01.転生
ー帝国領 カロス山山頂ー
月明かりだけの真夜中、一瞬、この世界を全て照らすほどの白い光が辺りを包んだ。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
目の前の光が消え、記憶にない見知らぬ街が眼下に広がっていた。
どうやら転生魔法は成功したらしい。
そして記憶の引き継ぎもしっかりできているな...
自分の魔法の腕に惚れ惚れしそうだ。っと、魔法といえばこっちの世界でもちゃんと魔法が使えるかの確認もしないとな。
そんなことを考えながら俺は手を前に出す。
周りは森だし...大規模な魔法はやめておくか...
「フラッシュ・アロー」
そう唱えた俺の手の周りから光の矢が出現し前の大樹を破壊した。
俺は嫌な予感がし、ある魔法を唱える。
「サイレント・フィールド」
矢は一直線に木々を薙ぎ倒して進んでいき...30本ほど破壊したところで消滅した。
「おいおい...嘘だろ...?」
嫌な予感がして『サイレント・フィールド』、周囲の音を消す防音魔法をかけたが...
これはいくら何でも威力が高すぎるな...
防音してなかったら今頃大騒ぎだろうな...
前の世界と同じなら一般人の放つ『フラッシュ・アロー』などたいした威力はでない。せいぜいガラスを突き破る程度だ。
それなのにここまでの威力が出るということは...
俺は少し考えた後、一つの考えに至る。
(...自己鑑定)
頭の中でそう唱える。
自己鑑定とは読んで字の如く自分のステータスを確認する魔法だ。そして鑑定結果は、
* * * * * * * * * * * * * * * ** * *
<クロード・アビス>
[基礎能力]
魔力 99999
攻撃力 0
防御力 0
[取得スキル]
なし
* * * * * * * * * * * * * * * ** * *
...は?
多分俺は今間抜けな顔をしているんだろう。
だが、しょうがないと思う。
なぜなら俺のステータスは見たことないくらいおかしいものだったからだ。