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レンズノ空 〜Sky at the Lenz, Highly Above〜  作者: 白先綾
第二連「黒に至る」

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10/10

No.3「影縛り」

 そこは闇の広がる異空間だった。月の様な物が上空に有り、辺りを薄く照らしている。そして点々と水たまりだ。それのどれもが月明りを受け、水面(みなも)に月のイミテーションを揺らしている。何処にも敵の影は無い。

「おっと、敵の術中ってなとこか? ただまたレベルアップした敵兵が待っているのかと思ったから拍子抜けの面は有るな」

 ハイズがお道化(どけ)る様に大剣を手先で踊らせると、それを背中に背負う鞘に納めた。アーロゥは矢を試しに月に撃ってみたが虚しく孤を描き地面に落ちた。

「ありゃー、あれはホントに遠めの位置に有る月みたいな何かだね。幻だとしてもあれを撃ち落としてどうこうって話ではないみたい」

「じゃあこの薄暗い中あの光を有難がって何らかの正解を導き出さないとこの謎解き部屋からは出られない、とそう言う事かな」

「シコクの仕掛けた謎掛けか。入城する資格を示せ、とそう言う事なのだろうな」

 フロウは浮遊しながら水たまりに近付いた。

「うん? これはちょっとおかしいな。月だけだと気が付かなかったが、この水たまりが示す世界はモノクロだな。私の焔としての体がちゃんと色を伴っていない」

 集まって来る残り二人。あっ、と息を呑む。そこに二人の姿は無かった。

「どういう事だ? 月とフロウだけが映る水たまり?」

「旦那、もしかしてこの知恵比べのグルだったりします?」

「まさか、そんな暇人では無いよ。それより青年と少女に影は有るだろう? そこに何らかのヒントが有る様な気がするのだが」

「水たまりに影が閉じ込められている…?」

 ハイズの呟きにやられた、とフロウは思った。近付いた物の影縛りをする水たまり、と言う発想で行けばなんとなくシコクの目的は分かる。現にその後10分以上、水たまり付近からフロウは自由行動が立ち行かなくなっていた。そして解放される。水たまりがゆっくり時間を掛け蒸発したのだ。フロウは汗を掻けないが、心の中では冷や汗を搔いていた。彼ら闇の眷属三者の目的は刻みの呪いの解消だ。であればこの門の中のシコクに招き入れられた魔界もその助けとなる何かである筈で、平たく言えばトラップによる時間稼ぎをされている訳だ。

「二人とも、とりあえず影を水たまりに入れてはいけない。この場に留まって居ても埒が明かない。私のシコク現在位置へのアンテナは生きている。これに従い歩を進めるとしよう」

「誰かが嵌っちゃったら一蓮托生で三人とも嵌った方が良さそうな気配だな。進路の確保にも繋がるし」

「うわーピクニックみたいだね、なんだか楽しいかも」

 二人の余裕の物言いに安堵するフロウだった。

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