REAL TYPE 人生ゲーム
1 君の名前はふじわらしのぶ、ありとあらゆる運に見放された可哀想な男だ。
この物語は世界で一番可哀想な男が本当の幸運を掴む愉快なサクセス・ストーリーだ。
頑張ったところで所詮、他人事なので絶望しながら最後までプレイしてあげよう。
どうせ世の中ロクな事が無い。努力なんて無意味、酸素を吸うだけで億劫になるのが関の山。
だったら何で生まれてきたかなんてわからないけど君は道を歩いている途中で宝くじを見つけた。
どうする?
「もしかして、当たってるかな?」と考えて宝くじを拾うなら 2へ。
「俺は紙くず以下の存在。もう人生に疲れた」と考えて宝くじを拾わずに自害するなら 3へ
2 君は宝くじを拾った。
そして手持ちのスマホで確認。
何っ⁉当たっている、だと!?
何と宝くじは五等で一千万の臨時収入だ。どうする?
このままネコババしてしまうなら 4へ
宝くじを交番に届けるなら 5へ
「もう駄目だ。死ぬしかない」と思って自害するなら 6へ
3 「俺は紙くず以下の存在。こんな世の中なら生まれてくるべきではなかった…」
人生に絶望した君は、大勢の人が見ている前で切腹した。
下腹部から血と腸が流れ出る。意外に痛くは無かった。
そう世の中に生きる価値など最初から無い。
君の選択が正しかったことを証明するかのように、数時間後にはワシントンDCにある秘密ミサイル基 地から発射された数百発の核ミサイルが世界を焦土に変えた。人類は滅亡、地球は消滅。こうして宇宙に 恒久の平和が訪れた事は言うまでもない。 HAPPYEND。
4 「黙っていればバレはしない。いやそれでいいのか?本当にいいのか?」
君は罪悪感でゲロを吐きそうになっている。
ネコババなんて良くない、拾った宝くじを元の場所に戻すなら 7へ
俺は生まれながらの悪。この宝くじで悪の頂点を取ってやるぜい、と考えるなら 8へ
こんな罪悪感に耐えられわけが無い。俺のようなゴミは死ぬべきだ、と思うなら 9へ
5 君は交番に向った。
交番には幸い警察官がいた。さて、どうする?
「汚職警官め…。貴様らのような塵芥が世の中を悪くしているのだ」
と言って警察官に襲いかかるなら 10へ
「ここでは俺が 法律だ。貴様らには死をくれてやろう」と言って警察官におそいかかるなら 11へ
「ごめんなさい。僕のようなゴミクソが生きているなんて図々しいですね。今すぐ死にます」と言って心臓に仕掛けた爆弾を爆発させるなら 12へ。
6 「もう駄目だ。死ぬしかない」
君はベストアンサーに気がついてしまった。
美味い話には必ず裏がある。人の不幸は蜜の味、誰かの失敗はメシウマだ。
きっと今でも君を監視する闇の国家権力が、君が手に入れた小さな幸せが奪われる様を見てメシウマする為に幾重にも巧妙な罠を仕掛けている事に。
この悲劇の連鎖を回避するには一つの方法しかない。
それは、――。
「自害してやる。奴等の遊戯を終わらせて空白の時間を作ってやる。へやーっ‼」
君は濃硫酸のプールに飛び込み生涯を終えた。
それまで君をどこかの高層ビルの最上階にある秘密クラブの隠し部屋で監視していた上級国民は落胆の声を上げる。
「この世に希望なんて無え。世の中は全部八百長なんだ。こんな紙切れ、一体何になるってんだ」
彼らのリーダー格は部屋の中を青酸ガスで充満させて一斉に自殺を図った。
こうして世界は一人の男の決意によって、大いなる悪意から解放されたのである。
ありがとう、SBT。君こそが真の英雄だ。 GRAND FINALE‼
7 「仮にこの宝くじを家に持ち帰ったとして、これの本当の持ち主は探しているんだろうな…」
君は後ろ髪を引かれる思いで宝くじを持って元の場所に向かう。
するとそこでは美しい女性が三人の男に囲まれていた。
「誰か助けてください。この男たちは、私をレイ○してネットで武勇伝を語るつもちなんです‼」
「いや俺たちはただ通りかかっただけなんだけど」
女性(※ブスでも美人でもない)は半狂乱になっているので話し合いにならない。
その一方で男たちは見るからにオタクで犯罪者臭がきつかった。君はどちらの話を信じる?
