No.5「水の月」
「おーい」
ハイズの呼び掛けで我に返るフロウ。
「ああすまん、ちょっと考え事をしていたのでな」
「それはいいが、さっきから水球に手を突っ込んでみてるんだよ。でだ、水球は手を突っ込むと揺れる軌道が変わる。アーロゥがさっき二つの水球の衝突に成功したんだが、そしたらそれは二つ分の大きさになったかと思うとアーロゥの周りを回り始める軌道に変化したんだ」
「可愛いっちゃ可愛いけど、でもこれなんか落ち着かないんですよね旦那」
「シコク、サイナンの場合にも月の要素は絡んでいたな。少女をこの地球だとすればそこを回る衛星化したと言う事か。各々、水球の衛星を獲得する事が脱出への近道で在ったりはしないかな。さて」
フロウはフロウで積極的に水球に接触し始めた。接触した方向から離れる様に動く水球、弾き飛ばされていると言う表現が近いか。近くに有った上下に揺れている水球の軌道内にその水球が収まる様にすれば…衝突した。フロウは自分を中心に回る水の月を得る事が出来た。
「おっ、フロウ早速要領を飲み込んでいるじゃ無いか」
「体当たりで健気にぶつかって行く様が、餌を啄みに行くお魚さんみたいで実に、”萌え”っすな」
「褒められてるんだか貶されてるんだか分からんが私にも考えが有ってね。今回は私に一番手で行かせて欲しい。ヒトヨの魔法名は人夜だと言ったが、何か引っ掛かるんだ、本当は違う何かが有るんじゃないかと。至黒、Su否nはまだその裏に込められた己の人生の傷痕の様な物が垣間見えていた。そこにこの途切れる事の無い涙の雨のエリア。ヒトヨには、このエリアに準ずる人夜なんて仰々しい物では無い人間らしさが有るんだとそう思うんだ」
そこでフロウはアーロゥを見えざる瞳で見つめる。
「あや、ハイズ先生に続いて旦那にまで見つめられちゃった。これなんかのフラグだったりします?」
「雰囲気の有る事が言えなくて済まんが、単刀直入に言って少女は多分ヒトヨの関係者だ。少女は何か心当たりは無いか? 何故寝たきりで生きている自分の半身としての夢での在り方がこうも快活なのか、と言う部分も含めて」
「あたしですか? うーん、そりゃまあちぐはぐかなって言う思いも無くは無いですけど、夢で位は元気で活動したいなって部分は有りますよねやっぱり、願望の発露と言うか。実際こうして動き回れて幸せですよ、現実がどうにもならない部分は置いといて」
ここでハイズが口を挟む。
「ちょっと待ってくれ。関係者って言い方だと敵対してないって事なのか? なんか歯切れの悪い言い方だよなそれ」
若干舞踏会感出てる扉絵風味




