱり乙女!!!!してその実態は冒険者チーム!蒼い薔薇!!!!」」」
なんだと…ずっと乙女だと…
「「「ここに推参!訳あってトシ殿に助力いたす!!!」」」
助力か、有り難い…有り難いが…
「…………なんで上からルイ、ヒトミ、アイなんだよー!貴様らキャッツアイか!しかも明らかに男性ですよね?いや男だろ!いや見た目が最早、最終決戦兵器の乙女ってなんだよ!!!反則退場もんだろ!」
「あら!怒った顔もセクシーね!」
止めて辞めて語尾にハートマークが見えるよ!
「さぁ~行きましょ~決戦の地へぇ~」
アイさん話聞こうよ。
こうして俺のカッコいいシリアスな場面を飛ばして決戦の地に進むのだった。
ついに新キャラの名前が判別!
ルイ!ヒトミ!アイ!
まさにキャッツ!?
キャッツを好きな方すみません。