とりあえず女性を信じて、男たちを殺すなら 13へ
男たちの仲間にしてもらって一緒にモスでガンダム談議に花を咲かせるなら 14へ
もう何を信じていいか、わからない。全てに決着をつける為に富士山の樹海で死を選ぶなら 15へ。
8 「そうだ。何を善人ぶっているんだ。俺は悪じゃないか」
君は自分が申請の悪人である事を再確認する。
そし手今の君の手には当選した宝くじがあるのだからやるべき事は一つのはずだ。
「クックックック…。見ていろよ。俺はこの宝くじの懸賞金を全部使ってロト6を買って百倍に増やしていやる…」
君はヨドバシカメラ札幌駅前店にある宝くじ売り場でロト6を一千万円分買って、全て当ててしまった。
一晩で億万長者になったマスコミにちやほやされて時の人になる。
その後、世界一の大富豪となった君は政治家に転身して、史上初の国民投票によって選出された総理大臣になった。
「もうこの世に俺が止まる意味などない。死のう」
権力の頂点に立った君は人生の虚しさに酔いしれて死を選んだ。
ある意味、もっとも救われぬ人生の結末だったのかもしれない。BADEND。
9 ずうん、かつてない重圧が君の双肩に圧しかかる。
たかが宝くじを一枚、されど宝くじ一枚。たった一枚を拝借したにすぎないが君は己の大それた悪行を悔やんでいた。
「例えどんな理由があろうと俺がした事は許されるべきではない。もう死ぬしかない。いや死のう…」
君はスマホでデリバリー処刑人を呼んで、すぐに首を刎ねてもらった。
地面に君の首が転がる。
「これで良かっんだ。これで全てが良い方向に進む。一番必要なかったのは俺なんだ…」
かくして君の一大決意によって世界は救われた。
ありがとう、ありがとう。
これを読んでいるみんなはきっと君に感謝しているはずだ。
君は満ち足りた表情で天国への階段を登り始めるのであった…。FANTASTIC END。
10 「お巡りさん。背中に糸くずがついていますよ‼」
「え?本当ですか?」
君は呑気な警察官が背中を見せた瞬間にバトルアックスで攻撃した。
999のダメージ、警察官は死んでしまった。
「手に入ったのは”警察官の制服”と”警察手帳”と”拳銃”か」
むしゃむしゃむしゃ…ゴックン。
君は早速警察官に化けて町を徘徊する。
以降、君は偽警官として世界の平和を守る事になった。
えーと…頑張れ‼ NORMAL END。
11 俺の中に棲む獣が囁く。
偽りの姿を捨てろと。お前の本性は獣だと。
俺は問答無用で上着を脱ぎ捨てた。警察官(男)は俺の鍛えられた肉体を見て赤面している。
「ここでは俺が法律だ‼俺の命令に従えないヤツは死あるのみ‼」
「貴様。そんな裸になってどうするつもりだ‼まさか本官をレ○プするつもりなのか‼(ドキドキ‼)
徹底的にかかわって本管を性奴隷にするつもりかー‼うわああああああ‼」
三十半ばくらいの警察官は頼まれてもいないのに一糸纏わぬ姿となった。
君は怯える男性警官の肩に上着をかけてやる。
「大丈夫。俺はそんな事はしない。二人で一緒にラーメンでも食べに行こう…」
「○イプマン殿…」
こうして二人は和解して近所の山岡家に向った。
正直、狸小路一丁目にある山岡家よりも格段に美味しくなかったのだが、これが多様性の世の中という物だ。
君と警察官の男は共に夢を語り合っていたところ空から超巨大な隕石が落ちて 来て二人ともぺチャンコなってしまった。
二人は死に際に手を御握っていたという。
例え肉体が滅んでも気持ちは一つ。
真の愛とは請うう事なのかもしれない。 HAPPY END。
12 君は真面目に働いている警察官の姿を見て、生きているのが恥ずかしくなった。
そんな時、君は恩師ドクター・トゥモロウの言葉を思い出す。
「何か突然そう思ったから、――ていうかお前の心臓に超小型核爆弾をセットしておいた。もうアレだから、何がどうって事だけど、とりあえずタイムリミットが来たらそれ爆発するから」
そう言ってドクター・トゥモロウは自分のこめかみに銃口を当てる。
「GOODNIGHT」(※微笑みながら)
次の瞬間、ドクターは鼻から大量出血して死んだ。
死因はチョコレートの食べ過ぎで、十は関係無いらしい。
「ドクター‼指示語を指示語で説明しないでください‼ドクター‼」
思い出の中の君は大粒の涙を流して泣いている。
君はその自らの犯した大いなる過ちに気がつく。
人は一人では生きていけない、誰かを一人にしてはいけない。
(ドクター、わかったよ。アンタが命をかけて俺に伝えたかったことを。こういう事なんだな)
君は一番上のボタンに手をかける。そして一個ずつ上から順に外していった。
