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休日は街に出て煙草を吸うのですわ

“ピアニス。メビウスから聞いたが、シュトゥルム家の嫡男と決闘をしたそうじゃないか。しかも決闘の原因はアニス殿下の目の前で煙草を吸っていたからだと聞く。今回は運良く殿下からのお咎めもなく、また大きな怪我がなかったからよかったものの、またこのようなことがあるのか分からないのだから煙草は早く止めなさい。

そもそも淑女たる者、決闘などと言う野蛮な行為を“


「“根性焼き”」


「お嬢様……」


ピアニスの父、マイルドから届いた15枚にも及ぶピアニスに禁煙するように書いた手紙を初めの数行を読んで文字通り消し炭にするピアニス。そんなピアニスを見て嘆くメビウス。


(はあ……折角の休日ですのに気分を害しましたわ……煙草を吸おうにもこの気分では苛つきが増すというもの…そうですわ!)


気持ちを切り替えるかのようにピアニスは立ち上がるとメビウスに指示を出す。


「メビウス。街へ出掛けますわ。準備をお願いしますわね。」


「畏まりました。」


・・・・・


・・・


学園から出てすぐの所に、貴族達御用達の高級店が幾つも建ち並ぶ、ルクサスという小さな街がある。貴族の子供達が不自由なく学園生活を送れるようにと造られており、学園が休日となったら生徒達はこぞってこの街へと繰り出すのだが


「メビウス、馬車を出しなさい。」


「畏まりました。しかしよろしいのですか?ルクサスではなく“コマス”で。」


メビウスが尋ねる。


“コマス”とは別名商業都市と呼ばれるほど商業の盛んな都市で、数多くの商店が建ち並び、町の大半が焦点で形成されている都市である。そこには隣国から輸入されてきた品も多くあり、毎日数多くの人々が行き交う活気あふれる都市である。


だが、“コマス”には高級店は少なく、庶民向けの商店が大半を占めているため、貴族達が出入りすることはほとんどなく、精々が貴族の使用人などが出入りする程度である。


「よいのです。あの街に私の求めるものはありません。」


(それに自分の吸う煙草くらい自分で選びたいものですわ)


そう言ってピアニスは馬車に揺られ、学園から少々離れた街。商業都市“コマス”へと向かった。


・・・・・


・・・


商業都市“コマス”の手前にある森。そこを根城としている盗賊達がいた。


「大将、あんな奴の話を信じるんですかい?」


「ああ。様子見はするが、情報が正しかった場合一攫千金が狙える。先程斥候も放ったそろそろ戻ってくると思うが……」


悪事を企てようとする盗賊達。そこへ身軽そうな男がやってきた。どうやら先程放った斥候のようだ。


「大将!確認してきやした!どうやら貴族がこちらへ来るのは間違いないようです!それに護衛の馬車の影もありやせんでした!情報通りです!」


「!そうか、行くぞ野郎共オオオオオ!!」


「うおおおおおおお!!」


大将と呼ばれた盗賊のお頭は武器である剣を掲げ、部下である盗賊達を引き連れてその場を後にした。


その光景を白いローブの下で怪しげに笑う何者かが見ていたと知らずに。


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