宇宙よ! ——コスモ「ナ」ポリタンな彼女と、現実主義な親友——
わたしと訪れる感情の間に…… 0000【WEB】
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作者:雨澤穀稼 先生
の二次創作です。
作者の雨澤穀稼 先生より許可をいただいております。
親友のふたりだと、描きやすいですね(笑)
「宇宙よ!」
「はぁ?」
真希のことばに、親友のはずの亜魅は心底呆れた声を出した。
しかし、これはいつものことだ。
いつものように、自分の内的世界観を物理世界へと投影するかのごとく、語り出す真希と。いつものように呆れた様子でそれをみつめる亜魅。
そして、かまわず真希はつづける。
「私たちから見れば、星々は広い宇宙に無数に散らばっているでしょう?
心と視界をひらいて、だきしめるように触れるの。
だけど、ひょっとしたら。
逆にあの星たちも、こんな狭い地球に人間が何十億もひしめきあってるのを、窮屈そうだなって見てるかもしれないわ。
この狭い地球でさえ、森や海。ちっぽけなあたしたちには手にあまるほどの世界がひろがっているというのに。
あたしたちときたら、身のまわりの雑多で些細なことにばかり気を取られてる。
だから、まずこの地球の、あたしたちを包んでくれている世界のすみずみにまで意識をひろげてみなきゃ。
そしてそれはやがて、宇宙へと旅立ち、あの星々とも繋がるの。
そうしてはじめて、あたしたちもあの星々とおなじ、コスモナポリタンな生命体になれるってわけ」
「ナポリタンじゃないし、そもそもコスモポリタンは宇宙的な意味のことばじゃないんだけど」
ひととおりの演説に、最低限のつっこみ。
これを終えて、ようやくひと段落がつけることを亜魅はすでに理解している。
そして、真希には自分のような現実主義者の親友が必要なことも。
「ナポリタンだか、カルボナーラだか。
おなかすいてるならコンビニで買ってって、とっととレポート描きあげるのよ!
あんたは星と繋がるまえに、留年しないために首の皮一枚、繋ぐほうが今は大事なんだからね」
彼女のばあい。身のまわりの雑多で些細なことにも、最低限、気を取られてほしいものだと。
亜魅は深い、深ぁいため息をつく。
「……でも、宇宙……」
まだ、いろいろ述べ足りなさそうな真希ではあったが。
レポートの締め切りは月曜日までで、もう待ってはくれない。
現実主義者の亜魅と、コスモ「ナ」ポリタン(笑)な真希。
まるでちぐはぐなように見えて、かたよりがちなおたがいに、ちがう視点をもたらしてくれる。
意外とわるくない相性のふたりであった。
だが、今週末に活躍するのは、亜魅の現実主義のほう。
レポートの締め切りは、すぐそこに迫っているのだから。
レポート、ぎりぎりでしあげたなあ。
F1の深夜放送観ながら。
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