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鬼さんバーカだ、いらんことすーんなっ♪



 悲報:闇ギルド繋がっちゃってた☆


 もう私の人生終了のお知らせきてます?


 あれですよ、闇ギルドは日本でいう裏組織。色々ヤバいことしてる犯罪組織……………え〜ん、死亡フラグ立った立った。あと、人妻にも手を出してるとか、絶対終わってるじゃん。NTRしてからのざまぁ展開じゃないですか、こわーっ!


 しかも私、この世界で14年という生を受けましたが外の世界が現代×ファンタジーになってたとはつい知らず。更にはモンスターや魔法……………ぁ、でも夢のまたの夢でしたねぇ。呆気ないのでした。


 にしても、やることって寝てるだけなんですよね。牢屋でふかふかのお布団でゴロゴロして、お風呂入ってご飯食べて寝て……………………前世では色々忙しかったけど、今じゃこれが主流になっちゃって、一日殆ど寝てるだけです。食っちゃ寝してるんてす、怠惰の化身ですよ私。もう昔には戻れない―――――――――――ロクな死に方しないでしょうね(笑)



 「アーロン様、食事を持って参りました」


 「………………ん」



 来てまいりました、お食事がっ!


 薄暗いこの地下の牢屋。何時も食事を持ってくるのは、美形な青年執事くん。ま、本当に執事かとうかはわからないけど、何時も身の回りの世話をやってくれてるし、執事なんてしょ多分。元々少食だからあんまり食べれないけど…………むぅ、何でこんな食っちゃ寝な美少年(※天使さんから私の容姿評価)を置いておくのだろうか。当初は結構盥回しにされて、5年前にここに来て落ち着いたんです。多分、獣人は珍しい?いや九尾の狐獣人だからかな?けど気味悪くなったのかも?



 「アーロン様、起きてください」


 「…………………置いといて、ちゃんと食べるし」


 「いけません。ほら」



 この執事くん、もう私の介護で嫌々になってる可能性大だじゃないかなっ!君みたいな美青年執事は私みたいなグーダレな子供じゃなくて外で遊びなさい外で!


 執事くんに起こされ、渋々起こされる私―――――みっともない。けど、食っちゃ寝しか出来ないこの環境下では仕方がない、という惨めな言い訳をしてみたり………………はぁ。



 「アーロン様。はい、あーん」


 「一人で食べれるし」


 「アーロン様」


 「だから―――――」 


 「あーん」


 「………………ぁむ」   



 もうやだこの子。


 精神年齢もう40は超えてますことよ!?もう、恥ずかしいとかそういうんじゃなくて、なんか惨め。今まで出来たことが出来なくなって、介護される身になる高齢者の方々の気持ちわかる気がするかも。



 「―――――口元が」


 「自分で拭ける、から」


 「いけません…………はい、取れました」


 「うぬぅ」



 もう介護というより、子育てじゃね?


 自分で出来るって言っても聞かないよこの子。今の私よりは年上だろうけど、そう変わらないはずだよね?あ、身長的なことは言わないでね、フツーに傷付くから。


 にしても成長――――特に身長が伸びないのは日頃から運動していないせいなのかな。或いは日光を浴びないから?確か日光に浴びないと身体の中であるビタミンが作れないって聞いたことがあるけど……………あと少食も関係してるよね?



 「アーロン様、後ほど【スザンナ】様がお見えになるので着替えを」


 「…………スザンナさんが?」


 

 この家の主――――――たぶん、当主的な存在なのだと思う。家名とかそういう細かい部分はわからない。というか、知ろうとしなかったけど。現に外の世界も魔法とかモンスターとか知らなかったのは単純にこの堕落した食っちゃ寝生活に満足していたんだ。娯楽は殆ど無いけれど、好きな時に食べて好きな時に寝れる――――――ま、この家に来る前は食べ物もロクにくれなかったし。寝るだけの生活、それに慣れちゃったし、それに慣れようと寝て寝て寝て寝て………………それだけだった。


 けれど、数年前にスザンナさんに引き取られた。


 どんなやり取りがあったかはわからないけど、引き取られ今に至る。正直、今のこの生活があるからこそ。自分自身に余裕が出来たからこそ、中にいる神様と対話する事も出来た。まあ、ナインさんに関しては元々気軽に話しかけてきてくれたから孤独には感じなかったけど。


 兎に角、あの人は私の恩人であり感謝すべき存在だ。



 【―――――じゃがアヤツ、何か企んでおるぞ】



 ま、いいじゃないですか。 

 

