My boy friend1 同僚
「黒河、ちょっといいか?」
私が教室を抜けるとき、一人の男子が私に声を掛けた。
「・・なに?」
私はテスト結果に疲れて、声を掛けてくれた彼に少し嫌な顔をする。
「あの・・さ」
「だから何!」
ついつい怒ってしまう。
「怒らなくてもいいだろ!?」
「ごめん・・」
「黒河、お前って義勇軍に居るんだよな」
「えっ、そうだけど」
義勇軍、その言葉を学校にて聞くことは今まで無かったので、自然と驚いてしまう。
「俺は義勇軍遊撃艦隊に居るんだけど、同僚が居なくてさ・・で、君が航空隊に居るって聞いて声を掛けてみようと思ってさ」
「そうなんだ。宜しくね」
素直に嬉しかった。同僚が同じクラスに居るとは思っていなかった。
「俺は四条 春樹。宜しく」
「四条君だね。宜しく!」
私も彼もいつの間にか微笑んでいた。
帰り道は彼と二人で帰った。
夕日が照る帰り道、彼は港の方を指差してあれが自分が乗る船なのだと説明してくれた。それは漁船だらけの小さな港では一際目立っていて夕焼けが当たって大きな陰ができていた。
「じゃあな」
「うん」
私は航空基地へと繋がる小道で彼と別れた。彼と海沿いを歩いてきたため小高い丘に建つ基地まではきついの登り坂を登らなければならなかった。後ろからの海風が私の頬を撫で、髪を揺らす。後ろを振り返ると彼の姿が小さく見えた。
「同僚かぁ~私にはいなかったな。唯一居るとすれば、一宮君くらいかな」
夕食後この出来事を夕香さんに話すとそう返ってきた。
「そうは見えませんよ。どちらかといえば夕香さんの方がお姉さんっぽくないですか?」
「今はね・・最初は彼が教師で私が一人前になると同僚で、それでお姉さんか」
彼女は微笑む。微笑んだ後、彼女は表情を濁らせる。
「あっ、この話、一宮君にしちゃダメよ」
「分かりました」