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即★新婚生活※保護者同伴



 唐突な婚約に加えて、新居に移動し住むことになったアーロン。しかも何時もの執事―――――もといお世話係も同行である。しかも妻になったジュンが運転する車でも、執事はアーロンを赤ん坊の様に抱き抱えたまま後部座席に座るのだ。


 終始、無言の中根性もないメンタルクソ雑魚なアーロンはこの沈黙を壊す事も出来ずにただただ黙って執事にバブられてしまうのだった。


 そしてアーロン自身初めて己の生身で外へ、ジュンが住まう高層マンションの一室に到着したのである。


 ―――――――が。



 「…………ジュン様、これは」


 「うわぉ」


 「!ま、待て、今掃除をするっ!」



 高級マンション。


 しかも4LDKであり一人で住むには広過ぎるだろう。本来ならば、豪華でオシャレな内装に前世平凡一般人なアーロンにとっては縁もなかった上流階級の生活が出来る…………と思っただろう。そう願ったが故に、この現状は無惨にも夢儚く散ってしまった。


 洗濯したのかわからない衣類が散乱し、机にはアルコール類の缶や瓶が置いたまま。更には缶は床にも散乱している。中には飲み残しがあったのか缶の口から少し…………。


 台所は食器や調理器具がそのままぶち込まれていた。文字通り、洗う前提ではないぶち込み様だ。家事をする者ならばブチギレ間違いなしである。


 慌てて片付けるジュンだが、その様子を執事はゴミを見る様な目で言葉を溢してしまう。



 「こんな汚い部屋でアーロン様を……………?」


 「今掃除しているだろうっ」


 「はぁ…………ジュン様、今すぐに窓を開けてください」


 「な、なにを」


 「今すぐに」


 「……………はぁぃ」



 情けない声で執事の言う通りジュンはトボトボと換気の為に窓を開けると、昼の日差しによる影響はないが爽やかな春風が室内に密かに注がれていく。執事はあれよあれよとゴミの溜まり場であった部屋が見る見る綺麗に片付いていく。その姿をアーロンはソファーに座りながら何か自分もしなければ、とは思うのだがその度に「アーロン様はそちらでお寛ぎください」と止められてしまう。



 「(私、いらない子?)」


 【安心せい宿主マスター。そちに正座しておるお主の妻と同格じゃ】


 「くすんっ」



 ソファーではなく、その床で正座しているジュンはみっともなくメソメソしていた。理由は簡単、実は3ヶ月前からこの状態だったそうだ。しかも黒光りのアレ(・・・・・・)もいるわ、使ってない空き部屋には蜘蛛の巣が張っているわ、埃も厚みがあるわである。


 何故一人暮らしでこんな4LDKに住もうと思ったのか訪ねてみると。



 「あぁ、元彼とな。結婚して子供も産まれたらここに住もうって同棲してたんだが…………逃げられた。そう言えばアイツ、家賃とか光熱費とか諸々払わなかったよなぁ。将来の為に貯金するとか言って……………クソが」


 「……………えと、ごめんね」


 「き、気をつかうな。そんな憐れんだ目で見ないでくれぇ。わたしだって、今思えばあのクソ野郎がクズだったんだって」


 

 それよりもジュン自身が、それまでに恋人を甘やかし過ぎた事にも原因があるのではと感じるアーロン。勿論、彼女の元彼もこの家の家賃などを払わせた挙げ句逃げたのはクズの極みだろう。彼女の心を弄んだのだ。



 「過去のことはいいでしょう。しかし、今の貴女はアーロン様の妻。その自覚は持ってくださいね」


 

 そう言う執事だが、既に部屋は片付かれていた。散らかった缶やゴミ、更には煙草の吸殻までも綺麗サッパリである。普通ならば3時間は掛かりそうなゴミの山だが、それをたった30分で済ませたのだ。あまりの速さに呆然としているジュンだが、気にせずに彼女に言うのだ。



 「シャワーお借りしました」


 「あ、あぁ…………ぇ、着替えは。あといつの間に」


 「この服のストックは用意していますのでご安心を。アーロン様、大変お待たせしました。それではお風呂に入りましょう。既に用意は出来ています」


 「待て。それよりもこれから―――――――」


 「それは後でいいでしょう。それよりも、先程まで汚部屋の空間にいたんです。速やかに身体を洗いましょう。折角の髪と尻尾が汚れてはいたたまれません」


 「やー」


 「いけませんよアーロン様」


 

 そう言いながらちょっと駄々をこねるアーロンを抱き抱えて風呂場に向かってしまう。アーロンの様子から何時ものことらしく殆ど諦めモードであった。



 「いや、この家の主は私なのだが…………」



 既に真の主が決定した瞬間ではあったものの、ジュンはシクシクと半泣きになりながら過去の恋人達との思い出の写真などをシュレッターで処分していくのであった。




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