「君は何をやっているんだ‼早くシャツを着ないさい‼」
君はシャツを開けて警察官の前で逞しい胸を露出した。
警察官(三十代後半、男性)は両手で目を覆っていたが隠せていない。
彼もまた心の中では君の逞しい胸に抱かれてみたいと思っていたのだ。
「どうせどんな風に生きたって、この世は八百長、出来レースなんだ。最初から勝つ人間だって決まっているし、部外者の俺には敗北しかない。そして俺は今、世界に反逆するよ」
「何をするというんだ‼早まっちゃいかん‼ていうか君の乳首、綺麗だね‼」
「ああ、手入れを怠っていないからな。毎日、キッチンハイターで綺麗にしているよ(※非推奨)。そんな事より俺はこれから、この乳首に内蔵してある核爆弾を爆発させる。死にたくなければ俺の事なんか放っておいて、どこかに逃げるんだな‼」
君は爆弾のスイッチになっている両乳首を押し込んだ。
痛い。
だがその時、君の頬を警察官が殴る。間一髪で君の命は救われた。
「何があったかは知らんが自殺なんてのはバカのする事だ。これに懲りたら本官が貴様を性奴隷として毎日、可愛がってやろう」
「おなしゃーす‼」
こうして君は警察官の性奴隷になって幸福な一生を過ごした。
――のわけねえだろ。どうしてそんな嘘をつくんだよ。世界中の俺以外の人間はみんな不幸になって死ぬんだよ。
それ以外の現実なんて俺は認めねえ。認めねえんだよ‼ HELL END。
13 「大の男がか弱い女に寄って集ってレイ○だと⁉卑怯者は許さん‼」
君は怒りのままに男たちを撲殺した。
「ありがとうございます。お強いんですね」
女性は頭をペコリと下げて君に礼を言った。
「んがーッ‼誠意が感じられん‼貴様も死ねーッ‼」
君は女性に飛びかかりボコボコにした。
女性が動かなくなったのを見計らってから君は立ち上がる。
「暴力なんて最低だ。やはり死ぬべきは俺自身だったんだ…」
君はポケットの中に入れていたナイフを取り出して、喉笛を掻っ捌いた。
薄れゆく意識の中、君は「最近のデカ盛りハンターってちょっとインチキ臭いんだよな…」と考える。
だが時は既に遅し、君は外傷性ショック死で絶命し、今週のデカ盛りハンターを観る事は出来なかったのだ。 WORST END
14 「女なんて一皮剥けばみんな淫らなビッチだ。信じるに値しない。よし、お前らと一緒に俺もレイ○するぜ」
君は突然、服を脱いで男たちの前に立った。
ビキーン‼
股間のアレは既に限界寸前まで膨張している。
暴発するのも時間の問題だろう。
「いや拙者たちは基本的に純愛路線専門で、NTRやBSSとかはちょっと…」
ビキン‼
その時、君の股間は限界を迎えた。
周辺一帯が光に包まれていく…。
「これは破壊と創世の光、オメガフレア…。まさ貴方は」
「魔王神ふじわらしのぶ、覚えておくがいい」
君がそう言うと宇宙は原子レベルにまで分解された。
おそるべきオメガフレア、この魔王神に勝てる存在など果たしているのだろうか…。
「さて、そろそろ有吉ゼミが始まる。私は一足先に家に帰らせてもらうよ…」
そう言い残して、君は家に帰る。
しかしその日の有吉ゼミは家をリフォームする会で、君の楽しみにしている大食いチャレンジでは無かった。世界なんか滅べ。ギャル曾根さんよ、永遠に。 WORLD END。
15 ここは富士樹海。
君は全てに決着をつける為に、単身でやってきた。
そう君という厄介なだけの存在を終わらせるのはここをおいて他にはない。
「待ちたまえ」
君の前の前に一人の男が現れた。
男は最新型のiPhoneを持っていた。
「君は死ぬには惜しい逸材だ。私にはわかる。君は本当は死にたいだなんて思っていないんだろ?君が本当に欲しいのは…このスマホだ」
「どうしてそれを…」
君はiPhoneを受け取ってすぐに起動させる。
すごい。
携帯ショップの前に三時間は並ばないと買えない(※ふじわらしのぶ氏は携帯の機種交換を自分でしたことがありません)最新型のiPhoneだった。
もうこれで君が学校で仲間外れにされる事は無いだろう。
君は謎の人物に超感謝した。
「全く携帯もらったくらいで満足するくらいなら、いちいち騒ぐなよ」
「へへっ、そこは御愛嬌という事で」
君と謎の男は共に笑い合う。
しかし彼らは気づいていなかった。
今、富士樹海の外では天使と悪魔が最終戦争を行った結果、世界が破滅しているという事を。
これから彼らは創造神と悪魔王を相手に戦う事になる。
いずれにせよ、目の前の悩みは解決した。
後はもう…頑張れ。とにかく頑張れ。頑張れば絶対に良い事あるから。うん…うん。
次回作に続く…。