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九州大学文藝部 追い出し号 『生前葬』

君は歌

作者: 紫水街

   君は歌




物質の最小単位が振動ならば世界の始まりはきっと歌




ソプラノがよかったと呟く君の声が好きだと言えばよかった




いきるとはうたうことです いきているきみのとなりでうたうことです




その咆哮に絶叫に音階を与えろ人間であるならば




抱き合って心臓をくっつけあって同期させたらまた明日がくる






   HOWL!!!!!!!




かわいそうだから愛してあげる、って言わせてあげる。かわいそうだから




栗まんじゅうみたいに愛は増えなくてもうロケットも必要ないね




叶わない思いさながら道化師のごとく気付かぬ振りの行進




開けるたびしゅわしゅわしなくなっていく炭酸水みたいに終わってく




君が愛してるのは私じゃなくて私を選んだ君自身だろ




好きになる順番さえも負けていて君は高嶺でしあわせになる




「ガムですか? 味? とっくにないですよ。はい、捨てるのも面倒で、ええ」





   サイズ可変スクール




ベクトルを学べ 友達と恋人 距離の問題ではないのです




これ以上強く叩けばトライアングルの音色は濁り始める




天秤に世界と君を乗せてたら授業終わりの鐘がなる午後




水泳のあとの国語で「延々(えんえん)」と「永遠(えいえん)」は同じだとおもった




頭の中のイリオモテヤマネコが私の孤独を馬鹿にしてくる






   7.29m2




温室にCO2が増えていきおだやかに死ぬ夢を見ていた




偽りの季節に花は咲き乱れ、我ら外では生きられぬもの




懐の一角獣にさよならをするには明るすぎるかなあ! 部屋!




しあわせな夢は室外機から漏れ、彩度を上げてゆく熱帯夜




遠いどこかの国の水鳥たちのふわふわの死に包まれ眠る




ぬいぐるみ、僕、僕、枕、ぬいぐるみ(”君が蹴り落としたリスト”より)




オーブンの前で踵を踏み鳴らせタルト・タタンのタタンのリズム






   バック・スイング




もう二度と会えないくせに夢に出て「会えたじゃん」とか言うんですよね




汲み置きの水にいつしか棲んでいたカエル程度に悲しき別れ




人類がいつか海へと還る日も繋いでようね退化した手を




醒めない夢をみる君へ 六文は円に直すといくらでしたか




君のこと思い出さない日もあるよって言ったら君は笑うだろうね




雨上がり凪いだ水面に立つ虹を背負って君はこの街を去る












お世話になりました。どうもありがとう。機会があればまた会いましょう。

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