 こんな牢屋という名の何不自由ない(※娯楽はない)生活が出来るんだし。それに、天使さんはもの凄く潔癖症で毎日お風呂入れるんだから。



 【そうねぇっ♪ほんと、あんな汚物の溜り場みたいな場所なんて…………あの時は気が狂いそうだったわ♪】


 【此奴の潔癖症はどうにかならんものかのぅ。幾度となくこの国を滅ぼそうとするわ、無下に扱う者を呪おうとするわで困ったもんじゃ】


 【だってぇ…………こぉんな平和な国、つまらないですもの。“平和(幸せ)とは、怠惰である”―――――これこそ、私の思想。我が主もそうおっしゃいました。平和や幸せは全てを停滞させ、堕落させる行為なのです。それ故に平和や幸せな国には試練を与えなければなりません】


 【おいおい天使さんよぉっ!そりゃ単なる大義名分なんだろぉ?テメェはただ単純にイカれた人外なんだよ。己の欲を発散させることしか考えてねぇ。鬼であるこのオレであっても引いちまうくらいのな】


 【あら?貴方とは仲良くなれるとお思いましたのに】


 【ある程度は、な。テメェのは逸脱する場合は多いからなぁ】


 【ふふっ♪天の使い―――――天女に惚れて、騙されて、そして大事な宝剣二振り(・・・・・)を奪われても尚愛し続ける愚者なる貴方は救われませんね。わたしに女性という概念があれば寵愛していたでしょうに】


 【テメェのは寵愛じゃなくて、愛玩だろーが】


 【あらよくご存知でっ♪】



 この天使さん、鬼神さんが引くほど悪魔みたいな性格と性癖を持ってるそうな。言動から大体察する人もいるだろうけど、天使さんは人を動物みたいにしか思ってません。因みに私も天使さんのお気に入りのペットみたいなもの。もし容姿がナインさん瓜二つの美少年じゃなかったら速攻殺されてたでしょうね。



 「アーロン様、お着替えを」


 「…………むぅ」



 もう何言っても拒否権ないね、私。大人しく服を着替えさせられ、髪を梳かれ、何やら何までやってくれる……………うん、自分で言うのもなんだけど甘やかし過ぎ厳禁じゃね?



 【んーなことりよアーロン。いい加減に身体をよぉ―――――】



 好き勝手に使われるのは―――――――っと?


 うん?………………うむうむ。私は外に出てもザコなので危ない。なら、鬼神さんに身体貸しながらも体験は出来る、よね?だって、前に鬼神さんに【××××××××(ちょめちょめっ)】な事を教えてくれたからね。うーん、アレ夢じゃなかったんだぁ。


 て、なことで☆


 身体を貸すのはいいけど、私の意識がある時だけだよ?



 【まっ、宿主マスターぁ!?】


 【おっ!いいぜぇっ!ならオレがやってる仕事を教えてやんよぉ!】



 わーぃ、やたーっ!


 ではでは、今夜…………だよね?



 【おうよっ!おいナイン、分身用意して寝かせておけよ!】


 【な…………っ!くぅ、宿主マスターがそれでいいなら仕方があるまい。じゃが宿主マスター、そして鬼神。出るなら夜にじゃ。わかっておるな?】



 ありがとー、ナインさんっ!


 けど、いつもゴメンね?いやなこと押し付けちゃって…………。



 【構わん。むしろ外を見たいという宿主マスターの言葉に少々ホッとしたの。幾ら転生したとは言え宿主マスターは子供。前世のことなど忘れて、子供らしく振る舞ってほしい。我儘でも構わんからの】



 …………ナインさん。



 【宿主マスター。幾らでも甘えても構わんからな。じゃが、怒る時は怒るからのぅ。して、まずはスザンナ殿と会うことになるじゃろうからそれが先なのは忘れずにの】



 うんっ、わかったー!



 【オレが言うのもなんだけどよ、ナインは甘え過ぎじゃねぇの?】


 【鬼神よ、お主は夜になるまで説教じゃ】


 【は、はぁ!?なんで――――――】


 【天使殿ものぅ。散々わしらが知らん間に宿主マスターの身体を好き勝手してくれたな?して、お主らに拒否権はないのじゃが】


 【まっ、待ちなさいよっ!わ、わたしは―――――】


 【かつて人々に畏れられた鬼神だろうが、神に仕えていた大天使だろうがわしには関係無い―――――――――逃れられると思うでないぞ?】



 鬼神さんと天使さんの悲鳴が聞こえてくる…………。うん、私も変に調子乗ったりしてるとその内ナインに説教されるのは間違いない。幾ら異世界だろうが、ファンタジーだろうが…………叱られない程度に頑張りましょう、そうしましょう。



 ―――――しかし、この時は気付かなかった。


 いや、私だけは気付かず微かに神々は脅威ではないと。更には敵意がないと察して敢えて話すことはなかった。



 『(来ちゃいましたよ来ちゃいましたよっ、【ナル・イムル】様のお通りですよぉっ♪そしてそして、見つけましたっ、契約者(・・・)さまっ♪)』




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