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10話 どんちゃん騒ぎ

はーい!!呼ばれて飛び出てジャジャジャーンッ!!って呼ばれてねしぃー!


一人ツッコミも結構辛いけどめげないよー。あーテイション高い僕(勇者)です!!


もうテイション上げないとやってられないからさぁ。

この惨劇を目にしたら……ね?


説明すると……。


パイ投げ大会始まってます。

って一言で片付けてしまったけど、そこらの壁がべっとべっとにクリームが貼りついてもったいない。


どうせなら、食べれないパイ使ってくれればいいのに飛んできたパイを軽々避ける。

僕は反射神経と体術はずば抜けていいからこんなの楽々だけど……。


あの一言がなければなぁ。

事の発端はノアの一言。

やっと朝食を食べられると思ってたのにこれだ。


(勘弁してくれよ!!もう!!)


腹ペコな腹を抑えて、飛んでいくパイを見送りどうしてこうなったかを思い出していた。



―回想―



魔王の寝室を後にし、案内された部屋は応接室みたいな部屋を小さくコンパクトにしたような空間だ。


すでに朝食の準備されており、小さな机の上にパンが山盛り積んであった。


あんパン、食パン、メロンパン、カレーパン、アップルパイ等……。

もう色んな種類が揃っていたが見ただけで食べきるないのがわかる。


(いったい誰がこんなに食べるんだよ)


内心呆れていたら、魔王はすでに席についていた。

机が小さいため席が隣か、向かいかのどっちかで。

僕は一瞬迷ったけど魔王の向かいの席に座る。

 すると後ろからコンコンと軽い音がした。


「どうぞ」


魔王が返事をするとドアの開く音がする。

振り向くとあの目立つ銀髪が視界にグッと入てきた。ノアだ。

軽く礼をした後、無駄のない動きで魔王の隣に立つ。


「あれ?魔王様まだ召し上がってなかったんですか。しっかり食べないと力出ませんよ」

表情を崩さず注意するノアに対し、魔王はノアを見上げ


「いや……。食べるがノア。お前これわざとだろ?」


「あっ……もうバレましたね」


「あたりまえだろ!!」


ノアは口元に手を当てくすっと笑う。

どうやら耐えられなかったらしい。


「笑うな」


「失礼致しました。

 でも勇者さんが食べきるかもしれませんよ」


「……」


「っていやいや食べないって!!

 そして魔王なぜ黙る!!」


僕は慌てて立ち上がったところで二人の笑いが響く。

どうやら謀ったらしい……。


(何これ!!もの凄く恥ずかしいんだけど)


頬が熱くなるのを感じた。

それに自分の状況を思いだす。

立つときに勢いよく手を叩きつけた机からそっと手を戻し静かに席に座る。


(バカにしやがって!)


腕を組み顔を背け、ムスッとふてくされる。


「アンジュ?」


僕に落ち着いた声がかかた。


「ちょっと悪戯がすぎたね。気にしてるの?

 それならごめん。ほらノアも謝って」


「はぁ…。ドウモ、スイマセンデシタ」


「……」


魔王はまだましな方だけど、

ノアの一言に全然、誠意が伝わってこない。

第一にこれ謝ってないじゃとないと逆に呆れた。


「アンジュ?」


魔王の問いかけにちょっとだけで様子をチラッとだけ見る。

上目遣いで不安そうな表情にドキッとした。

なんか健気で、心が揺らぐ。大人げないなと思い直し、


「……もういいよ。食べよう」


体勢を変えずに答えた。

もしこのまま沈黙を続けていてもずっと上目遣いで見てこられそうだし……。

魔王の声のトーンも上がって、嬉しそうな声が耳に届く。


 やっと食べられると思い僕は向かい直す。

魔王は既にロールパイなど皿の上に乗せ食べていた。


 ノアははじめ微動だにしなかったが急に思い出したかのように魔王に尋ねた。


「あっ魔王様ちゃんと伝えました?勇者さんに」


「……何を?」


徐にバケットからアップルパイを手にした魔王が手を止めてノアの方に向く。


「契約の話ですよ。契約したらもしかしたら国王に殺されるかもしれないってことですよ」


「ノア!!」


魔王は持っていたアップルパイをノアに投げる。がノアは軽く避ける。


「へっ?」


僕は僕で思わず、情けない声をあげてしまった。

バケットに積まれたパンに手を伸ばしていたが止まる。

だってありえない話だったから。


「それは契約の手前に話すつもりで、まだ言うつもりもなかったぞ!!」


「えーでも悪いことも知っておかないと」


「それってどいうこと?」


苦渋の顔した魔王に対しノアはシレッと「言ったまんまですが」といい放った。


さらに僕は動揺した。

さっきまでの笑顔が嘘のように、冷たい空気に変わってちょっと怖い。


「ノア!!」


魔王はさらにパイをノアに向かって投げたが、ノアは最小の動きで避ける。



 これを数十分続けいて今に至っています。

でも『なんでだろう』と僕は問いたい。

だって、魔王が何故そこまで怒ってるのかわからない。


ただ隠していたことが、僕が契約するともしかしたら国王様に消されるかもって……。

そんな馬鹿げた話あると思わないもん。

これは笑いたくなる。

 そんな二人は僕を置いてまだやっている。


「魔王様もったいないですよ」


「煩い!!」


「そんなんだから子供だと言われるんです!!

 もう26歳なのだからしっかりしなさい!!」


「……分かってるさ。そのぐらい」


か細い声がすると魔王の振り上げる手が止めた。


「でも、せめて自分の口から伝えたかった」


苦虫を噛み潰したよいな顔で言う。


「……そうですね。申し訳ありません。

 出過ぎたまねをしました」


ノアは深々と頭を下げた。

魔王は『もういい』と答えたノアはそこからゆっくりと顔を上げた。

が沈黙が部屋を満たす。誰一人喋ろうとしない。

僕は耐えれず、思い切って吹き出すように笑う。

もちろん作り笑いだけど。


「あはは。どうしてそんなに暗いのさ!

 別に契約しても消されるはずないでしょ?」


「……いや、消される可能性が高いですよ。勇者さん」


ノアは静かに言う。


「なんで?」


「なんでってふつうに考えてもみて下さい。

 あの人間の王様ですよ。あの分からず屋が素直にこちら側の話を聞くとは思えません」


「分からず屋?」


「はい、そうです。今までにも……って魔王様?」


言葉切ったのは魔王がノアの袖を引っ張ったから。

そして目で訴えてるのがなんとなく僕にも分かった。


「俺が話す」


「あぁ、そうでしたね。お任せします」


ノアは微笑んで頷き一歩後ろに下がった。

魔王も頷き返しその後僕を見据えるが、表情はさっきより穏やかだ。

優しい口調で、


「まず、何から話そうか?

 この国の話、それとも人間の話、それともアンジェの仲間の話?」


どれでもいいよっと魔王が言ってくれたけど。

一番きになったのは僕の仲間……。

なぜここでティオの話が!

と驚かずにはいられなかった。

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