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紅き伝説  作者: レッド
1章「異世界へ編」
13/22

12話

ふぃ~

オーガとトシは睨みあっていた。




いや、トシがオーガに睨まれ動けずにいた。


蛇に睨まれた蛙の如くに。




クッ!ヤバいな…前回戦ったオーガとは桁違いの殺気だ。



そしてオーガが無造作に動き武器の斧を振り下ろしてきた。





避けれない!



トシはそう判断すると刀で防ごうとした。


トシ「クッ!」



前回オーガの比では無い。圧力が違う。



受け止めきれずに転がるトシ。




トシ「ぐぁ…」



なんて力だ…



ミシュラは無事か…?


すぐに逃げろと言って正解だったな…



格好つけて逃げろと言った訳だが


こりゃ死ぬわ…





しかし…一回死んだ身だしな。夢を見たと思えばな。




安いものだな。




オーガが近づいてくる。



止めを刺すらしい。



しかしただでは死なんよ!



一気に起き上がり、奇襲気味にオーガの体に刀を振るう。


ギィン!


刀がオーガに弾かれる。


堅い。


オーガはとてつもなく堅たかった。



唯一の武器が効かない。


トシ「これなら!」



トシはスキル、ショットを発動させる。


無数の剣圧がオーガを襲う。



ガガガッ!



オーガ「…グルル」



トシ「無傷かよ…」




そんな呟きを無視し、オーガが無慈悲な一撃を入れて来る。



トシ「グゥ!」



ガードするがまた力で飛ばされる。



トシ「グホッ」



今度のは当たり所が悪かったらしい。左肩から血が流れる。それに口から血も出る。ヤバいな…コイツ


ミシュラは無事に逃げただろうか…まぁあのスキルなら問題なく逃げることができるだろう…

オーガがまた近寄って来た。



クソ…こっちは立つので精一杯なのによ…



オーガが斧を上段に構え振り下ろす!

その時!



ヒュン!!!!



オーガの体で唯一堅く無いであろう目に矢が刺さる!



オーガ「■■■■!!!!」



いきなり左目に矢が刺さり悶え苦しむオーガ。




(クソッ!なんだよ…逃げなかったのかよ…ミシュラ!)



そう矢を放ったのはミシュラだった。


オーガと遭遇し、トシが囮になって逃がしたと思ったミシュラは、逃げていなかった。スキルで身を隠し千載一遇のチャンスを狙っていたのだ。






しかし、ミシュラのスキルは攻撃すると一時的に解けてしまう。



そう…オーガに気づかれたのだ。


自分に傷を付けたミシュラに目標を変えて…



オーガ「…ガガガッ!ウオー!」




ミシュラ「クッ…」





オーガの攻撃がミシュラを襲う。


グジァ!






ミシュラは咄嗟に短剣で防御するが、そんな防御お構いなしにオーガの斧は短剣を裂き、ミシュラの右肩に浅く無い傷を付けミシュラを飛ばす。



トシ「ミシュラ!」




飛ばされたミシュラに近寄るトシ。



右肩からの出血が酷い…更に飛ばされて額からも出血している…



クソッ!だから逃げろとあれほど言ったのに…俺は一回死んだんだ。この世界に未練なんか無いのに…



ミシュラ「…トシ…逃げて…」



まだ俺の心配を…





またかよ…また俺は目の前の命を救えないのかよ。


前の世界でも何人もの命を救えずに嘆いていたのに。

何も変わらないな…俺は…




またかよ…また……俺の前で人が死ぬのかよ…








いや…違う…



トシ「…このままじゃ………」



…カタ…



このまま終わらせない…ミシュラを救う!



トシ「このままじゃ…」



…カタカタカタ…




トシ「このままじゃ!!終われねぇー!!!」



カタカタカタカタカタカタ



トシの叫びに反応するように刀が動く。





(クックックック!よく言ったのじゃ!!お主の生き様!とくと見せてもらった!)



なんだと!刀から女の声がするだと!!



(クックック!お主は面白いのぉ。最初から気に入ってたが今回のでますます気に入ったぞ!力を貸してやろうではないか!)



刀から女の声が更に続く。



(クック…妾の名前は紅桜じゃ。サクラでは無い。サクラでも力を解放するがほんの一部じゃ。さぁ言うてたもう…主よ…妾の名前を紅桜を)




トシ「よくわからないがコイツを倒す為力を貸してくれ………紅桜!!!」




紅桜と叫ぶと紅い刀が激しく紅く光る!



トシ「うおっ!」



オーガ「ウガー」



トシとオーガが余りの光に目を瞑る。




光が収まったあとには紅い刀の色が真紅に変わっていた。



これが…紅桜。なんて綺麗いや、妖艶な刀なんだ。



(どうじゃ。主よ、これが本来の妾の姿よ。)







神の領域



美の女神「うわぁ~嘘でしょ!?本当にあの紅桜が懐くなんて…」



美の女神は驚愕していた。


それも無理もないあの刀、紅桜は相当な我が儘な刀なのだから。





本来はどんな剣豪が持っても、歴史に名を残す英雄が持っても紅くすらならない。戦の神が持っても紅くなるかどうかわからないぐらいに気ままな刀なのだ。



それを真紅にまでするとは…



運命の女神「フフッ…だから言ったでしょ…彼は運命を変える力を持っていると。


それにしても…あぁ血だらけで今にも倒れそうなトシ。でも目は闘志に溢れて素敵だわぁ。」









これなら行ける!この紅桜なら!




