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レンズノ空 〜Sky at the Lenz, Highly Above〜  作者: 白先綾
第三連「陽光を否む」

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18/33

No.4「ハイズの覚悟」

挿絵(By みてみん)

 アーロゥの手は離れたが各地に有る壁を避ける術は無く各人各様の滑り方で壁に当たる。一人は右手、一人は左手、胴体しか無いフロウはその胴体でと言った風に壁との接触を繰り返していた。

「あのさー、壁に穴が開いてるけどなんだろうね、これ」

 暇つぶしにアーロゥが壁に見て取れる変化について疑問を呈する。壁は拘束の役目を終えると砂の様に崩れて行ってしまうが固形を保っている時の在り様が昔と違うのだ。アーロゥから見てそれは円に近い形を取って居て、円の中心部、左上、右上がそれぞれ空いている。

「人の体だとすると万歳でもしているかの様なポーズでは有るな」

 今は壁の拘束からフリーなハイズがそれを見て答える。万歳、そして人の体? 慌ただしく壁にぶつかって居たフロウは今一度冷静になる。胴体で接触せねばならない自分を除き、一種の当たり前の防衛手段として二人は壁に対し手を犠牲として差し出している。今までの部位の接触履歴、そうだとすると…否陽城、そこに至黒城での様な謎掛けが有るとするなら陽光を否定する構図とは、それは一つに日食か。光の円に闇の円が重なり光の円周部だけが残るあの形。あれをこの壁に浮き上がる模様の中で完成させるべきなのでは無いか。残る非接触部位は、両足とそして頭部か。

「二人とも、よく聞いてくれ。今の万歳と言う響きで閃いたんだが、この壁に空いた模様は今までの接触個所を表しているんじゃないだろうか。今までぶつかったのは私の体が胴体と言う判定なのなら青年と少女の右手左手だけだ。使い走りさせる様で悪いんだが足と頭部で壁に固定される方法を試して貰えないか」

「頭部って惨めだな、まあここは汚れ役は男の仕事って事で」

 そう言ってアーロゥを庇いハイズは自分から頭で壁にぶつかりに行った。

「うお、これは思った以上に首が苦しいな。して、これに何の意味も無かったら泣けるな」

「先生男気有るねえ。じゃあたしはまず左足を差し出すとしますか」

 フロウはフロウで体をぶつけ、水たまりエリアでの三者での一蓮托生構図が久しぶりに完成した。

「ん、フロウは何をしているんだ?」

「いや、日食の絵が最後の目指すべき絵面だとするなら私で表現可能な胴体部分つまり月の絵だけは穴が開く、穴が開かないのオンオフ状態になって居るんじゃないかと思ってね、何事も試してみなければ進まないと言う発想からだ」

「なるほど、それは準備周到な事だ」

 ハイズは予感していた。今回の謎掛け最後のトリガーを引くのは自分になるだろうと。前回アーロゥに図らずも先陣を切らせたのはなんとかクリア出来たが今回もそれで成功するとは限らない。少女のアーロゥや手負いのフロウに責任を押し付け自分は何も背負わないと言うのは納得が出来ないと言うのも有る。三つの壁から三人が解放され、フロウが予見した通り胴体部分は壁が戻って居る。日食構図に足りないのはあと、右足部。

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