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黒百合のネイト  作者: 涼月
第二章 真夏の訓練日記
8/9

School life 白地と赤い朱鷺

 翌日、私はセーラー服に着替え基地から学校へと行った。

 両親の反対を押し切ってこの基地に来たので、半分家出のようになってしまい、基地の宿舎で夕香さん達と生活している。


 高校にかかる経費は大体、夕香さんが立て替えてくれた。なんでも義勇軍は訓練を修了し基地内で寝泊まりしていれば、少しなりとも給料は貰えるそうだ。

「じゃあ、訓練が終わるまで私が立て替えて置くから」

なんて彼女は言わなかった。当たり前のようにお金を出す事を考えていて、私が高校の経費ということに気づいたときには

「もう立て替える準備してあるからなにも心配することないよ」

と言われてしまった。

彼女の優しさといい仕事の出来といい、完璧だ。先輩である一宮さんが頭があがらないのも納得できる。

 私が以前家から高校まで行っていた道の一角で、私はいつもここで待ち合わせをしている親友、松野 美雪に会う。

「今日も待っててくれたんだ」

「もちろん!」

 彼女は笑顔でそう答える。彼女も担任教師を困らせる計画を立てた一員であり、私と同じ実行犯でもある。

彼女が将来の夢について何を答えたかは知らないが、彼女の方ははっきり無理と言われたそうだ。

「そういえば、由里。今日ってテスト返される日じゃなかった?」

「そうだね」

「自信あるの?」

「ない」

いつもはあるって言っていたけど、今回はない。勉強はある程度したのだが、初飛行前ということで余り満足には出来なかった。

「美雪は?」

「なんにもやってないよ」

謙遜なのか、何なのかは知らないが、私は少し笑った。


 テストの結果は予想通り良くなかった。今までなら、80、90位行くテストが今回は60だった。

今まで、テストを見せ合っていた友達も居たが、私の点数を見るとそそくさと他の子の点数を見に行った。

 この状況は私にとって、「最悪」の出来事だった。その日は黙って点数と向き合って、それに飽きると一人机に突っ伏して寝ていた。

 

 ふと純白のセーラー服の一部が目に入ってくる。昨日見たあの飛行機と同じ色だった。あの機体には赤い朱鷺のシルエットが描かれていたが、私のセーラー服にも描かれているかもしれない。あの赤い刻印が私の学校生活を縛り付けている。そんな気がした。







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