12話 契約
「とりあえず続きを話う」
「そうだね。うん」
僕は大きく頷き。
ティオの話がまとまった所で、どうして僕が契約すると消されるのかという本題に入った。
「つまりは邪魔だからだ」
「なんで?」
「考えてもみろ。いくら契約書が本物でも王が信じるはずないし、 且つお前…アンジェが裏切ったと思う可能性が高い」
「なんでそんな……
契約書が本物ならどうして疑う必要が!!」
「あるんだよ。なんせ反乱軍も同じ……
『魔族』なんだから」
魔王が言った一言で僕は固まってしまった。
だって契約書も魔王の意志も本気なのに、
王は同族だからと冷たい目線を送り且つ信用させずにただ邪魔で使えないと分かれば消すというのか……。
きっと今僕は、青ざめているに違いない。
聞いたときから血の気が引くような感覚に襲われ、頭の中では否定の言葉でいっぱいだった。"そんなはずないと"だが……
真剣に語る魔王に目が離せなかった。
だってこんな真剣な人が嘘をつき、人々の殺害や犯罪に加担していたらこんな眼差しはできないだろうと僕は息を呑んでただ魔王を見つめた。
(だってそんな……そんな事って……)
これが最初に浮かんだ言葉。
信じたいけど信じられない。
「信用出来ないなら、さっき言った"勇者村"に行ってみるといい。きっとわかるから」
切なく笑いながら言う魔王に心が揺らぐ。
でも尚、魔王は言葉を続け、
「でも絶対約束する
アンジェ…いやアンジェレッタ。
俺は絶対君を守る」
口説き文句のような言葉に僕の体温は一気に上がった。
「なっ何を言って!!」
思わず、片手で口を覆いたじろぐが魔王はそんな僕に気にも止めずただ強く、
「俺と契約して」
その真っ直ぐな瞳に捕まるまであと数秒だった。
しばらく、固まってしまった。
誰だってあんなことを、魔王に言われてしまいば目を見張るだろう。
僕は伏せ目がちに頷いた。
「契約するよ。ただ条件がある」
「条件?」
「ああ。いいだろ一つくらい俺からも提示したって」
口元だけ笑って見せた。
今はどんな顔をしていいかなんてわからなかったから。
「いいよ。なんだ?」
「僕は死んだと王様に伝えろ。じゃなきゃ契約はできない」
魔王の濃い藍色の瞳が驚いたように見開く。
でもすぐに表情を戻し、
「わかった。条件を呑もう。でもいいのか?」
「あぁ。いい」
契約してしまうのなら………
彼らのことを思うならばこうするしかない。。。




