未だ変わらぬ世界
これは少し先の未来。都会から少し離れた温泉街の外れ、木々が生い茂る中に男女2人がそこにいた。
鷹田「あの、子咲さん」
子咲「は、はい!」
鷹田「後ろ向いてて」
目を髪で隠した少女は男の言われるがまま後ろを向く。そして男は自身の前の茂みを掻き分ける。そこには所々にヒビの入った骸があった。男は飛びかける意識を寸でで保つ。そして、木々や他の茂みからなる音に気づいた2人はお互いに振り返り目を合わせる。そして2人は木々やの裏や茂みの隙間から歩く骸骨を発見した。男は驚愕し、女の方は萎縮し地に崩れた。
子咲「あ…あ……あぁ」
歩く、ガイコツ!?子咲さんは…駄目だ完全に怯えてやがる!…まさかっ!!後ろのガイコツは!?くっ、起きようとしてる!!ここは、何とかしないと!!
男は女を姫の如く抱えて迫る骸の間を抜けてその場を凌ぐ。そして2人の男女は森の奥へと誘われていく…
とある夏、五月蝿く鳴くセミや灼熱を感じる日の光と異様に高い湿度。そんな中、学生達は駅の方から皆同じ方向へと歩いてゆく。それは主人公『鷹田 志翠』も例外ではなかった。どちらかといえば日陰より日向のほうが多い通学路、男は学校へと歩いている。
最近暑くなったと思ったら…いきなり暑くなりやがって…!人類が何をしたっていうんだよ!!……地球温暖化起こしたの人類だわ、ごめん地球。まあいい、今日は終業式だ。てことは…校庭集まるのか……何とかテレビで完結してくれ…!!マジで!!
男は人群の流れに沿って通学路を歩いている。現状に対して思うところを考え、そして何か切実に神や仏か猫か何かに願っている。他にも何か脳内で考え事をしていると学校の校門をくぐり、そして教室へ
小鳥遊「おはよう!」
鷹田「ん、おはよう」
鷹田は友人の小鳥遊に挨拶をする。そして小鳥遊の席を中心とした小鳥遊、城田、村本の3人の集まりの方へ自身の机に鞄を降ろして行く。
城田「あれ、鷹田どうした?何かやつれてない?」
鷹田「それがな城田…昨夜というか…今日の早朝までゲームやってたもんだから、ふあぁ…ねみぃ」
城田「何やってたんだよ…」
鷹田「イセテンのクソゲー、クソインディーズゲームのくせに本体の方は売ってねえもんだから大変だった」
城田「実際のところは?」
鷹田「灯台下ぐらしで買えて四苦八苦でクリアしけど結局は無用の長物だが?」
村本「何で自らクソゲーをやりに行くかなぁ…」
鷹田「村本。好奇心なんだよ、はは…」
村本「乾いちゃってるじゃん、笑い声。不幸だったね……不幸かな?」
鷹田「まあ、うん。でも村本、あれは嫌な事件だったな…」
村本「乱数って、クソだね」
鷹田「まったくだ、ほんと」
ほんと乱数は…!!ほんと!!乱数てめー!!7連続手札事故だけは許さねえ!!
そんなこんなで話していると、教室へ担任がやって来る。1学期最後のHRが終わり、外が暑いためテレビで完結した終業式を終え4人は駅へと歩く。
小鳥遊「あ、そうそう」
鷹田「んぇ?」
城田「ん?」
村本「どうした?」
小鳥遊「明日から夏休みじゃん」
鷹田「それがどうしたんだ?」
小鳥遊「みんなでどっか行かない?」
鷹田「俺等まだ中3だけど大丈夫か?いろいろと」
城田「場所によるでしょ」
村本「まあ大丈夫だよ、親の許可もらえれば」
鷹田「せやなぁ」
小鳥遊「それで、何処に行こうかなんだけど……てかみんな行く?」
城田「俺はどっちでも」
村本「行こうかな」
鷹田「いきたいけど…」
城田「けど?」
鷹田「スケジュール……」
小鳥遊「調整すればよくね?」
鷹田「あーね、確かに。俺は7月中が好ましいかな」
城田「…早めに行く?」
小鳥遊「別にいいけど、村本は?」
村本「全然いけると思うよ」
小鳥遊「何処行く?」
城田「ここは無難に草津じゃない?」
鷹田「仙台とか?」
村本「静岡とかどう?」
………
……………
…………………
………………………
そして談笑しつつ駅へ着くと、各々は各自の帰路へと別れていく。空はまだ紅く染まりきって居ない。朝と同じセミの鳴き声や断末魔を聞き家へと帰る。家へ着き、一連の行動を済ませ部屋へと行く。親は共働きのためまだ帰ってこない。玄関の扉が音がする。しかし鷹田はさっさとジャージに着替え、ディスプレイゲーム機の電源をつける。
