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即興小説

機械人間ヘルの脱走

作者: 豹牙

私に名前は無い。

呼び出されることも無い。

私は孤独に包まれた失敗作だ。

それが分かったのは、今私がいるのは失敗作たちが詰め込まれた真っ赤な部屋だったからだった。

この部屋にはそこら中から針金が飛び出ている体の部品が、無様に散らばっている。

この失敗作たちは皆、機械人間と呼ばれている。

使えないとみなされた時点で命の源を奪われ、ここに捨てられる。

だから、動くことは無い。

・・・・・・じゃあ何故私は生き返ったのだろう。


私は自分の体を確かめる。

何処からも針金は飛び出ていないし、ちゃんとした服まで着ている。

他の失敗作たちを見回すと、そんなのは何処にもいない。

私が足と手を動かしてみると音を立てることなく綺麗に動く。

もしかして私は捨てられる前、機械人間の中で偉い地位にいたのかもしれない。


私は、ふと自分の腕にあった複数のスイッチを発見した。

その中から茶色のスイッチを適当に押した。

すると、腕が引っ込み藍色の刃が出てきた。

本当に私は何なのだろう。



今日もまた、失敗作が横の巨大な穴から出てきた。

やっぱり意識は無い。

分かったのはこの横の穴を登れば機械人間を捨てる場所にたどり着くということだ。

私は今日、決めた。

この失敗作たちの仇を取ってやる、と。


この藍色の刃と、他複数のスイッチを使えば仇を打てる。

そう信じて私は穴に入った。

穴は真っ暗で先が全く分からない。

藍色の刃を穴の凹凸に引っかけてひたすら登る。

途中、失敗作が落ちてきて頭をぶつけた。

痛くなんかない。

穴はまだまだ真っ暗だ。

機械人間の私には疲れなど存在しない。

また失敗作が落ちてきた。

今度は腕をぶつけて、藍色の刃がない方の腕が故障した。

針金が出てきた。

やっぱり、機械には傷みや疲れなどない。

私はうっすらと見えてきた光に向かう。

人間の話がかすかに聞こえる。

もうすぐ、もうすぐ出られるんだ。

失敗作の仇を打ちたい。

またもや落ちてきた失敗作。

今度はどこかのスイッチに当たった。

そんなこと気にしていられない。

だが、突然自分の体が言うことを聞かなくなった。

動けない。

身体が赤く光り出した。


そして・・・・・・

「緊急自爆装置発動」


私の身体は炎をまとって落ちていく。

今度こそ私も意識を失うだろう。

ふと人間の会話が聞こえた。


「何?ヘルも捨てただと!?」

「すみません!」

「あいつは捨ててはいけないんだ!」

「じゃあ今の爆発音は・・・・・・」


私は人間に必要とされていた。

ヘルという名もあったのだ。

このまま死にたくない。

だが、真っ赤な部屋はもう目の前だった。

自分の気まぐれから出来た短編小説です。

何のためにこの話を作ったのかは聞かないで下さい(笑)

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