私
多分日常モノ。
文学で合ってるのかジャンル…
「……よし。さて、1号、質問だ。メロスが怒った理由を言ってみろ」
「メロスは怒ったのではなく激怒したのでは」
「……同じ事だろうが」
「同じではない。辞書的な意味では『怒る』のと『激怒する』のは度合いが--」
「あー、もういい。おーい、電源切って!」
呼ばれた。結局今回も1号はマトモに喋らなかったらしい。といっても別段失敗するのは珍しくない……というか、成功例は1号が喋った事くらいしか無いのだが。
読みかけの本を傍らのテーブルに置き、安楽椅子から降りた。何故か研究室の中ではなく外に設置されている1号の制御機器に歩み寄り、スイッチやら配線が並んだ基盤をいじろうと手を伸ばす。こういう物は普通1号の隣に置いておくべきではないのだろうか? あと自分で切れよ、とは思う。
と、ふと窓の外が目に入った。この家は町の端の端、それもちょっと高い丘の上にあるので、窓を覗けばこの町を一望できる。次世代と呼ばれる時代になって10年以上経つにも関わらず、この町は少なくとも私が住み始めた1年前からは何も変わっていない。雰囲気は町長曰く『20世紀後半のヨーロッパの住宅街』らしいが、あいにく私は20世紀後半のヨーロッパ住宅街の雰囲気を知らないのでこの件についてはノーコメントにしておこう。立ち並んだ一軒家とちょっとした雑貨家、役場程度しか無いものの、何故か何度見ても飽きない魅力が窓からの風景にはあった。
「おい、なーにやってんだい!」
博士が怒り気味で部屋から出てきた。3日ぶりに姿を見たが、無精髭と髪の跳ね具合で清潔感がまるで無い。すこし後ろの方では1号が『がーがががっが』等とバグよろしくイかれた言葉を発していた。
「あー……ありゃ?」
何時間風景の魅力に取り付かれていたかと思い時計を見る。6時。もちろん午後のだ。2時間近く放心していたらしい。それに気づいたのか、博士は呆れ顔だった。
「……また黄昏てたのか……」
「あー……ごめんなさい」
語尾を弱くする。特に反省しているわけではないが建前上こうしておいた方が良いだろう、と思った私は腹黒いのだろうか。
「いいから、夕飯」
「その前にお風呂に入ってもらいます」
「うぃ、猫と入るか。猫どこ?」
「散歩でしょ。いいからとっとと入ってくださいな、匂いがアレです」
「……はいよ」
渋々浴室へ向かう博士。実は猫はベランダで寝ているのだが、生憎彼女と入る特権は私のものだ。あとでゆっくりともふもふ戯れよう。
……さて、夕飯を作らなければ。何作ろう?
こんなクオリティで申し訳ないorz
ちなみに博士は2~30くらいのオッサンです