「草津旅行、来週か…」
そう言いながらゲームのカセットをゲーム機に入れる。『ファイティングレジェンズ・デルタアース』という文字が画面に浮き上がり、鷹田はフリー対戦を選択して小1時間遊んでいた。鷹田は途中、少女らしきものの悲鳴に近い歓声が隣から聞こえていたが、無視してゲームをプレイしていた。格ゲーのラウンドが3になる頃。鷹田は隣からドタバタとした音を聞き、その後に鷹田の部屋の扉が勢いよく開けられる。
「お兄!!」
突如として扉をバタンと開け、廊下から容姿端麗の少女が部屋へと入ってくる。
志翠「うるせえぞ葵。いま対戦中なんだが?」
葵「別にフリー対戦でしょ?」
志翠「そうだよ。で?何が目的だ?」
葵「目的って……まあ、明日空いてる?」
志翠「開いてるには開いてるが…よし!コンボ入った!あー、荷造りとか色々あるからなぁ…まあ午前中なら……どうせ荷物持ちとかだろ?」
葵「違うよ!お兄が旅旅に行くって聞いたからね。まともな服を持って無いお兄に、この慈悲深〜い葵ちゃんがコーディネートをしてあげようと思ってね!」
志翠「男だけだから結構」
葵「え?女子も3人来るんでしょ?そう聞いたんだけど」
志翠「ふぇ!?」
葵「じゃ!!」
そういって葵は自身の部屋に戻った。
鷹田は何とか勝てたゲームのリザルト画面を消し、机の上においてあったスマートフォンを手に取って電話をかける。
〈通話開始〉
鷹田「おいどう言うことだ?」
小鳥遊『え?何のこと?』
鷹田「旅行の件に関してだが?」
小鳥遊『あー、伝わってなかったっけ?』
鷹田「うちの妹がねぇ、さらっと言ってんだですよねぇ……!?報連相の重要さ教わんなかったか!??」
小鳥遊『あーごめん。いやー電車でさ、旅行の話出したら向こう羨ましがったんだよ。それで城田が一緒に行くかと誘ったら、まあ、そういうことになった』
鷹田「おーけー、取り敢えず城田の野郎は詫びのジャパニーズ腹切り体験させてあげるとして…3人追加なのは確定なんだな?」
小鳥遊『うん、そうそう。誰が来るか知ってる?』
鷹田「知るわけねえだろ。うちの妹と連絡取ってることを加味しても………だめだあいつコミュ力高いから大概と交換してたわ。当てにならねえ」
小鳥遊『じゃあ3人教えようか?』
鷹田「いや、いいや。名前聞くより3人増えるって言われたほうがマシだし、どうせ当日わかるだろ?」
小鳥遊『あはは、そうだね。じゃあお楽しみってことで、じゃ!』
〈通話終了〉
「取り敢えず城田は天誅を下すとして…」
鷹田はメールアプリから通知の来たスマホを見る。
[村本:ごめん皆、行けないらしい(;∀;)]
[母:帰れなくなった]
[親父:父さんと母さん今日は帰れない]
「今日の食事当番必然的に俺になるじゃねえかよ」
村本結局行けないんだよ。それはそれとして、おいこら両親。俺だって毎回母さんと親父が帰って来ない時に作るの慣れたし、まあ、感謝してるから。あー、はぁ…葵に見つかる前に作らなければ…!!
その後、鷹田は夕食を作り、うまくいったそれを妹といっしょに食べた。風呂へ入り、夏の課題の数学と国語を3割程終わらせ、床についた鷹田は意識が遠のいてゆく。
【天界の楽園】
ここは天界、神や天族の集いし楽園。雲の上のような地面に青空広がるこの場所で、5つの人影が円卓を囲む。
「ねえ、ギャトゥベル。そろそろかしら?」
「ええ、そうね。もう少し、もう少しだから、ね?」
2つの女性の姿が声を発する。3:2で女性の姿と男性の姿をして、頭の上に光輪を輝かせている。彼ら彼女らの視線の先は円卓の中央。そこには地上が映っていた。
[鷹田志翠]
趣味:カードゲーム(イセテン)
苦手:大概の女子とある時期の家族
特技と:言いくるめ、説得
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これ・・・きの・・はか・・・・て・・れ・
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