トシはまだ光で目が眩んだままのオーガに向けて走る。



トシ「フッ!」




それは、見事な一撃だった。


目が回復したオーガに上段からの一撃。



ガードした斧を斬り、オーガに致命傷を与えたのだった。

オーガは力無く地面に倒れた。






それを確認したトシは、ミシュラに駆け寄る。




トシ「ミシュラ!大丈夫か!」



トシはミシュラを抱き起こして意識を確認する。



ミシュラ「…ウン…大丈夫だよ…」



ミシュラは、力無くトシに答える。




その時だった。



(チッ!主後ろじゃ!)

紅桜から言われ後ろを振り返ると、そこには先ほど倒したはずのオーガが傷を癒やして立ち上がっていた。





(不味いのぉ目覚めたばかりで充分に回復しておらんかったようじゃ。)

と紅桜が答える。




しかしなんて回復力だ。




そう…このオーガは希少種というだけではなかったのだ。



神から力を貰った際に、偶然にもオーガでは有り得ない回復力を授かったのだ。









オーガはもう使えない斧を捨て、腰から殺して奪ったであろう大剣を引き抜いて獲物を狩るべく歩きだす。



そう、それはまるで王者の行進の如く。




トシは静にミシュラを寝かせ、紅桜を抜く。




両者無言のまま、剣を振るう。




ギィン!



大剣と刀が交差し火花を上げる。



(主!この大剣は魔力を込めると斬れ味が戻る魔剣じゃ!先ほどのように斬れんぞ!)


紅桜とぶつかっても斬れない。


そうなると、後は力と技のぶつかり合いだ。

ギィン!ギィン!ギィン!



トシはオーガと何合と剣をぶつける。




(主、大丈夫かえ?)




紅桜が心配する。


それもそのはず、人間とオーガ、力が違い過ぎる。



しかし、トシは冷静にオーガの剣を読み打点をずらしていた。




トシ「俺が負けたらミシュラが死ぬ。俺を助ける為に残り、傷ついて…そんな可愛い女一人救えないなんて死んでも死にきれん!」




ギィン





(クックック…やはり主は面白いのぉ…良かろう。我の力を見せてやるのじゃ!)




紅桜がそういうとトシの周りに20枚近くの桜の花びらが舞う。



(この桜の花びら一つ一つが主の刀の一振りと同じとはいかんが、かなり威力じゃ。このオーガにわからせてやろうぞ。妾と主の剣劇の極地を!)






桜の花びらがオーガを襲う。まるでその一つ一つに意志がある様に。





肩、腹、胸、足。

桜の花びらが当たると紅桜で斬った様にとはいかないが確実に傷を負っていく。




オーガ「ウオーッ!」



オーガが悲鳴を上げる。





今だ!!!!



オーガの剣が止まった!



下から紅桜を振り上げる。



ギィンと剣がぶつかる音がしてオーガの剣を上に上げる。



そして隙だらけの腹に紅桜を横薙で入れる。




オーガ「■■■■■■!!!」」



オーガが絶叫を上げる。



しかしオーガも捨て身の覚悟でトシを掴み、上げられた剣を振り下ろす!



グサッ!



オーガの大剣が深々と刺さる。




ミシュラ「トシ!」



ミシュラの悲痛な叫びが上がる。



しかし、大剣が深々と刺さっているのにトシからは血が出ていなかった。




(クックック。それは幻じゃよ。ノロマめ。)




紅桜がそういうと、トシの体が数百の桜の花びらに変わる。





オーガの後ろからトシが現れる。

トシ「これで終わりだ!」



そう言うと紅桜の周りに花びらが集まり、紅桜を中心に円を描く。




オーガの背中を、速く!速く!!しかし、力強くトシは刀を振り下ろした。




トシの振り下ろした紅桜。そして数百の花びらがオーガ襲う。



オーガ「■■■■■!!!」」




それがオーガの最後の叫びだった。



オーガはミキサーにかけられたのかと思うほど見る影が無くなっていた。




トシ「終わったか…」




そういうとトシは力無く顔から倒れたのだった。




(主は面白いのぉ。初見で妾をここまで扱うとは、まぁ妾を紅くし、更には真紅にしたのは主が初めてだかのぉ。嫌いな奴なら鞘からも抜けんがの。)






神の領域



美の女神「勝っちゃった………しかもあれが紅桜の能力…」



運命の女神「あぁ~トシ。素敵よ素敵だわ。あんな雄の姿を見せられたら…私…濡れてしまいますわ…………ポッ」



美の女神「な~に言ってんのよ!処女のクセに。」



運命の女神「うるさい。ヤリ〇ン…」



美の女神「なんですって!…まぁ、あんたの言うことも一理あるわね。あの勇士、なんて雄々しいのかしらね。私も久しぶりに興奮したわ。本当に濡れそう…ポッ」





ブチィ!


運命の女神の方から音がする。



額に青筋を浮かべながら運命の女神が続ける。


運命の女神「美の女神さん…ダメよ。あの人は私の旦那さんになるのだから。」



美の女神「え~良いじゃない。私も彼が気に入った~。」


運命の女神「ダメ!このアバズレが死にたいの?」



美の女神「なによあんた?やろうっての?私も彼を旦那にしようかしらね。」




ブチブチブチィ!



更に運命の女神から音がする。



運命の女神「このアバズレがぁ!!!死ね!」



美の女神「ぬぁんですって!!!!あんたこそ!!!!殺す!!!」




かくして、後に神達の間で騒がれる神同士の死闘が始まったのだった。




女神さん達、性格変わりすぎだよ…

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